18 / 47
第3・5話 部屋で聞こえた大きな音 俯瞰視点
しおりを挟む
「ごめんな、ずっと耳がゴワゴワしてたよな? もう終わりだから安心してくれ」
ハーナン邸の傍で急停止したあと、大急ぎで荷台を確認して走り去った大型の馬車。あのあとその馬車は人気(ひとけ)がない場所で止まり、御者の少年は――エリオット・ファムルは、2頭の馬と自分につけていた耳栓を外していました。
「ありがとうな。お前達のおかげで、上手くいったよ」
あの大音は偶然ではなく、意図的なもの。パンパンになるまで空気を詰め込んだ厚めかつ大きな袋たちを、ルシィの近くで一気に破裂させる――。これが、彼の作戦でした。
マインドコントロールを解く方法は、光と音による刺激を与える。
丘での行動で光の刺激を与えたため、次は音。あの出来事のおかげでルシィは、レオンの卑猥な目線に気付くことができていたのでした。
「ルシィならこれが切っ掛けになって洗脳が弱まり、アイツの本性に気付く。そして今日は――今日は時間的に遅くて、明日だな。もう一人の犯人ことアリーのもとを訪ねる」
エリオットとルシィは、幼馴染。エリオットにとってルシィは、これまでずっと傍にいた、誰よりも大事な存在。
そのため行動は完璧に予想できており、実際全て的中していました。
「……アリーもアリーで、なかなかに性悪で狡猾。まだ完全に解けてないルシィだったら、巧みに誤魔化されてしまう――最悪、白と思い込んでしまう可能性が高い」
彼女は、レオンの協力者。アリーは非常に上手く隠していましたが、ずっとエリオットに恋をしていました。そして、邪魔者であるルシィをどうにかしようとしていました。
そうして『邪魔者を排除できる方法』を探しているところを、レオンが偶然目撃。そのしたたかさを買われ、利害の一致により手を組んでいたのです。
しかもアリーは、レオンよりも厄介な相手。彼と違って、表情には決して出さない――絶対にバレないと高をくくって本心を顔や行動に出さないため、会話だけではどうやっても判断できないのです。
「だが俺は全てを知っていて、あちらは俺に感付かれているとは知らない。となれば、アレを使えば――。アリーに対して白黒付けられなくても、最終段階に進める」
エリオットは指をパチンと鳴らし、その後2つ離れた街にある馬車屋に向かって馬と車を返却。そうして自身の家の馬車に乗り換えた彼は、手綱を操りとある場所へと移動したのでした。
「不完全な状態でも、ルシィならきっと仕込みに気付いてくれる。…………頼んだぜ、13年来の幼馴染」
ハーナン邸の傍で急停止したあと、大急ぎで荷台を確認して走り去った大型の馬車。あのあとその馬車は人気(ひとけ)がない場所で止まり、御者の少年は――エリオット・ファムルは、2頭の馬と自分につけていた耳栓を外していました。
「ありがとうな。お前達のおかげで、上手くいったよ」
あの大音は偶然ではなく、意図的なもの。パンパンになるまで空気を詰め込んだ厚めかつ大きな袋たちを、ルシィの近くで一気に破裂させる――。これが、彼の作戦でした。
マインドコントロールを解く方法は、光と音による刺激を与える。
丘での行動で光の刺激を与えたため、次は音。あの出来事のおかげでルシィは、レオンの卑猥な目線に気付くことができていたのでした。
「ルシィならこれが切っ掛けになって洗脳が弱まり、アイツの本性に気付く。そして今日は――今日は時間的に遅くて、明日だな。もう一人の犯人ことアリーのもとを訪ねる」
エリオットとルシィは、幼馴染。エリオットにとってルシィは、これまでずっと傍にいた、誰よりも大事な存在。
そのため行動は完璧に予想できており、実際全て的中していました。
「……アリーもアリーで、なかなかに性悪で狡猾。まだ完全に解けてないルシィだったら、巧みに誤魔化されてしまう――最悪、白と思い込んでしまう可能性が高い」
彼女は、レオンの協力者。アリーは非常に上手く隠していましたが、ずっとエリオットに恋をしていました。そして、邪魔者であるルシィをどうにかしようとしていました。
そうして『邪魔者を排除できる方法』を探しているところを、レオンが偶然目撃。そのしたたかさを買われ、利害の一致により手を組んでいたのです。
しかもアリーは、レオンよりも厄介な相手。彼と違って、表情には決して出さない――絶対にバレないと高をくくって本心を顔や行動に出さないため、会話だけではどうやっても判断できないのです。
「だが俺は全てを知っていて、あちらは俺に感付かれているとは知らない。となれば、アレを使えば――。アリーに対して白黒付けられなくても、最終段階に進める」
エリオットは指をパチンと鳴らし、その後2つ離れた街にある馬車屋に向かって馬と車を返却。そうして自身の家の馬車に乗り換えた彼は、手綱を操りとある場所へと移動したのでした。
「不完全な状態でも、ルシィならきっと仕込みに気付いてくれる。…………頼んだぜ、13年来の幼馴染」
5
あなたにおすすめの小説
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」
歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。
「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは
泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析
能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り
続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。
婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」
公爵家の家政を10年回した私が出ていったら、3ヶ月で領地が破綻しました
歩人
ファンタジー
エレナは公爵家に嫁いで10年、夫は愛人に入れ込み、義母には「家政婦代わり」と
罵られた。だが領地の財務も、商会との交渉も、使用人の管理も、全部エレナが
やっていた。ある日、義母から「あなたの代わりなんていくらでもいる」と言われ、
エレナは静かに離縁届を出した。「では、代わりの方にお任せください」
辺境の町で小さな商会を開いたエレナ。10年間の実務経験は伊達ではなかった。
商会はたちまち繁盛する。一方、エレナがいなくなった公爵家は3ヶ月で経営破綻。
元夫が「戻ってこい」と泣きつくが——
「お断りです。あと、10年分の未払い給金を請求いたしますね」
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
「妹の方が可愛い」と不倫夫に捨てられた私。どうぞ借金まみれの実家ごと引き取って。私が肩代わりしていた負債、すべてお二人に引き継いでおきました
唯崎りいち
恋愛
「お前より妹の方が可愛い」
不倫した夫は私を追い出し、略奪した妹と笑った。
どうぞ、その「可愛い妹」と地獄までお幸せに。
私が肩代わりしていた実家と店の多額の借金、すべてお二人に引き継いでおきましたから。
「財布」を失った元夫と、逃げ場を失った妹。
身の丈に合わない贅沢を望んだ寄生虫たちの、惨めな末路を特等席で眺めさせていただきます。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
私と義弟の安全は確保出来たので、ゆっくり恋人を探そうと思います
織り子
恋愛
18歳で処刑された大公家の令嬢、セレノア・グレイス。
目を覚ますと――あの日の6年前に戻っていた。
まだ無邪気な弟ルシアン、笑う両親。
再び訪れる“反逆の運命”を知るのは、彼女だけ。
――大公家に産まれた時点で、自由な恋愛は諦めていた。だが、本当は他の令嬢達の話を聞くたびにうらやましかった。人生1度きり。もう少し花のある人生を送りたかった。一度でいいから、恋愛をしてみたい。
限られた6年の中で、セレノアは動き出す。
愛する家族を守るため、未来を変えるために。
そして本当の願い(恋愛)を叶えるために。
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる