歯向かう相手を間違えたな、ですか? 確かにそうですね

柚木ゆず

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第5話 歯向かう相手を間違えたな? 俯瞰視点(2)

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「ショーがあると聞いてね、遊びに来たのさ。飛び入り参加は可能かな?」

 顔をすっぽり覆う形の白い仮面と、上下ともにやけにひらひらとした漆黒の服。そんな異様な出で立ちの闖入者は、中性的な声音を出しました。

「そこのふんぞり返っている君が、主催者なのだろう? どうかな? ボクは参加できるのかい?」
「………………どうして、ここに、いる……?」
「おや? 問いに問いが返って来たね? だから言っただろう? ショーがあると聞いて――」
「そうじゃない!! この建物に――そもそもだ!! 敷地に誰も近づけないようにウチの人間を10人も置いていたんだぞ!? どうやって入って来た!?」

 部外者は立ち入れる環境になかったのに、部外者が立ち入れている。有り得ないことが起こり、ギャスパーは目を剥きました。

「ああ、知りたいのはソコか。どうやって? その答えは実にシンプルだ。全員無力化してここに来た」
「ぜ、ぜんいん……!?」
「そうさ、全員。彼らは『近づくな!』『力ずくで排除するぞ!』とうるさくてね。いくらお願いしても通してくれなかったから、眠ってもらったのさ。こんな風にね」
「!?」
「「「「「!?」」」」」

 闖入者が玄関部の扉を開けて、指差した方向。そこでは、警備担当の男達が重なるようにして倒れていました。

「以上で、問いの問いへの回答はお仕舞いだ」
「………………」
「「「「「………………」」」」」
「では主催者殿、今度はこちらの問いに応える番だ。ショーに飛び入り参加しても、構わないかな?」
「…………な、何者だ、お前は……。どこの回し者だ……」

 残念ながら、希望はかなわず。再び問いがやって来ました。

「なんの目的でここに来た!! 全部言え!! 言え!! 言えっ!!」
「くく、顔がトマトのようだ。これ以上煽ったら、血管が破裂してしまいそうだな」

 謎の闖入者はパンパンと手を叩いてギャスパーを嗤い、仮面を――顔を、イザックへと向けました。

「そろそろ明かしてあげようか。ボクは、そこの彼を救いに来たのさ。とある人に頼まれてね」
「……サフォザット家当主……。いや、ローヴァンス家の人間か……!?」
「両方かもしれないし、片方かもしれないし、まったくの別人かもしれない。とにかくボクは、イザック・サフォザットを無傷で助ける使命、そしてルルダール家の者達を無力化する使命を帯びている」

 だから。

「だから、君達も眠ってもらうよ?」

「!?」
「「「「「!?」」」」」
「「「「「!?」」」」」

 言い終えた、その刹那でした。闖入者は、軽やかに床を蹴って――

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