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第5話 どうするどうするどうする……⁉ ガエル視点(2)
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「……な、なんだと……? 調査は、できないだと……?」
あのあと30分ほど走って到着した、3階で構成されている大きな建物。この地域を担当する『治安所』に駆け込むと、俺から事情の説明を受けた担当者――所長であるフェリシテ・グレスは、そんな返事をしてきたのだった。
「『ファスティーヌ・レステラ様に関する調査は、一切行うことはできません』、だと……!? なっ、なぜだ!? なぜそうなるんだ!?」
治安機関は独立した組織で、貴族の力の影響は一切受けないんだ!! 相手が侯爵家であろうと関係ないんだ!!
父上と母上が――現当主夫妻の態度が急変しているんだぞ!? 非常事態っ、異常事態がが発生しているというのにっ、どうして動かない!?
「オーレン様。我々治安機関はそういった場合、一定以上の証拠、根拠がなければ、動く事ができないのでございます」
明らかに不自然な行動がある。物証がある。などなど。そういったものがなければ、行動に移せないらしい……。
「まっ、待て!! 明らかに不自然な点ならあるではないか!! 会頭と副会頭が揃って権利を手放しファスティーヌに譲ろうとしているのだぞ!? どう見てもおかしいではないかっ!!」
「……オーレン様。そうされるのは、貴方様がたが結婚されてから。そう仰られていたのですよね?」
「あ、ああ。そうだ。それが、なんだ?」
「非常に優秀だと理解し、結婚後に譲ると決める。そういったケースは多くはないものの、意外とよくあるものなのですよ」
だから、明らかな不自然ではない――。そう口にし、ヤツは更に続ける。
「わたしは四十数年色々な問題を担当してきましたが、未だに『洗脳』という事件を見た事も聞いた事もございません。国内外問わず、です」
「…………」
「そのためそういった部分を見て、調査に乗り出すこともできないのですよ。僅かでもその痕跡など証拠があれば、話は変わってくるのですが――」
「僅かでも証拠があればいいんだな!? 分かった!! それを確保しここに持ってこようじゃないか!!」
何かを行ったのであれば、きっとっ、何かしらは残っているはずだ!
所長よっ、お前は言ったな!? 明言したのだから、しっかり動いてもらうぞ!!
「必ず発見し、目の前に用意しようじゃないか! フェリシテ・グレスっ! すぐ動けるように準備をしておけよっ!!」
そうして指示を出しながら立ち上がり、大急ぎで馬車に乗って自邸へと戻った。
ファスティーヌは今夜、公爵家主催の夜会に参加すると言っていた! ヤツが居ないこの隙に、徹底的に調べるぞ!!
あのあと30分ほど走って到着した、3階で構成されている大きな建物。この地域を担当する『治安所』に駆け込むと、俺から事情の説明を受けた担当者――所長であるフェリシテ・グレスは、そんな返事をしてきたのだった。
「『ファスティーヌ・レステラ様に関する調査は、一切行うことはできません』、だと……!? なっ、なぜだ!? なぜそうなるんだ!?」
治安機関は独立した組織で、貴族の力の影響は一切受けないんだ!! 相手が侯爵家であろうと関係ないんだ!!
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明らかに不自然な行動がある。物証がある。などなど。そういったものがなければ、行動に移せないらしい……。
「まっ、待て!! 明らかに不自然な点ならあるではないか!! 会頭と副会頭が揃って権利を手放しファスティーヌに譲ろうとしているのだぞ!? どう見てもおかしいではないかっ!!」
「……オーレン様。そうされるのは、貴方様がたが結婚されてから。そう仰られていたのですよね?」
「あ、ああ。そうだ。それが、なんだ?」
「非常に優秀だと理解し、結婚後に譲ると決める。そういったケースは多くはないものの、意外とよくあるものなのですよ」
だから、明らかな不自然ではない――。そう口にし、ヤツは更に続ける。
「わたしは四十数年色々な問題を担当してきましたが、未だに『洗脳』という事件を見た事も聞いた事もございません。国内外問わず、です」
「…………」
「そのためそういった部分を見て、調査に乗り出すこともできないのですよ。僅かでもその痕跡など証拠があれば、話は変わってくるのですが――」
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何かを行ったのであれば、きっとっ、何かしらは残っているはずだ!
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「必ず発見し、目の前に用意しようじゃないか! フェリシテ・グレスっ! すぐ動けるように準備をしておけよっ!!」
そうして指示を出しながら立ち上がり、大急ぎで馬車に乗って自邸へと戻った。
ファスティーヌは今夜、公爵家主催の夜会に参加すると言っていた! ヤツが居ないこの隙に、徹底的に調べるぞ!!
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(他「エブリスタ」様に投稿)
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