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第10話 3人はようやく、理解する サーシャ視点(1)
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「「「……………………」」」
『貴方がたには、1ルピスたりとも渡せません。申し訳ありませんが、そのご依頼はお断りさせていただきます』。
そんな言葉を向けられたあたし達は、まるで石像みたいに固まっていた。
渡さ、ない……? 最愛の人の家族が困っているのに……? 約束、してくれたのに……?
「………………ゆ、ユリス殿……。な、なぜ、なのしょう……? なぜ、我々にご支援をしていただけないのでしょうか……?」
「そちらは、ご自分の胸に手を当ててお考えください。どうしてだと思いますか?」
姉さんの真横に移動した義兄様は、姉様の肩をそっと抱きながら首を傾けてきた。
ど、どうしてって……。それは……。
「もしや……。過去の、行動……?」
「わたくし達が、この子に色々としてしまったから……。そう仰られるんですの……?」
父様と母様はわなわな震えながら口を動かして、すぐに「「でもっ」」と声を揃えた。
「我々はあの日、心を入れ替えました……! 今ではこの子は、我々の大切な娘なのです……っ!」
「ユリスさんっ! その後のわたくし達の言動を思い出していただければ瞭然ですわっ!」
お詫びという名目で必要以上の持参金を用意したし、姉様にもエザント家にも高級なものをどっさり贈ってる。これを見ても、分からないというの……?
「ユリス、義兄様……。過去に行った事は、いくら反省しても消えない、ということなのですか……?」
叫んで抗議したくなる気持ちを抑え、弱弱しい声を零す。姉様の同情を誘い、考え直させるように動いてゆく。
「あたしは心から反省して、謝罪をしました……。お父様とお母様のように――それ以上に、アリシア姉様を大切に想っています。……それでも、やっぱり……。一度犯した過ちは、消えないのでしょうか……? 一度道を踏み外してしまえば、もう、駄目……。なのでしょうか……?」
「いいえ、そうではありません。言わずもがな殺人などは論外ですが、行いを悔やんでいる人を問答無用で邪険にはしませんよ」
邪険には、しない……? だったら……。だったら……っ。
「「「どうして……。そう仰るのです(仰られるんですの)(仰るのですか……?)」」
「俺が、そう返す理由。それは――」
あんなに反省しているのに……。ワケが分からない……。
頭の中がこんがらがっていると、義兄様はクスリと笑う。そして、その笑みはやがて嘲笑へと変わり――
「それは貴方がたが、俺が予想した通りに動いてしまっているから。誰一人として全く反省していないどころか、アリシアを利用しようとしているからですよ」
あたし達は氷柱のように冷たく鋭く、睨みつけられた。
『貴方がたには、1ルピスたりとも渡せません。申し訳ありませんが、そのご依頼はお断りさせていただきます』。
そんな言葉を向けられたあたし達は、まるで石像みたいに固まっていた。
渡さ、ない……? 最愛の人の家族が困っているのに……? 約束、してくれたのに……?
「………………ゆ、ユリス殿……。な、なぜ、なのしょう……? なぜ、我々にご支援をしていただけないのでしょうか……?」
「そちらは、ご自分の胸に手を当ててお考えください。どうしてだと思いますか?」
姉さんの真横に移動した義兄様は、姉様の肩をそっと抱きながら首を傾けてきた。
ど、どうしてって……。それは……。
「もしや……。過去の、行動……?」
「わたくし達が、この子に色々としてしまったから……。そう仰られるんですの……?」
父様と母様はわなわな震えながら口を動かして、すぐに「「でもっ」」と声を揃えた。
「我々はあの日、心を入れ替えました……! 今ではこの子は、我々の大切な娘なのです……っ!」
「ユリスさんっ! その後のわたくし達の言動を思い出していただければ瞭然ですわっ!」
お詫びという名目で必要以上の持参金を用意したし、姉様にもエザント家にも高級なものをどっさり贈ってる。これを見ても、分からないというの……?
「ユリス、義兄様……。過去に行った事は、いくら反省しても消えない、ということなのですか……?」
叫んで抗議したくなる気持ちを抑え、弱弱しい声を零す。姉様の同情を誘い、考え直させるように動いてゆく。
「あたしは心から反省して、謝罪をしました……。お父様とお母様のように――それ以上に、アリシア姉様を大切に想っています。……それでも、やっぱり……。一度犯した過ちは、消えないのでしょうか……? 一度道を踏み外してしまえば、もう、駄目……。なのでしょうか……?」
「いいえ、そうではありません。言わずもがな殺人などは論外ですが、行いを悔やんでいる人を問答無用で邪険にはしませんよ」
邪険には、しない……? だったら……。だったら……っ。
「「「どうして……。そう仰るのです(仰られるんですの)(仰るのですか……?)」」
「俺が、そう返す理由。それは――」
あんなに反省しているのに……。ワケが分からない……。
頭の中がこんがらがっていると、義兄様はクスリと笑う。そして、その笑みはやがて嘲笑へと変わり――
「それは貴方がたが、俺が予想した通りに動いてしまっているから。誰一人として全く反省していないどころか、アリシアを利用しようとしているからですよ」
あたし達は氷柱のように冷たく鋭く、睨みつけられた。
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