最愛の人と弟だけが味方でした

第10話 ３人はようやく、理解する サーシャ視点（４）

「いっ、嫌だっ！　そんな人生は嫌だっ!!　お、お願いしますユリス殿――ユリス様っ!!　どうかっ！　どうかあぁっ！　我々にお力添えを……!!」
「今はっ、今度こそっっ、わたくし達は反省しております……!!　真に反省しておりますので……っ！！　一生をかけて、この罪を償います――償わせていただきますので……っ！　なにとぞご支援を……!!」
「ユリス義兄様っ、アリシア姉様っ、何度でも謝りますからっ!!　義兄様と姉様の言う事をなんでも聞きますからっ！　お願いします……っ！　助けてください……!!」

　青ざめていたあたし達は、一斉にカーペットに額をこすり付ける。
　摩擦で熱を帯びるくらいっ、懸命に懇願する……っっ。だけど………………


「ギヨム、エミリー、サーシャ。俺は先ほど、申し上げましたよ？　お断りします」


　返ってくるのは、冷たい声と冷たい眼差し。
　アリシアにお願いしても、ダニエルにお願いしても、結果は同じ……。救いの手が伸びてくることは、なかった……。

「俺の――俺達の気持ち、考えが変わることはありません。お話は、以上で終わりです。お引き取りください」
「たっ、頼みますっ！　お願いしますユリス様っ!!　我々にチャンスをっっ！！　最後のチャンスをっっ!!」
「それだけは……っ　路頭に……だけは、お許しください……!!　ユリス様、どうか、ご慈悲を……っ！　さっ、サーシャからもっ。ほっ、ほらっ。皆様にお願いを――……。サーシャ……？　な、なにを笑っているの……？」

　ふふふ。
　ふふふっ。
　ふふふふふふふっ。

（（あたしの視界にいてくれて、ありがとう。おかげで、良い事を思い付いたわ））

　大丈夫よ、お父様お母様。ソコを突けば義兄様は支援をしたくなって、あたし達は最悪の未来を回避できるわ。


　最後の最後で、大逆転。
　この勝負は、あたし達の勝ちよ……！