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第6話 始まる恐怖(4)
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「ひぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! ひぎぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい――ぁ、ひぃ…………」
「あら、恐怖で失神したわね。喚いたり白目を剥いたり泡を噴いたり、忙しい子だこと」
立ったまま気絶した百合の胸部から杖を引き抜き、冷たく笑ったあとソレに口づけ。杖から鍵へと姿を変え、ノワールを仕舞っていると――静かになった百合に、変化が発生しました。
全身の皮膚から漆黒の靄(もや)が浮かび上がり、大和撫子然とした肉体を包み込む――。
それは、因果の応報が始まる合図。
例えるならば、体内版の咳。百合の肉体に涼子から生まれた『負』が入り、混ざりあってしまったため、異物と見做され体外に出そうしているのです。
そして。負であり罪が体内から出る時が、因果応報の時――。
詰まる所エリスはノワールによって、時期不確定な因果の応報を意図的に発生させたのでした。悪しき加害者に対して早急に相応の罪を与え、なんの罪もない被害者を救済するために。
「現在の時刻は、6時40分過ぎ。恐らく『その時』の訪れは、彼女が学校に到着した頃。所謂朝練の前後でしょうか」
「ええ、そうでしょうね。朝練といえば仲間が大勢いる時で、タイミング的にも丁度いいわ。何が起きるのか、楽しみね」
因果の応報なため、百合を襲うのは自分がやったこと。ですが今回は被害者の『怨』の上乗せがあるので、どんな形でプラスαが加えられるのかは、エリスと蓮にも分からないのです。
「ぁ…………。ぎ…………」
「その様子だと、もうじき目覚めそうね。再び相手をするのは面倒だわ。蓮、戻りましょうか」
「畏まりました。『解』、『転』」
まずは百合の金縛りと人払いの術を解き、次に足元に五芒星を展開。そうして2人は帰還するべく光に包まれ、
「加藤百合。悪しき者の末路は、決まっているのよ。憐れに踊るといいわ」
その言葉を残し、美男美少女の姿は消失したのでした――。
「あら、恐怖で失神したわね。喚いたり白目を剥いたり泡を噴いたり、忙しい子だこと」
立ったまま気絶した百合の胸部から杖を引き抜き、冷たく笑ったあとソレに口づけ。杖から鍵へと姿を変え、ノワールを仕舞っていると――静かになった百合に、変化が発生しました。
全身の皮膚から漆黒の靄(もや)が浮かび上がり、大和撫子然とした肉体を包み込む――。
それは、因果の応報が始まる合図。
例えるならば、体内版の咳。百合の肉体に涼子から生まれた『負』が入り、混ざりあってしまったため、異物と見做され体外に出そうしているのです。
そして。負であり罪が体内から出る時が、因果応報の時――。
詰まる所エリスはノワールによって、時期不確定な因果の応報を意図的に発生させたのでした。悪しき加害者に対して早急に相応の罪を与え、なんの罪もない被害者を救済するために。
「現在の時刻は、6時40分過ぎ。恐らく『その時』の訪れは、彼女が学校に到着した頃。所謂朝練の前後でしょうか」
「ええ、そうでしょうね。朝練といえば仲間が大勢いる時で、タイミング的にも丁度いいわ。何が起きるのか、楽しみね」
因果の応報なため、百合を襲うのは自分がやったこと。ですが今回は被害者の『怨』の上乗せがあるので、どんな形でプラスαが加えられるのかは、エリスと蓮にも分からないのです。
「ぁ…………。ぎ…………」
「その様子だと、もうじき目覚めそうね。再び相手をするのは面倒だわ。蓮、戻りましょうか」
「畏まりました。『解』、『転』」
まずは百合の金縛りと人払いの術を解き、次に足元に五芒星を展開。そうして2人は帰還するべく光に包まれ、
「加藤百合。悪しき者の末路は、決まっているのよ。憐れに踊るといいわ」
その言葉を残し、美男美少女の姿は消失したのでした――。
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