今日は、苦しめてきた者達が苦しむ日

柚木ゆず

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プロローグ ルイーザ・ワットアーク視点

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 期待や不安、様々な感情を抱きながら『王立・ダコラッタール学院』に入学してから、僅か3か月目のこと。わたしの日常は、突然一変することとなってしまいました。

『ワットアークさん、貴方生意気よ。図に乗るとどうなるか教えてあげるわ』

 ハワエリエ男爵令嬢エルア様に嫌がらせをしているボハルイア伯爵令嬢マリー様を偶然見掛け、止めようとしたのが切っ掛けでした。
 わたしルイーザは子爵家の娘で、格下。そんな相手から注意されたことが許せなかったらしく、その日から攻撃の対象が――ストレス発散の捌け口が、エルア様からわたしに移ってしまったのです。

『四つん這いになってワンと言いなさい』

『あら失礼、美味しいお茶をプレゼントしようとおもっていたのよ。でもついうっかり、目の前でバランスを崩してしまったの』

 首輪をつけられて犬の真似をさせられたり、紅茶を頭からかけられたり。

『あら、こんなところに障害物がありますわねぇ。邪魔ですわ』

『ああもう!! ああもう!!』

 思い切り後ろから突き飛ばされたり、お腹を蹴られたり。
 その日のストレスのたまり具合によって、毎日様々な形で心と身体を傷付けられるようになりました。しかも――

『あなた達も、色々と溜まっているでしょう? やっていいわよ』
『ありがとうございます。マリー様』
『ありがとうございます、マリー様』

 取り巻きの、ミ―サルト子爵令嬢アンル様。更には、エルア様――わたしに攻撃対象が移ったことで取り巻きその2となってしまった、エルア様にも攻撃されてしまうようになって……。

((…………もう、無理です……))

 4か月間我慢をし続けましたが、限界になってしまいました。

 攻撃の証拠が残らないようにされているため、誰にも被害を訴えられない。
 やめてください、と言ってやめてくれるような人たちではない。
 お父様とお母様に相談したら『そのくらい我慢しなさい』『休学は許さない』と言われて、叔父様がわたしの味方をしてくれたら『お前は口を挟むな!』と以後は接触できないようにしてしまって何もしてはくださらない。

 助けを求める場所も、弱音を吐く場所もない。
 心も身体もボロボロになってしまい、なにもかもが嫌になってしまって……。なにも、考えたくなくなってしまって……。

 わたしは今日、自ら命を絶つことにしました。

((……もしも生まれ変われたら、次は平穏に過ごせますように……。できれば、楽しく人生を過ごせますように……))

 深夜0時過ぎ、寄宿舎が静まり返ったタイミング。そんなことを考えながら2階にある自室の窓を開け、

((ごめんなさい))

 わたしは、窓の外へと身を投げ出したのでした。


 〇〇


((……まったく、いつの時代ものんびりと過ごせないものですね。ルイーザ、貴方が死ぬ必要なんてありませんよ。わたくしに任せておいてください))
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