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第9話 本当の、最悪へ 俯瞰視点(1)
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「むごぉぉ!!」((やめろおぉぉ!!))
「むごぉぉお!!」((やめてええええ!!))
「むごおおおぉぉ!!」((いやああああああ!!))
「うるさいですよ。静かにしていてください」
「むごぉぉぉ!!」((いやだああああ!!))
「むごおおおおお!!」((いやああああ!!))
「ぐおおおぉおぉぉぉ!!」((にがしてえええええ!!))
「…………ルーラント兄上」
「そうだな。忠告を無視した兄上達が、悪いのですよ」
「「「ぐぼぉ!?」」」
車内で暴れて腹部を殴られ、意識を刈り取られる。気を失っている間に3人を乗せた車は心地の良い快晴の空の下を進んでいき、太陽が沈んでまた昇り、また沈みかけようとする時でした。ようやく、目的地に到着しました。
「我々は、ロンテイエ家の者でございます」
「本日はお詫びの品の献上に参りました」
至る所に金を使った、悪趣味な大豪邸。馬車は大きな門を潜って広大な敷地内に入り、停車すると3人は乱暴に引きずり出されました。
「むぐうう!!」((頼む!! 助けてくれ!!))
「むぐうう!!」((お願い!! 助けて!!))
「むぐうううう!!」((いやああああああ!! たすけてぇええええ!!))
「………………」
「………………」
ルーラント達は訴えを無視してお屋敷の中へと入っていき、3人も拘束された状態でお屋敷こと悪魔の住処へと足を踏み入れます。そうして3人は、ブリアックのみがよく知っている応接室へと移動させられ――
「報告は聞いておる。献上品があるそうじゃな?」
――しばらくすると、ブクブクに太った悪人顔の老人こと、ロバールがパイプを噴かせながらその姿を現しました。
「しかし、愉快な光景じゃな。もしやソレらが、献上品か?」
「さようでございます」
先日はこちらの都合で不快な思いをさせてしまった――。そのお詫びとして長女とこの2人を差し上げます――。こちらで怒りを鎮めてはいただけないでしょうか――。
代表してルーラントが事情を説明し、ルーラントとゾウルは片膝をつきました。
「「どうか、ご容赦を」」
「………………ふむ。この女が、ベネディクトの代わりか」
頭のてっぺんから足先までじっくりと観察し、再度顔と胴体にねっとりとした視線を送ります。
ロバールによる値踏みは、1分ほどで終わり――
「コイツはなにより、顔が不細工じゃ。ベネディクトの代わりにはならんよ」
――NOが出ました。
((!! 助かりましたわ……!!))
((交渉不成立、ということは……!!))
((我々は解放される……!!))
屋敷に戻って、潰されるのを待つことになって――その間に夜逃げする。
3人の頭の中にはそんな未来図が描かれましたが、今日は、本当の最悪が発生する日。思い通りになるはずがなく――
「むごぉぉお!!」((やめてええええ!!))
「むごおおおぉぉ!!」((いやああああああ!!))
「うるさいですよ。静かにしていてください」
「むごぉぉぉ!!」((いやだああああ!!))
「むごおおおおお!!」((いやああああ!!))
「ぐおおおぉおぉぉぉ!!」((にがしてえええええ!!))
「…………ルーラント兄上」
「そうだな。忠告を無視した兄上達が、悪いのですよ」
「「「ぐぼぉ!?」」」
車内で暴れて腹部を殴られ、意識を刈り取られる。気を失っている間に3人を乗せた車は心地の良い快晴の空の下を進んでいき、太陽が沈んでまた昇り、また沈みかけようとする時でした。ようやく、目的地に到着しました。
「我々は、ロンテイエ家の者でございます」
「本日はお詫びの品の献上に参りました」
至る所に金を使った、悪趣味な大豪邸。馬車は大きな門を潜って広大な敷地内に入り、停車すると3人は乱暴に引きずり出されました。
「むぐうう!!」((頼む!! 助けてくれ!!))
「むぐうう!!」((お願い!! 助けて!!))
「むぐうううう!!」((いやああああああ!! たすけてぇええええ!!))
「………………」
「………………」
ルーラント達は訴えを無視してお屋敷の中へと入っていき、3人も拘束された状態でお屋敷こと悪魔の住処へと足を踏み入れます。そうして3人は、ブリアックのみがよく知っている応接室へと移動させられ――
「報告は聞いておる。献上品があるそうじゃな?」
――しばらくすると、ブクブクに太った悪人顔の老人こと、ロバールがパイプを噴かせながらその姿を現しました。
「しかし、愉快な光景じゃな。もしやソレらが、献上品か?」
「さようでございます」
先日はこちらの都合で不快な思いをさせてしまった――。そのお詫びとして長女とこの2人を差し上げます――。こちらで怒りを鎮めてはいただけないでしょうか――。
代表してルーラントが事情を説明し、ルーラントとゾウルは片膝をつきました。
「「どうか、ご容赦を」」
「………………ふむ。この女が、ベネディクトの代わりか」
頭のてっぺんから足先までじっくりと観察し、再度顔と胴体にねっとりとした視線を送ります。
ロバールによる値踏みは、1分ほどで終わり――
「コイツはなにより、顔が不細工じゃ。ベネディクトの代わりにはならんよ」
――NOが出ました。
((!! 助かりましたわ……!!))
((交渉不成立、ということは……!!))
((我々は解放される……!!))
屋敷に戻って、潰されるのを待つことになって――その間に夜逃げする。
3人の頭の中にはそんな未来図が描かれましたが、今日は、本当の最悪が発生する日。思い通りになるはずがなく――
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☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
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