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第5話 歯向かう相手を間違えたな? 俯瞰視点(4)
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「うぎゃああああああああああ!? いたいぃぃぃ!? いたいいいいいいい!? いたいいいいいいいいいいいいいいい!?」
まるでピンポン玉のように弾き飛ばされたギャスパーは、絶叫。ヘンな方向に曲がった鼻を押さえながら、右へ左へと転がり回りました。
「鼻が折れているのだから、そりゃあ痛いよ。けどご安心、その痛みはまもなくなくなるよ」
「ぎゃああああああああ!? うがああああああああああああ!? ぎいいいいいいいいいいいいいいいいいい!? あがあああああああああ――あぶぶ…………」
無様にのたうち回っていたギャスパーが、突然動かなくなってしまう。激痛が彼の許容範囲を超えてしまい、失神してしまったのです。
「………………」
「「「「「………………」」」」」
「「「「「………………」」」」」
「ボス1人、その手下10人、沈黙。外の敵も中の敵も、全員おやすみなさいっと」
ぴゅぅと呑気に口笛を吹いた闖入者は、慣れた手付きで11人を拘束。逃げられないように両手両足を縛り、声を出せないように口を塞ぎました。
「よしよし、これで身動きが取れなくなった。っというわけで、もう安心ですよサフォザットさん」
全員の自由を完全に奪った闖入者は唖然となっているイザックに歩み寄り、紳士的な所作で一礼しました。
「アルマさん? アルマさんのお父上ロザールさん? の誰かから話を聞いてますよね? ボクが噂のお助け人です」
「や、やはりそうでしたか。ありがとうございます。ありがとうございました……!」
「ボクはとある御方の命令で動いてるだけなんでね、礼なんて要らないですよ。そもそもコレって、正義の行動が生み出したこと。別に責任を感じることなんてないですって」
はっはっはっは。仮面の下から快活な笑い声が響き、床で伸びている11人を眺め回しました。
「実は――実は、でもないっか。これからこの者達の対応をしないといけなくって、その様子はイザックさんにはお見せできないんですよ」
「そ、そうなのですね。早急にこの場を去った方がよろしいのでしょうか?」
「そうしてもらえると助かります。え~と~。確か敷地の外には、サフォザット家の方々が待機されてましたよね? 道中に危険はありませんので、どうぞ行っちゃってください」
「承知いたしました。……一回だけ、改めてお伝えさせてください。ありがとう、ございました」
要らないと言われたものの、それでも、どうしても感謝を伝えたかった。イザックは片膝をついて最大級の謝意を告げ、少しでも早く動けるようにと走ってその場を去ったのでした。
「おげんきで~! …………さあて、と。その他はここに置いておいて、ギャスパー・ルルダールを連れて行きましょうかね」
まるでピンポン玉のように弾き飛ばされたギャスパーは、絶叫。ヘンな方向に曲がった鼻を押さえながら、右へ左へと転がり回りました。
「鼻が折れているのだから、そりゃあ痛いよ。けどご安心、その痛みはまもなくなくなるよ」
「ぎゃああああああああ!? うがああああああああああああ!? ぎいいいいいいいいいいいいいいいいいい!? あがあああああああああ――あぶぶ…………」
無様にのたうち回っていたギャスパーが、突然動かなくなってしまう。激痛が彼の許容範囲を超えてしまい、失神してしまったのです。
「………………」
「「「「「………………」」」」」
「「「「「………………」」」」」
「ボス1人、その手下10人、沈黙。外の敵も中の敵も、全員おやすみなさいっと」
ぴゅぅと呑気に口笛を吹いた闖入者は、慣れた手付きで11人を拘束。逃げられないように両手両足を縛り、声を出せないように口を塞ぎました。
「よしよし、これで身動きが取れなくなった。っというわけで、もう安心ですよサフォザットさん」
全員の自由を完全に奪った闖入者は唖然となっているイザックに歩み寄り、紳士的な所作で一礼しました。
「アルマさん? アルマさんのお父上ロザールさん? の誰かから話を聞いてますよね? ボクが噂のお助け人です」
「や、やはりそうでしたか。ありがとうございます。ありがとうございました……!」
「ボクはとある御方の命令で動いてるだけなんでね、礼なんて要らないですよ。そもそもコレって、正義の行動が生み出したこと。別に責任を感じることなんてないですって」
はっはっはっは。仮面の下から快活な笑い声が響き、床で伸びている11人を眺め回しました。
「実は――実は、でもないっか。これからこの者達の対応をしないといけなくって、その様子はイザックさんにはお見せできないんですよ」
「そ、そうなのですね。早急にこの場を去った方がよろしいのでしょうか?」
「そうしてもらえると助かります。え~と~。確か敷地の外には、サフォザット家の方々が待機されてましたよね? 道中に危険はありませんので、どうぞ行っちゃってください」
「承知いたしました。……一回だけ、改めてお伝えさせてください。ありがとう、ございました」
要らないと言われたものの、それでも、どうしても感謝を伝えたかった。イザックは片膝をついて最大級の謝意を告げ、少しでも早く動けるようにと走ってその場を去ったのでした。
「おげんきで~! …………さあて、と。その他はここに置いておいて、ギャスパー・ルルダールを連れて行きましょうかね」
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