お前なんかに会いにくることは二度とない。そう言って去った元婚約者が、1年後に泣き付いてきました

柚木ゆず

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第12話 終わりの始まり ファスティーヌ視点(3)

「そ、それは……。あ、あれだ! ファスティーヌの化粧品だ! とあるルートで手に入れたっ、希少な化粧水なのだ!!」
「そっ、そうですのっ!! 結婚して、もっと綺麗になりたいと思うようになりましたのっっ。お父様が隣国で見つけてくださった珍しいものですのっ!」

 液体の正体が発覚したら、罪が遥かに増えて大変なことになってしまう! 何が何でも、お金の問題だけで済まさないといけない!
 だからわたくし達は、必死になって弁明を行う。

「こっ、こうして肌につけて使うものなんですのっ。ほっ、ほらっ。このようにっ」
「めっ、珍しいハーブを複数使ったものなのだよっ。そのため認知度は0に等しいが、どこにでもあるものなのだよ!」

 少量を嗅いでも、害はありませんものっ。信用させるために手に落とし、顔に塗りつけるっ。
 この液体は美容に関する液体っ! ねっ? ねっ!? 納得したでしょっ!?

「「「「「………………」」」」」
「署長殿や諸君らにも妻や娘はいるだろう!? その者達もよく行っているだろう!? 何やら怪しまれてしまっているが極々普通のものなのだよ!!」
「怪しいものなら平気で顔にはつけられませんわっ! ねっ? ねっ!? ご理解いただけましたでしょう!?」

 もういいでしょう!? いいわよねっ!?
 この話はお仕舞ですわ!!
 さあっ、さあっ! 商会の金を不当に流した罪で、わたくし達を――

「当主殿、ファスティーヌ殿。貴方がたは、忘れてしまっているのですね。わたしが先ほど、『思い当たる節がある』と口にしたことを」

 ――え?
 そ、そういえば……。言っていたような気が、するけれど……。この男は、何を言っているの……?

((な、なに……? どんな節が、ありますの……))

 勝手に溜まっていた唾液を飲み込んで、局長の口元を見つめる。すると彼は小瓶を一瞥して、その口からは……。こんな言葉が、出たのだった……。

「あれは今から、3か月半ほど前のことでした。ガエル・オーレン殿が治安局にいらっしゃられて、こう仰られていたのですよ。『ファスティーヌが商会を乗っ取ろうとしている』『当主夫妻はファスティーヌによって洗脳されてしまった』、とね」

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