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第8話 過去~イメージ通りにならない理由~ カイン視点(1)
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「ぐす……っ。ぐす……っ」
幼い頃の僕は弱虫で泣き虫で、決して反撃しないからなのだと思う。今から9年前――8歳の頃の僕は、兄上のストレスを発散する道具となっていた。
突き飛ばされたり叩かれたり、好きな本を取り上げられたり。イライラすることがあったら八つ当たりをされて、いつも一人部屋で泣いていた。
「うぇぇぇん……っ。ぐす……っ」
嫌だからやめてもらいたいけど、お願いしてもやめてはもらえない。告げ口するともっと怖い思いをするから、誰にも助けを求められない。
だからこうすることしかできなくて、こんな辛いことがずっと続くんだと思っていた。あの時までは――。
「大丈夫ですよ、カイン様。もう痛い思いをすることはありませんよ」
兄上の婚約者となった、ルーラ様。彼女は偶然僕への行動を聞き、厳しく指摘をしてくれて。兄上の怒りと不満を買いながらも、僕への行為を止めてくれたのだった。
「……ひぅっ、すぐ……っ。ルーラ様。ありがとう、ござい、ます……っ」
「悪事を咎め止める、そちらは当たり前のことです。お気になさらないでください」
泣きながら感謝する僕を優しく抱き締めてくれて、穏やかに微笑んでくれる。その様が、僕には天使に見えて――。
恋をした。
触覚と視覚で感じた、温かさ。それによってあっという間に、生まれて初めて『好き』という気持ちが芽生えたのだった。
……でも。その想いが実ることは、ありえない。僕の好きな人は、兄上の婚約者なのだから。
((残念だけど、仕方がないよね……))
なのでその気持ちに蓋をして、生きてゆくことにした。以降は義姉という認識のみを抱き、過ごしてゆくことにしたのだった。
そして、同時に――。
幼い頃の僕は弱虫で泣き虫で、決して反撃しないからなのだと思う。今から9年前――8歳の頃の僕は、兄上のストレスを発散する道具となっていた。
突き飛ばされたり叩かれたり、好きな本を取り上げられたり。イライラすることがあったら八つ当たりをされて、いつも一人部屋で泣いていた。
「うぇぇぇん……っ。ぐす……っ」
嫌だからやめてもらいたいけど、お願いしてもやめてはもらえない。告げ口するともっと怖い思いをするから、誰にも助けを求められない。
だからこうすることしかできなくて、こんな辛いことがずっと続くんだと思っていた。あの時までは――。
「大丈夫ですよ、カイン様。もう痛い思いをすることはありませんよ」
兄上の婚約者となった、ルーラ様。彼女は偶然僕への行動を聞き、厳しく指摘をしてくれて。兄上の怒りと不満を買いながらも、僕への行為を止めてくれたのだった。
「……ひぅっ、すぐ……っ。ルーラ様。ありがとう、ござい、ます……っ」
「悪事を咎め止める、そちらは当たり前のことです。お気になさらないでください」
泣きながら感謝する僕を優しく抱き締めてくれて、穏やかに微笑んでくれる。その様が、僕には天使に見えて――。
恋をした。
触覚と視覚で感じた、温かさ。それによってあっという間に、生まれて初めて『好き』という気持ちが芽生えたのだった。
……でも。その想いが実ることは、ありえない。僕の好きな人は、兄上の婚約者なのだから。
((残念だけど、仕方がないよね……))
なのでその気持ちに蓋をして、生きてゆくことにした。以降は義姉という認識のみを抱き、過ごしてゆくことにしたのだった。
そして、同時に――。
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