もしかすると私は、最愛の婚約者に騙されているのかもしれない

柚木ゆず

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第3話(6)

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((レオン様の目線は、私の体にばかり向いている……。私の胸や太もも、お尻を、頻繁に見ています……っ))

 お喋りをしている間は7割近くが胸を見つめていて、2割が顔で1割が太ももの辺り。机から物を取ってくるなどで立ち上がった時は、コッソリ確認をするとずっとお尻を見ていました。
 胸やお尻という、マジマジと見られるのは嫌な部分。そこを熟視されていたので、ずっとぞわぞわしていたようです……。

((四十分くらいはそうされていたはずなのに、全然気付きませんでした……。どうして、分からなかったのでしょう……?))

 レオン様は真ん前にいて、向き合ってお喋りをしていました。背を向けている時のお尻はともかく、正面でじーっと見られていたんです。
 そういうところへの視線は、例えチラッとであっても分かるものですから……。気付かないはずが、ありません。

「ビックリしたね、ルシィ。耳は大丈夫かい?」
「ぁ、は、はい。レオン様は、いかがですか?」
「僕も大丈夫だよ。少しキーンとしていたけれど、もう治ったよ」

 思い返せば、今もそうしているように……。外では絶対にないのですが、邸内ではよく胸を凝視しつつニヤリとしていました。
 誠実とは正反対にある、下卑た眼差し。どう見てもよからぬ事を考えている目で、瞬く間に嫌悪感に満ちてしまう程なのに、何も感じていなかった。
 この目付きとこの異常は、明らかにおかしい。お父様からの教えもありますし、この人は確実に『黒』です!

((だとしたら……。アリーさんとレオン様が犯人で、2人と真逆になっているエリオットさんは白……?))

 こうなった以上そうである可能性が高く、そうなると、エリオットさんの身にも何かが起きている可能性が出てきます。
 ですが……。

((本能の、どこかで……。エリオットさんも怪しい、近づくべきではない、とも感じています))

 どういう訳なのか、ココに関しては判断ができません。考えれば考えるほどに頭の中がぐちゃぐちゃになってしまい、分からなくなってしまいます。

((……ですから……。アリーさんと会って、確かめてみましょう))

 エリオットさんは怪しいのか、怪しくないのか。加害者なのか、被害者なのか。それをアリーさんを通じて確かめる方法は、いくつかあります。
 これから――今日はもう日が沈みますので、明日ですね。改めてのお礼という名目で伺い、確認してみましょう。

「そういえば。ルシィは控えめではなく、もっと大胆な服も似合うと思うな。今度長めに時間を取れた時は、服を買いに行かないかい?」
「そ、そう、ですか? そういうものも、似合いますか?」
「ああ、君の良さが引き立つと思う。明日と明後日は忙しいから、そうだね。明々後日かその次辺りはどうかな?」
「その日は、私も予定がありません。楽しみにしています」

 彼にバレないように一生懸命笑顔を作って、やがてお別れの時間となりました。


 誰が敵なのか。
 敵はこれまで何をしてきたのか。
 敵は何を考えているのか。

 これからそれを、追求していかないといけません。
 ……私も明日は、忙しくなりそうです……!

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