もしかすると私は、最愛の婚約者に騙されているのかもしれない

柚木ゆず

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第3話(3)

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『ルシィ、いいかい? 極一部の人間から、異様な支持を得ている――慕われていたり信頼されていたりしている人間は、絶対に信用してはならいよ』

 得をするのは誰……? そう考えていたら、お父様の言葉が浮かんできました。

 その対象は生きているので当然『生活』をしていて、生活をしているのであれば様々な人と関わっている。そのため本当にそこまでの良い人であるのなら、広範囲で支持されている。その程度がどうであれ、少なくとも『やっぱりそうなんだ』『そんな人なんだな』と納得できる状態になっているはずなんだよ。したがって極一部から、そしてソコに異常性を僅かでも感じたのであれば、その人間は危険だ。買収によるものか命令によるものか、異常となっている理由は分からない。けれど、危険人物だということは断言できる。もしもそんな人が近づいてきたら、気をつけなさい。
 決して、心を許しては駄目だよ。

 貴族としての教育として、私はこう教わりました。
 アリーさんとレオン様は私達親子から『なんでも肯定してしまう程に』絶大な信頼を得ていて、でも、ローラさんは――あの様子だとローラさんのご友人達も、そうではありません。それに、夜会でも――

((??? やかい……?))

 あの夜、会場で……。私はこの件で、大きな手掛かりになる事を経験したような気がするのですが……。……………………………思い出せ、ません。
 ……仕方がないので……。今は置いておいて、黙考を続けましょう。

((夜会ではアリーさんとレオン様は旧友の方々とお喋りをしていましたが、その方々の反応は普通。私達のようではなく、私達親子の異常な支持この状況を納得できるものではありませんでした))

 となると、アリーさんとレオン様は危険人物になります。両方、もしくは片方が、犯人なのでしょう。

((…………実際にエリオットさんはあんな事をして、レオン様は声をかけてくれています。ですので……。本当は何も関与していなかった、アリーさんが犯人……?))

 中庭での出来事は、どれも事実。今は、感覚で本物だったと確信できます。ですのでその可能性が高い、のですが……。そうとは言い切れません。

((アリーさんが『黒』だとは思うのですが、だからと言ってレオン様が『白』とは限りません))

 推測での断言は、愚行です。そのため――

「ルシィ。昨日言っていたサプライズが、早速起きたみたいだぞ」

 実際にお二人に会ってお喋りをして、確かめてみないといけません――。そう考えていたら、お父様が満面の笑みを浮かべて部屋に入ってきました。
 どうやら日記を書きながら黙考している間に、その片方が――レオン様が、いらっしゃっていたようです。

「まあ……っ。よかったわね、ルシィ」
「はい。嬉しいです」

 行いたかった事を、行えるようになりました。ですので私は、まずは深呼吸。不安や速まる鼓動を鎮め、一生懸命平静を装ってリビングスペースを出ます。
 そうして玄関でお迎えをしたあと自室にご案内し、調査をスタート。適切なタイミングを見計らい、確認を入れ始めたのでした。

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