お前なんかに会いにくることは二度とない。そう言って去った元婚約者が、1年後に泣き付いてきました

柚木ゆず

文字の大きさ
11 / 27

第6話 見つけるぞ! ガエル視点(2)

しおりを挟む
「父上母上っ! 目を覚ましてください!! 貴方達は操られてしまっているのですよっっ!!」

 執務室を飛び出した俺は、廊下にいる――執務室に押し入ろうとしていた2人の肩に手を置き、思い切り揺すり始めた。
 何かしらの衝撃によって、洗脳が解ける。これも、物語ではよくあるものだ! そこで今度は『洗脳を解く』を、実践することにした!

「父上と母上が目を覚ませば、ファスティーヌの行動を把握できるんですっ! 証拠を掴めるのですよ!! 目を覚ましてください!!」
「おっ、お前はずっと何を言っているんだ!? わたし達は操られてなどおらん!!」
「そうよっ。貴方、どうしてしまったのっ!? お昼からおかしいわよ……!?」
「おかしいのは父上と母上だ!! 冷静になって考えてみてください!! 祖父が設立し自らが必死になって大きくした商会を、簡単に渡そうとしているのですよ!? おかしいとは思わないのですかっっ!?」

 今まで努力をして、ようやく金の生る木になったんだぞ!! そんなものを手放す!?
 部下たちに指示を出すだけで大量の金が入ってくる、一生の安泰を保証してくれる存在なんだぞ!? 放棄なんてあり得ないだろう!!

「ガエルよ。この判断は、何らおかしくはない。至極適切な判断だ」
「広い目で見て、自分達より優秀な家族にお任せする。それの何がおかしいというの?」
「一切の権利を渡せばウチが商会をコントロールできなくなるんですよ!? その気になれば経営からオーレン家を排除することだって可能で――」
「「ファスティーヌ様が排除? あるはずがないだろう(ないでしょ)」

 2人は同じタイミングで否定し、同じように笑い飛ばした。
 だ、駄目だ……。父上と母上に何を言っても意味はないし、揺さぶりも何の意味もないらしい……。

((衝撃で目覚める。間違いだったのか……?))

 いや違う! まだそうとは言い切れないっ。
 昔読んだ本では、あの方法・・・・で目を覚まさせていた。

「方向性は、合っているはず。きっと、衝撃が足りていなかったんだ」
「ガエル? 今度は何を言っているんだ?」
「方向性? 衝撃? ……貴方は、なにをしようとしているの……?」
「なにを? 俺はこれから、こうしようとしているのですよ!!」

 渾身の力を注いで、左右の手を振って――

「ぁぶっ!?」「きゃぁ!?」
 父上と母上の頬を、全力ではたく。

 平手打ち。
 こいつで解決したパターンがあった。だからっ!
 これによって心身に衝撃を受け、2人は――

「なにをする!!」「何をするのよ!!」
「おぶぅ!?」

 ――なっ!? 2人は同時に、俺の頬をビンタした!?

しおりを挟む
感想 128

あなたにおすすめの小説

無表情な奴と結婚したくない?大丈夫ですよ、貴方の前だけですから

榎夜
恋愛
「スカーレット!貴様のような感情のない女となんて結婚できるか!婚約破棄だ!」 ......そう言われましても、貴方が私をこうしたのでしょう? まぁ、別に構いませんわ。 これからは好きにしてもいいですよね。

妹に婚約者を奪われたけど、婚約者の兄に拾われて幸せになる

ワールド
恋愛
妹のリリアナは私より可愛い。それに才色兼備で姉である私は公爵家の中で落ちこぼれだった。 でも、愛する婚約者マルナールがいるからリリアナや家族からの視線に耐えられた。 しかし、ある日リリアナに婚約者を奪われてしまう。 「すまん、別れてくれ」 「私の方が好きなんですって? お姉さま」 「お前はもういらない」 様々な人からの裏切りと告白で私は公爵家を追放された。 それは終わりであり始まりだった。 路頭に迷っていると、とても爽やかな顔立ちをした公爵に。 「なんだ? この可愛い……女性は?」 私は拾われた。そして、ここから逆襲が始まった。

突然倒れた婚約者から、私が毒を盛ったと濡衣を着せられました

恋愛
パーティーの場でロイドが突如倒れ、メリッサに毒を盛られたと告げた。 メリッサにとっては冤罪でしかないが、周囲は倒れたロイドの言い分を認めてしまった。

妹は私から奪った気でいますが、墓穴を掘っただけでした。私は溺愛されました。どっちがバカかなぁ~?

百谷シカ
恋愛
「お姉様はバカよ! 女なら愛される努力をしなくちゃ♪」 妹のアラベラが私を高らかに嘲笑った。 私はカーニー伯爵令嬢ヒラリー・コンシダイン。 「殿方に口答えするなんて言語道断! ただ可愛く笑っていればいいの!!」 ぶりっ子の妹は、実はこんな女。 私は口答えを理由に婚約を破棄されて、妹が私の元婚約者と結婚する。 「本当は悔しいくせに! 素直に泣いたらぁ~?」 「いえ。そんなくだらない理由で乗り換える殿方なんて願い下げよ」 「はあっ!? そういうところが淑女失格なのよ? バーカ」 淑女失格の烙印を捺された私は、寄宿学校へとぶち込まれた。 そこで出会った哲学の教授アルジャノン・クロフト氏。 彼は婚約者に裏切られ学問一筋の人生を選んだドウェイン伯爵その人だった。 「ヒラリー……君こそが人生の答えだ!!」 「えっ?」 で、惚れられてしまったのですが。 その頃、既に転落し始めていた妹の噂が届く。 あー、ほら。言わんこっちゃない。

王太子様には優秀な妹の方がお似合いですから、いつまでも私にこだわる必要なんてありませんよ?

木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるラルリアは、優秀な妹に比べて平凡な人間であった。 これといって秀でた点がない彼女は、いつも妹と比較されて、時には罵倒されていたのである。 しかしそんなラルリアはある時、王太子の婚約者に選ばれた。 それに誰よりも驚いたのは、彼女自身である。仮に公爵家と王家の婚約がなされるとしても、その対象となるのは妹だと思っていたからだ。 事実として、社交界ではその婚約は非難されていた。 妹の方を王家に嫁がせる方が有益であると、有力者達は考えていたのだ。 故にラルリアも、婚約者である王太子アドルヴに婚約を変更するように進言した。しかし彼は、頑なにラルリアとの婚約を望んでいた。どうやらこの婚約自体、彼が提案したものであるようなのだ。

【完結】悪女を押し付けられていた第一王女は、愛する公爵に処刑されて幸せを得る

甘海そら
恋愛
第一王女、メアリ・ブラントは悪女だった。 家族から、あらゆる悪事の責任を押し付けられればそうなった。 国王の政務の怠慢。 母と妹の浪費。 兄の女癖の悪さによる乱行。 王家の汚点の全てを押し付けられてきた。 そんな彼女はついに望むのだった。 「どうか死なせて」 応える者は確かにあった。 「メアリ・ブラント。貴様の罪、もはや死をもって以外あがなうことは出来んぞ」 幼年からの想い人であるキシオン・シュラネス。 公爵にして法務卿である彼に死を請われればメアリは笑みを浮かべる。 そして、3日後。 彼女は処刑された。

酒の席での戯言ですのよ。

ぽんぽこ狸
恋愛
 成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。  何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。  そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。

【完結】婚約者も両親も家も全部妹に取られましたが、庭師がざまぁ致します。私はどうやら帝国の王妃になるようです?

鏑木 うりこ
恋愛
 父親が一緒だと言う一つ違いの妹は姉の物を何でも欲しがる。とうとう婚約者のアレクシス殿下まで欲しいと言い出た。もうここには居たくない姉のユーティアは指輪を一つだけ持って家を捨てる事を決める。 「なあ、お嬢さん、指輪はあんたを選んだのかい?」  庭師のシューの言葉に頷くと、庭師はにやりと笑ってユーティアの手を取った。  少し前に書いていたものです。ゆるーく見ていただけると助かります(*‘ω‘ *) HOT&人気入りありがとうございます!(*ノωノ)<ウオオオオオオ嬉しいいいいい! 色々立て込んでいるため、感想への返信が遅くなっております、申し訳ございません。でも全部ありがたく読ませていただいております!元気でます~!('ω')完結まで頑張るぞーおー! ★おかげさまで完結致しました!そしてたくさんいただいた感想にやっとお返事が出来ました!本当に本当にありがとうございます、元気で最後まで書けたのは皆さまのお陰です!嬉し~~~~~!  これからも恋愛ジャンルもポチポチと書いて行きたいと思います。また趣味趣向に合うものがありましたら、お読みいただけるととっても嬉しいです!わーいわーい! 【完結】をつけて、完結表記にさせてもらいました!やり遂げた~(*‘ω‘ *)

処理中です...