4 / 27
第3話 把握と返事 エメリー視点(1)
しおりを挟む
「俺は今っ、今から半年前にだっ! ファスティーヌ様と婚約しただろう!? それは知っているだろう!?」
「ええ。盛大に婚約パーティーを行ったと、風の噂を耳にしています」
「それから俺達はもっとよく会うようになったんだ!! だがっ、今日はいつもとは違っていてっ、3人で何十分も話しをしていたんだっ! そうしてそれが終わったら、父上と母上はおかしなことになってしまったんだよ!!」
密談が終わると、商会に関する権利を手放そうとしていた。事前にそんなお話はなかったそうですし、そもそもそあのお二人は、お金や地位に執着がある人達でした。
オーレン様が戸惑われるのも、無理はありませんね。
「きっとっっ、全部が罠だったんだ……!! 俺への告白はこの布石っ、はなからウチの財が目当てだったんだ!! 権限を譲られても不自然にならないようにしていただけだったんだ!!」
「……。その可能性が、高いですね」
元々オーレン家は財のある伯爵家でしたし、あの頃は新事業が軌道に乗って更に資産を増やしていた時期です。対してレステラ侯爵家は歴史こそありますが、代を重ねるごとに懐事情が厳しくなっていると聞いたことがあります。
恐らくはそこに目をつけ、1年前にああして言い寄ったのでしょう。
「ファスティーヌ様――ファスティーヌは、いったい何をしたんだ!? エメリーはどう思う!? どう考える!?」
「情報が少なすぎますので、考えることはできませんよ。それに仮に情報があったとしても、考えるつもりはありません」
「なっ!? なぜだ!? どうしてなんだ!? なぜ一緒に考えてくれないんだ!?」
「「「「「…………」」」」」
お父様とお母様。警備の皆さんと共に、おもわず言葉を失ってしまいます。
この方は……。本気で、仰られているのでしょうか……?
「困っている人を見たら放っておけないがっ、エメリーだろう!? そして今まさにっ、目の前で俺が困っているんだっ!!」
「「「「「「………………」」」」」」
「なぜっ、手を差し伸べてくれないんだ!? どうして解決に協力してくれないんだっ!?」
どうやらこの方は、本気で仰られているようです。
私が――私達が態度を変えない理由。そちらを理解できていらっしゃらないようですので、そのわけをお伝えすることにしました。
「オーレン様。それは、困っているのが貴方様だからですよ」
「ええ。盛大に婚約パーティーを行ったと、風の噂を耳にしています」
「それから俺達はもっとよく会うようになったんだ!! だがっ、今日はいつもとは違っていてっ、3人で何十分も話しをしていたんだっ! そうしてそれが終わったら、父上と母上はおかしなことになってしまったんだよ!!」
密談が終わると、商会に関する権利を手放そうとしていた。事前にそんなお話はなかったそうですし、そもそもそあのお二人は、お金や地位に執着がある人達でした。
オーレン様が戸惑われるのも、無理はありませんね。
「きっとっっ、全部が罠だったんだ……!! 俺への告白はこの布石っ、はなからウチの財が目当てだったんだ!! 権限を譲られても不自然にならないようにしていただけだったんだ!!」
「……。その可能性が、高いですね」
元々オーレン家は財のある伯爵家でしたし、あの頃は新事業が軌道に乗って更に資産を増やしていた時期です。対してレステラ侯爵家は歴史こそありますが、代を重ねるごとに懐事情が厳しくなっていると聞いたことがあります。
恐らくはそこに目をつけ、1年前にああして言い寄ったのでしょう。
「ファスティーヌ様――ファスティーヌは、いったい何をしたんだ!? エメリーはどう思う!? どう考える!?」
「情報が少なすぎますので、考えることはできませんよ。それに仮に情報があったとしても、考えるつもりはありません」
「なっ!? なぜだ!? どうしてなんだ!? なぜ一緒に考えてくれないんだ!?」
「「「「「…………」」」」」
お父様とお母様。警備の皆さんと共に、おもわず言葉を失ってしまいます。
この方は……。本気で、仰られているのでしょうか……?
「困っている人を見たら放っておけないがっ、エメリーだろう!? そして今まさにっ、目の前で俺が困っているんだっ!!」
「「「「「「………………」」」」」」
「なぜっ、手を差し伸べてくれないんだ!? どうして解決に協力してくれないんだっ!?」
どうやらこの方は、本気で仰られているようです。
私が――私達が態度を変えない理由。そちらを理解できていらっしゃらないようですので、そのわけをお伝えすることにしました。
「オーレン様。それは、困っているのが貴方様だからですよ」
142
あなたにおすすめの小説
妹が私の婚約者と結婚しちゃったもんだから、懲らしめたいの。いいでしょ?
百谷シカ
恋愛
「すまない、シビル。お前が目覚めるとは思わなかったんだ」
あのあと私は、一命を取り留めてから3週間寝ていたらしいのよ。
で、起きたらびっくり。妹のマーシアが私の婚約者と結婚してたの。
そんな話ある?
「我がフォレット家はもう結婚しかないんだ。わかってくれ、シビル」
たしかにうちは没落間近の田舎貴族よ。
あなたもウェイン伯爵令嬢だって打ち明けたら微妙な顔したわよね?
でも、だからって、国のために頑張った私を死んだ事にして結婚する?
「君の妹と、君の婚約者がね」
「そう。薄情でしょう?」
「ああ、由々しき事態だ。私になにをしてほしい?」
「ソーンダイク伯領を落として欲しいの」
イヴォン伯爵令息モーリス・ヨーク。
あのとき私が助けてあげたその命、ぜひ私のために燃やしてちょうだい。
====================
(他「エブリスタ」様に投稿)
この国では魔力を譲渡できる
ととせ
恋愛
「シエラお姉様、わたしに魔力をくださいな」
無邪気な笑顔でそうおねだりするのは、腹違いの妹シャーリだ。
五歳で母を亡くしたシエラ・グラッド公爵令嬢は、義理の妹であるシャーリにねだられ魔力を譲渡してしまう。魔力を失ったシエラは周囲から「シエラの方が庶子では?」と疑いの目を向けられ、学園だけでなく社交会からも遠ざけられていた。婚約者のロルフ第二王子からも蔑まれる日々だが、公爵令嬢らしく堂々と生きていた。
妹と王子殿下は両想いのようなので、私は身を引かせてもらいます。
木山楽斗
恋愛
侯爵令嬢であるラナシアは、第三王子との婚約を喜んでいた。
民を重んじるというラナシアの考えに彼は同調しており、良き夫婦になれると彼女は考えていたのだ。
しかしその期待は、呆気なく裏切られることになった。
第三王子は心の中では民を見下しており、ラナシアの妹と結託して侯爵家を手に入れようとしていたのである。
婚約者の本性を知ったラナシアは、二人の計画を止めるべく行動を開始した。
そこで彼女は、公爵と平民との間にできた妾の子の公爵令息ジオルトと出会う。
その出自故に第三王子と対立している彼は、ラナシアに協力を申し出てきた。
半ば強引なその申し出をラナシアが受け入れたことで、二人は協力関係となる。
二人は王家や公爵家、侯爵家の協力を取り付けながら、着々と準備を進めた。
その結果、妹と第三王子が計画を実行するよりも前に、ラナシアとジオルトの作戦が始まったのだった。
婚約者を義妹に奪われましたが貧しい方々への奉仕活動を怠らなかったおかげで、世界一大きな国の王子様と結婚できました
青空あかな
恋愛
アトリス王国の有名貴族ガーデニー家長女の私、ロミリアは亡きお母様の教えを守り、回復魔法で貧しい人を治療する日々を送っている。
しかしある日突然、この国の王子で婚約者のルドウェン様に婚約破棄された。
「ロミリア、君との婚約を破棄することにした。本当に申し訳ないと思っている」
そう言う(元)婚約者が新しく選んだ相手は、私の<義妹>ダーリー。さらには失意のどん底にいた私に、実家からの追放という仕打ちが襲い掛かる。
実家に別れを告げ、国境目指してトボトボ歩いていた私は、崖から足を踏み外してしまう。
落ちそうな私を助けてくれたのは、以前ケガを治した旅人で、彼はなんと世界一の超大国ハイデルベルク王国の王子だった。そのままの勢いで求婚され、私は彼と結婚することに。
一方、私がいなくなったガーデニー家やルドウェン様の評判はガタ落ちになる。そして、召使いがいなくなったガーデニー家に怪しい影が……。
※『小説家になろう』様と『カクヨム』様でも掲載しております
婚約者は私より親友を選ぶようです。親友の身代わりに精霊王の生贄になった私は幸せになり、国は滅ぶようです。
亜綺羅もも
恋愛
ルビア・エクスレーンには親友のレイ・フォルグスがいた。
彼女は精霊王と呼ばれる者の生贄に選ばれる。
その話を聞いたルビアは、婚約者であるラース・ボルタージュ王子に相談を持ち掛けた。
生贄の事に関してはどうしようもないと答えるラース。
だがそれから一月ほど経った頃のこと。
突然ラースに呼び出されるルビア。
なんとラースは、レイを妃にすることを決断し、ルビアに婚約破棄を言い渡す。
ルビアはレイの身代わりに、精霊王の生贄とされてしまう。
ルビアは精霊王であるイクス・ストウィックのもとへと行き、彼のもとで死ぬことを覚悟する。
だがそんな覚悟に意味はなく、イクスとの幸せな日々が待っていたのであった。
そして精霊たちの怒りを買ったラースたちの運命は……
婚約破棄させたいですか? いやいや、私は愛されていますので、無理ですね。
百谷シカ
恋愛
私はリュシアン伯爵令嬢ヴィクトリヤ・ブリノヴァ。
半年前にエクトル伯爵令息ウスターシュ・マラチエと婚約した。
のだけど、ちょっと問題が……
「まあまあ、ヴィクトリヤ! 黄色のドレスなんて着るの!?」
「おかしいわよね、お母様!」
「黄色なんて駄目よ。ドレスはやっぱり菫色!」
「本当にこんな変わった方が婚約者なんて、ウスターシュもがっかりね!」
という具合に、めんどくさい家族が。
「本当にすまない、ヴィクトリヤ。君に迷惑はかけないように言うよ」
「よく、言い聞かせてね」
私たちは気が合うし、仲もいいんだけど……
「ウスターシュを洗脳したわね! 絶対に結婚はさせないわよ!!」
この婚約、どうなっちゃうの?
私と婚約破棄して妹と婚約!? ……そうですか。やって御覧なさい。後悔しても遅いわよ?
百谷シカ
恋愛
地味顔の私じゃなくて、可愛い顔の妹を選んだ伯爵。
だけど私は知っている。妹と結婚したって、不幸になるしかないって事を……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる