なんでも欲しがる妹が、姉の婚約者を奪おうとした結果

柚木ゆず

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第6話 そっか、そういうコトだったんだ! ローズ視点&フェリックス視点(1)

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『ローズお嬢様。お食事の時間でございます』
『もう、そんな時間なんだ……。…………今は要らなくて、あとで食べる。フェリックス兄さんと姉さんには、先に食べてって伝えておいて』

 起こしにきた使用人リーンに力なく首を振ってから、およそ40分後。ようやく多少回復したあたしは、ベッドの上でむっくりと起き上がる。
 頭の痛みとか吐き気とかは、だいぶ収まった。そろそろ、フェリックス兄さんについて考えよう。

「……ホント、意味不明で滅茶苦茶……。なんなのよ、アレ……」

 あたしを好きになってるのに、姉さんと2人で過ごしたり3人でトランプをしようと言い出したりする。
 どうなってるの? あの人の中で、何が起きてるの?

「………………落ち着いて考えてみても、魅了されてる男の言動とは思えない……。もしかして、魔法がかかってない……? もしくは、書かれてた魔法の内容は嘘……?」

 ううん。やっぱり、それはあり得ない。
 だって、瞳の中にピンクのハートマークが浮かんだんだもん。ちゃんとかかってるし、他が事実を書いてあるのにそこだけ違うなんてあり得ない。

「…………でも…………。やっぱし、魅了されてるとは思えないんだよね……」

 どう考えても、あたしに恋をしているとは思えない。
 だから……。う~ん……。どうしよう……。ちゃんと効いてるのか、確認してみたいけど……。確認する方法が、思いつかない――ううんっ。思い付いたっ!

「もぅ、あたしってば何やってんだろ。直接確認すればいいんじゃない!」

 混乱してて、すっかり忘れてた。魅了されているかされていないかは、『あたしを愛してる?』って聞けば簡単に分かるんだった。
 今までは姉さんを愛していて、あたしを愛してはいなかったんだもん。これでハッキリする。

「もしかかってないなら、違うやり方を探す。もしかかってたなら――…………。頭が痛くなりそうだから、そっちは考えないようにしよ」

 うん。今は、細かいコトは置いておく。とにかく、そうかそうじゃないかを確かめよう。

「この時間なら、まだ帰ってないよね。1階に降りて行って耳打ちをして、こっそり確認を――」
『ローズ。入ってもいいかな?』

 ベッドから降りようとしていたら、ノックの音と少し低めな心地の良い声が聞こえてきた。
 ラッキーっ。フェリックス兄さんの方から来てくれた!
 それじゃあっ。作戦、スタートっ。


 〇〇〇


「……そっか。ローズは、夕食に参加しないんだね」
「そう、みたいですね……。フェリックスさんが立ててくださった作戦をできたら、きっとローズも笑顔になれると思ったのですが………」
「…………いいや、問題はないよ。一部を変更して、応用は可能だ。あとで彼女の部屋にパンとスープを持っていて、その際に行ってみるよ」

 オールドメイドの提案は、ローズに気を遣ったものじゃない。
 僕の本心なんだ。ラブとライクという差はあるものの、その量は同じ。サーラと同じくらい、ローズも愛している・・・・・んだ。

 君が、大好きなんだ・・・・・・――。それをちゃんと、伝えにいこう。
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