最愛の人と弟だけが味方でした

第12話 その後の３人（サーシャside）～絶望と責任 俯瞰視点（３）

「それはこちらの台詞だ!!　お前がおとなしく控えめな子なら何も起きてはいなかった!!　お前みたいな子が産まれてしまったことこそが一番の大失敗だ!!」
「あなたがちゃんとしていれば、今頃何億も持つ人間が息子になっていたのに……っ！　自分の都合で・・・・・・親の人生を滅茶苦茶にするなんて……っ！　どうしようもない娘だわ!!」

『お父様達は嬉しそうにしてたじゃないの!!　そのくせに困った時だけあたしのせいにするの!?　最低っ！　人間の屑よっっ！　こんな２人の間に産まれてしまったことっ、それが人生で一番の失敗だわっ!!』
　そんな言葉によってギヨムとエミリーも、更に激怒。３人の感情は爆発し、取っ組み合いが始まってしまいました。

「あの時、あたしをちゃんと止めていたらぁぁぁぁ!!　あたしはずっと幸せに暮らせていたのにぃぃぃいいいいいいいいいい!!」
「お前がまともならぁぁっ!!　１８０度違っていたんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
「あなたは疫病神よぉぉぉぉぉ!!　なんてことをしてくれたのよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

　３人は服を掴み合ってバカげた主張を行い、それだけでは怒りが収まらず髪を掴むようになって――。使用人達が制止を試みますが、今の彼女達を止めることなどできません。


「奴隷にでもなってあたしのためにお金を工面しなさいよぉぉおおおおおおおおお!!」
「きさまぁぁぁ!!　それが親に言う言葉かぁぁぁぁぁぁ!!」
「逆でしょぉぉぉっ!!　そっちが育ててもらった恩を返しなさいよぉぉぉぉぉお!!」


　その後も聞くに堪えない台詞が飛び交い、この低レベルな争いが収まったのはなんと30分後。この騒動によって全員の顔は痣だらけとなり、髪も大半が抜け――

　サーシャ、ギヨム、エミリー。

　３人はマチエス家当主一家&会頭一家としての地位だけではなく、あの頃の容姿さえも失ってしまいました。そして更にはこの大喧嘩が原因で３人は縁を切り、それぞれが別々に、ですが等しく同じように劣悪な環境下でヒッソリと生きてゆくこととなったのでした――。