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第5話 なんで? サーシャ視点(2)
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「アリシア・マチエス様。あの夜のことを、考え直してはいただけないでしょうか?」
エザント様が来訪された目的。それは、拍子抜けするものだった。
この方は、姉様を諦めきれなかった。そのためこうしてやって来ていて、
2人きりは気まずくて、会ってくれないかもしれない。
そんな心配があって、あたし達に同席を頼みたかったみたい。
っていうのは、たぶん建前。この方には、『誰かに援護してもらいたい』って下心があるんだと思う。
((はぁ、もぅ。気にして損した))
理由は単に、未練がましいだけ。時間を返せって怒りたくなるレベルで酷い動機だった。
「俺はずっと貴方に恋をしていて…………貴方しか見えない、貴方と一緒に人生を歩んでいきたいのです。まずは、友人からでもいいので……。チャンスを、頂けませんか?」
「アリシア。エザント殿は良い噂をよく耳にする、立派な方だ。わたしは、とても有り難いお話だと思うぞ?」
「そうね。アリシア、わたくしもそう思うわ」
エザント様の対面にあるソファーで、姉様を挟む形で座っているお父様とお母様。2人は密かに嗤いながら、姉さんに笑いかけた。
大好きな人がわざわざ来てくれてこう言ってくれてるのに、応えることができないんだもの。お父様お母様、ナイス。最高だわっ。
「ぁ、あの……。ユリス様……。私は……」
((姉様はきっと、『私も大好きなんです!』って言いたいんだよねぇ? でも、言えない))
だって本当のことを言っちゃうと、最悪家を追い出されちゃうんだもん。自分のせいでそうなったら、エザント様に迷惑がかかってしまうものね。
絶対に、出来やしない。
「姉様、お待たせするのは失礼だよ? ほら、早くお返事をして」
さあさあ。早く言いなさい。
折角また伸びてきた縁を、自らの手でバッサリと切って――。メソメソ泣きなさい。
((丸一日たっぷり泣いて、また大泣きする羽目になる。もしかすると、脱水で死んじゃうかもっ))
世にも珍しい、号泣して脱水死。姉様は悪い意味で、後世に名を残すかもしれないわね。
そんなことを考えていると、姉様は静かに立ち上がった。そして、
((ふふふ))
((ふふふ))
((ふふふ))
あたし。父様。母様。3人に見守られながら――
「実は私も、貴方が大好きでした。ユリス様、私を貴方の妻にしてください」
――……………………え?
告白に、応じた……?
エザント様が来訪された目的。それは、拍子抜けするものだった。
この方は、姉様を諦めきれなかった。そのためこうしてやって来ていて、
2人きりは気まずくて、会ってくれないかもしれない。
そんな心配があって、あたし達に同席を頼みたかったみたい。
っていうのは、たぶん建前。この方には、『誰かに援護してもらいたい』って下心があるんだと思う。
((はぁ、もぅ。気にして損した))
理由は単に、未練がましいだけ。時間を返せって怒りたくなるレベルで酷い動機だった。
「俺はずっと貴方に恋をしていて…………貴方しか見えない、貴方と一緒に人生を歩んでいきたいのです。まずは、友人からでもいいので……。チャンスを、頂けませんか?」
「アリシア。エザント殿は良い噂をよく耳にする、立派な方だ。わたしは、とても有り難いお話だと思うぞ?」
「そうね。アリシア、わたくしもそう思うわ」
エザント様の対面にあるソファーで、姉様を挟む形で座っているお父様とお母様。2人は密かに嗤いながら、姉さんに笑いかけた。
大好きな人がわざわざ来てくれてこう言ってくれてるのに、応えることができないんだもの。お父様お母様、ナイス。最高だわっ。
「ぁ、あの……。ユリス様……。私は……」
((姉様はきっと、『私も大好きなんです!』って言いたいんだよねぇ? でも、言えない))
だって本当のことを言っちゃうと、最悪家を追い出されちゃうんだもん。自分のせいでそうなったら、エザント様に迷惑がかかってしまうものね。
絶対に、出来やしない。
「姉様、お待たせするのは失礼だよ? ほら、早くお返事をして」
さあさあ。早く言いなさい。
折角また伸びてきた縁を、自らの手でバッサリと切って――。メソメソ泣きなさい。
((丸一日たっぷり泣いて、また大泣きする羽目になる。もしかすると、脱水で死んじゃうかもっ))
世にも珍しい、号泣して脱水死。姉様は悪い意味で、後世に名を残すかもしれないわね。
そんなことを考えていると、姉様は静かに立ち上がった。そして、
((ふふふ))
((ふふふ))
((ふふふ))
あたし。父様。母様。3人に見守られながら――
「実は私も、貴方が大好きでした。ユリス様、私を貴方の妻にしてください」
――……………………え?
告白に、応じた……?
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