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第9話 3人からアリシアへのお願い サーシャ視点(1)
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「ギヨムお父様、エミリーお母様、サーシャ、ダニエルも、お久しぶりですね。突然どうされたのですか?」
ウチよりも広い敷地面積を誇る、エザント邸内の応接室。そこであたし達4人はガラス製のテーブルを挟み、姉様と向かい合っていた。
大好きな人と暮らせているし、ユリス義兄様の家族にも可愛がられている。そのせいで全身から幸せオーラが出ていて――。それは、こっちとって好都合。
あたし達は改心しているし、今は気分が良いものね。多少無茶なお願いだって、簡単に聞いてくれるはず。
「…………う、うむ……。実はな…………。……………………」
「??? お父様? お母様、サーシャも。暗い顔をされて、どうしたのですか?」
まずは表情を曇らせて、心配をさせる。そうして円滑に進むようにしておいて、お父様は俯いていた顔を上げた。
「…………あのな、アリシア……。我々は、失敗してしまったのだ……」
お父様とお母様が言っていた『勝負』は、大失敗。お父様もお母様も全然緊張感がなかった――まるで遊び感覚でお金を使っていたせいで、なんと8桁の損失を出してしまったのだった。
「…………そう、だったのですね……。でもどうして、急にそのようなことを……?」
「実は、アリシアがもっと暮らしやすく――いやっ、なんでもない! マチエス商会でありマチエス家の更なる発展のために色々と手を出してしまい、実力不足でこうなってしまっただけなのだよ」
アリシアがエザント家で肩身が狭くならないように、一生懸命商会を大きくしようとした――。そう姉様が気付くように、巧みにこっそり匂わせた。
「我々が失敗してしまったせいで、このままでは商会に大きなダメージが入りかねないのだよ……。そこで…………恥と承知でお願いしたい。アリシア……。ユリス殿に、支援を頼んで欲しい」
「当然、それは借用よ。これからはお金をもっと慎重に扱って、必ず返済するから。時間はかかるかもしれないけれど、絶対にお返しするから……! お話を通して欲しいの」
「このままだと、ウチは大変なことになっちゃうの……。姉様、一生のお願いです……」
こう言っておけば姉様は迷わず掛け合ってくれるし、ユリス義兄様にはウチに恩がある。お父様達に約束したんだもの。可愛い奥さんの言うことを素直に聞いて、無期限で――運が良ければ返済の義務なしで、お金を貸してくれる。
そうすれば失敗は帳消しになって、何も心配せずにのんびり過ごせるようになるのです……!
ウチよりも広い敷地面積を誇る、エザント邸内の応接室。そこであたし達4人はガラス製のテーブルを挟み、姉様と向かい合っていた。
大好きな人と暮らせているし、ユリス義兄様の家族にも可愛がられている。そのせいで全身から幸せオーラが出ていて――。それは、こっちとって好都合。
あたし達は改心しているし、今は気分が良いものね。多少無茶なお願いだって、簡単に聞いてくれるはず。
「…………う、うむ……。実はな…………。……………………」
「??? お父様? お母様、サーシャも。暗い顔をされて、どうしたのですか?」
まずは表情を曇らせて、心配をさせる。そうして円滑に進むようにしておいて、お父様は俯いていた顔を上げた。
「…………あのな、アリシア……。我々は、失敗してしまったのだ……」
お父様とお母様が言っていた『勝負』は、大失敗。お父様もお母様も全然緊張感がなかった――まるで遊び感覚でお金を使っていたせいで、なんと8桁の損失を出してしまったのだった。
「…………そう、だったのですね……。でもどうして、急にそのようなことを……?」
「実は、アリシアがもっと暮らしやすく――いやっ、なんでもない! マチエス商会でありマチエス家の更なる発展のために色々と手を出してしまい、実力不足でこうなってしまっただけなのだよ」
アリシアがエザント家で肩身が狭くならないように、一生懸命商会を大きくしようとした――。そう姉様が気付くように、巧みにこっそり匂わせた。
「我々が失敗してしまったせいで、このままでは商会に大きなダメージが入りかねないのだよ……。そこで…………恥と承知でお願いしたい。アリシア……。ユリス殿に、支援を頼んで欲しい」
「当然、それは借用よ。これからはお金をもっと慎重に扱って、必ず返済するから。時間はかかるかもしれないけれど、絶対にお返しするから……! お話を通して欲しいの」
「このままだと、ウチは大変なことになっちゃうの……。姉様、一生のお願いです……」
こう言っておけば姉様は迷わず掛け合ってくれるし、ユリス義兄様にはウチに恩がある。お父様達に約束したんだもの。可愛い奥さんの言うことを素直に聞いて、無期限で――運が良ければ返済の義務なしで、お金を貸してくれる。
そうすれば失敗は帳消しになって、何も心配せずにのんびり過ごせるようになるのです……!
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