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第10話 3人はようやく、理解する サーシャ視点(5)
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「……ユリス義兄様、アリシア姉様。このままだと、ダニエルも苦労をする羽目になるわよ。それでもいいの?」
閃いたあたしは下げていた頭を上げ、立ち上がる。
もう、ペコペコする必要なんてない。ここからは対等よ。
「サーシャ、君は何を考えてるんだ? それは、どういうことなんだい?」
「義兄様の作戦によって、あたし達一家は追い出されてしまう。もしそれが実現してしまったら、隣にいるダニエルも路頭に迷うのよ? 散々我慢をして助けてくれた大切な人も大変な目に遭うけど、それでもいいのかしら?」
親族共は、自分達が実権を握りたがっている。内心、ずっとあたし達を妬んでいた。
前商会頭の子どものひとりを、残しておくはずがない。
「っっ! その通りだっ! よくやったサーシャ!!」
「盲点だったわ! さすがわたくし達の子どもよ!!」
「ふふっ、ありがとう父様母様。…………ね、ユリス義兄様。それでもいいの? あたし達に支援をして、追い出しを回避した方がいいと思うわよ?」
ダニエルは要だから、特別に邪険にはしない。ちゃんとこれまで通りの環境で生活させてあげる。
「勇気ある者が苦しむのは、嫌でしょ? ゆ・り・す・義兄様。あたし達に、頂戴?」
ニヤリと笑って、手を伸ばす。そうすれば、義兄様は大きな息を吐いて――
「断る。貴方達に渡すものなどありませんよ」
――え……? 即答した、ですって……!?
「な、んで……。ダニエルが苦労してもいいのっ!? 自分と自分の大切な人だけが幸せになればいいっていうのっ!? 捨てるつもりなのっ!?」
例外なんてありえないのよ!? このままだと巻き込まれちゃうのよ!?
それでもっ、いいっていうの!?
「いいえ。我慢を重ねた彼が苦労する未来など、あってはならない。そして、彼もまた俺にとって大切な人だ。捨てるつもりなんて、微塵もありませんよ」
「じゃあっ、じゃあ! どうして渡さないのっ!? ワケが分からないっ!! どうしてなのよっ!?」
「どうして、なのか。その理由は、このまま追い出されても彼には一切悪い影響はないからですよ」
……………は?
おもわずお父様お母様と一緒に、間抜けに口を開けてしまった。
一切影響はないって……。この男、なにを言っているの…………?
閃いたあたしは下げていた頭を上げ、立ち上がる。
もう、ペコペコする必要なんてない。ここからは対等よ。
「サーシャ、君は何を考えてるんだ? それは、どういうことなんだい?」
「義兄様の作戦によって、あたし達一家は追い出されてしまう。もしそれが実現してしまったら、隣にいるダニエルも路頭に迷うのよ? 散々我慢をして助けてくれた大切な人も大変な目に遭うけど、それでもいいのかしら?」
親族共は、自分達が実権を握りたがっている。内心、ずっとあたし達を妬んでいた。
前商会頭の子どものひとりを、残しておくはずがない。
「っっ! その通りだっ! よくやったサーシャ!!」
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「ふふっ、ありがとう父様母様。…………ね、ユリス義兄様。それでもいいの? あたし達に支援をして、追い出しを回避した方がいいと思うわよ?」
ダニエルは要だから、特別に邪険にはしない。ちゃんとこれまで通りの環境で生活させてあげる。
「勇気ある者が苦しむのは、嫌でしょ? ゆ・り・す・義兄様。あたし達に、頂戴?」
ニヤリと笑って、手を伸ばす。そうすれば、義兄様は大きな息を吐いて――
「断る。貴方達に渡すものなどありませんよ」
――え……? 即答した、ですって……!?
「な、んで……。ダニエルが苦労してもいいのっ!? 自分と自分の大切な人だけが幸せになればいいっていうのっ!? 捨てるつもりなのっ!?」
例外なんてありえないのよ!? このままだと巻き込まれちゃうのよ!?
それでもっ、いいっていうの!?
「いいえ。我慢を重ねた彼が苦労する未来など、あってはならない。そして、彼もまた俺にとって大切な人だ。捨てるつもりなんて、微塵もありませんよ」
「じゃあっ、じゃあ! どうして渡さないのっ!? ワケが分からないっ!! どうしてなのよっ!?」
「どうして、なのか。その理由は、このまま追い出されても彼には一切悪い影響はないからですよ」
……………は?
おもわずお父様お母様と一緒に、間抜けに口を開けてしまった。
一切影響はないって……。この男、なにを言っているの…………?
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