婚約者が、他の女性と内緒で出掛けているのを見つけました。でも、それには理由があったようです

柚木ゆず

文字の大きさ
9 / 20

第6話 マーガレットの狙いと、2度目の採点 マーガレット&俯瞰視点(1)

しおりを挟む
「「「「「ご来店、まことにありがとうございます。ようこそミュズへ」」」」」

 品の良いラグジュアリーな内装とピアノの生演奏が売りの、この辺りでは最も高級なお店。そこに入ったわたくし達は、早速服を選んで試着をする事にしました。

((デート2つ目の、作戦。それは、『様々な衣装に身を包んだマーガレット・リルファを見せる』))

 タイトなものや、胸元が大きく開いたもの。そういった服を着て、全身をしっかりと見せる。
 ユリウス様は頑なだけれど、男性ですもの。美女の豊かな谷間や鮮明になったラインを目にしてしまったら、イチコロ。パクリと食いついて、わたくしへと傾き始めますわ。

((テリア様の体型は、平均的。そんな方が比較相手なら、この身体は更に魅力的に映りますわね))

 さり気なく自慢のヒップとバストを眺め、ユリウス様を連れて店内にある商品をぐるっと確認してゆく。

「落ち着いた心地よい音楽が流れていて、店内の雰囲気が良いですわね。初めて訪れましたけど、噂通りですわ」

 広々としていて選びやすいし、おまけに今は人が殆どいない。わたくし達の他には女性客が2人のみという事もあり、まるでわたくし達だけの世界にいるよう。
 スタッフも空気を読んでつかず離れずの距離を保っているし、素晴らしいお店ですわ。

「すでに、お気に入りの一店になっています。これまで訪れなかった事を後悔していますわ」
「俺も知人から、この店の噂は聞いていた。だがそれ以上で、人気があるのも頷ける」

 わたくしはこんなお喋りを交えながら見定めて、該当するものを4点確保しました。
 着る服が決まったのなら、次はもちろん、試着。店内に奥にあるフィッティングスペースに移動し、一旦ユリウス様と別れて扉を閉め、自分自身の手で着替えを行う。

((ふふふ。まずは、軽めのものからいきましょうか))

 たっぷりと衣擦れの音を出して着替え、扉を開ける。そうすると彼の目に映るのは、タイトなドレスを纏ったわたくし。
 ワインレッドの布がピタッとくっつき、くびれや2つの膨らみを強調する一着。すでに、気になって、いますわよね?

「ユリウス様。いかがでしょうか?」
「よく似合っていると思う。それは着る者を選ぶが、君は着こなしている」

 返ってきたものは、褒める言葉。
 うふふふふ。そうですわよね、そうですわよねぇ。
 さしもの貴方も、男性ですもの。この魅力には、逆らえませんよねぇ?

((1着目の時点で、こ・れ。2着目、3着目、4着目になったら――。どんな反応をされるのかしら))

 おもわずにやりとしそうになるけれど、その表情は美しくないので我慢。わたくしははやる気持ちを抑え、再び扉の向こうに消えたのでした――。


 〇〇〇


 そうして嬉々としてフィッテングルームに入った、マーガレット。
 ですが彼女は、まだ知りません。4着目の後に、衝撃的な採点が出ることを――。

しおりを挟む
感想 80

あなたにおすすめの小説

「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」

歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。 「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは 泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析 能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り 続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。 婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」

お好きになさって下さい、私は一切気にしませんわ

Kouei
恋愛
婚約者のクレマンド様は、いつも私との約束を破ってばかり。 理由は決まって『従妹ライラ様との用事』 誕生日会にすら来なかった彼に、私はついに告げた。 「どうぞ、私以外のご令嬢をエスコートするなり、お出かけするなり、関係を持つなり、お好きになさって下さい。私は一切気にしませんわ」 二人の想いは、重なり合えるのだろうか …… ※他のサイトにも公開しています。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

婚約破棄の慰謝料として『王国の半分』を要求したら、本当にくれたので、今日から私があなたの女王様です

唯崎りいち
恋愛
婚約破棄の慰謝料に 「王国の半分」を要求したら、 ゴミみたいな土地を押し付けられた。 ならば――関所を作りまくって 王子を経済的に詰ませることにした。 支配目当ての女王による、 愛なき(?)完全勝利の記録。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」と言われたので別れたのですが、呪われた上に子供まで出来てて一大事です!?

綾織季蝶
恋愛
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」そう告げられたのは孤児から魔法省の自然管理科の大臣にまで上り詰めたカナリア・スタインベック。 相手はとある貴族のご令嬢。 確かに公爵の彼とは釣り合うだろう、そう諦めきった心で承諾してしまう。 別れる際に大臣も辞め、実家の誰も寄り付かない禁断の森に身を潜めたが…。 何故か呪われた上に子供まで出来てしまった事が発覚して…!?

白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

義母と義妹に虐げられていましたが、陰からじっくり復讐させていただきます〜おしとやか令嬢の裏の顔〜

有賀冬馬
ファンタジー
貴族の令嬢リディアは、父の再婚によりやってきた継母と義妹から、日々いじめと侮蔑を受けていた。 「あら、またそのみすぼらしいドレス? まるで使用人ね」 本当の母は早くに亡くなり、父も病死。残されたのは、冷たい屋敷と陰湿な支配。 けれど、リディアは泣き寝入りする女じゃなかった――。 おしとやかで無力な令嬢を演じながら、彼女はじわじわと仕返しを始める。 貴族社会の裏の裏。人の噂。人間関係。 「ふふ、気づいた時には遅いのよ」 優しげな仮面の下に、冷たい微笑みを宿すリディアの復讐劇が今、始まる。 ざまぁ×恋愛×ファンタジーの三拍子で贈る、スカッと復讐劇! 勧善懲悪が好きな方、読後感すっきりしたい方にオススメです!

処理中です...