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第4話(2)
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「ルシィさん、ありがとうございます。これは前日に、エリオットがくれたものなんですの」
そのネックレス、お似合いですね――。胸元にあるシルバーのアクセサリーに、話が及んだ時でした。
アリーさんは照れ混じりで無邪気に頬を緩め、蝶をモチーフにしたネックレスに視線を落としました。
「お家の都合であの日以降殆ど会えておらず、寂しい思いをさせたお詫びだそうですの。空いた時間を使ってお店で選んでくれて、昨日の午後6時頃に『自分と思って、いつもつけていて欲しい』と頂いて。その時から、わたくしの宝物ですわ」
「わぁ、そうなのですね。蝶々のデザインと目に埋まっている…………これは、エメラルドですよね?」
「ええ、そうですわね。エメラルドですわ」
「その二つの相性がとてもよくって、本当に素敵なネックレスです。エリオットさんが蝶を選んだという事は、アリーさんは蝶がお好きなのですか?」
あの方がわざわざ選んだのであれば、蝶が好きな事は間違いない。それは理解していたのですが、調査のために話を更に広げないといけませんので。私はこう問いかけ、そうすると、意外な返事がありました。
「いえ、そうではありませんわ。わたくしは好きでも嫌いでもなく、普通ですわ」
彼女の答えは、どちらでもない。予想していた頷きは、返ってこなかったのです。
「このデザインは、エリオットが推したものなんですの。自分で言うのは、お恥ずかしいのですけれど……。わたくしが蝶のように美しいから、との理由だそうです」
「ぁ、あぁ……っ。確かに、そうですね……っ。アリーさんを連想します」
「実はエリオットは昔から蝶が好きで思わず目に留まり、こちらを眺めているとわたくしと重なった。しかも蝶の目に埋まっているのはエメラルドで、自分の好きなグリーンが使われている。あの人はそれらに運命的なものを感じて、即決したそうですわ」
「そうだったのですね。思い返せば、昔そう言っていました」
私はにこやかに目を細め、心の中では何度も何度も目を瞬かせていました。
なぜなら……。なぜなら……っ。
『エリオットは昔から蝶が好き』。
『自分の好きなグリーンが使われている』。
この二つは、有り得ない事。
あの人は昔から直視できないくらい蝶が苦手で、グリーンは一番嫌いな色なんです……!!
そのネックレス、お似合いですね――。胸元にあるシルバーのアクセサリーに、話が及んだ時でした。
アリーさんは照れ混じりで無邪気に頬を緩め、蝶をモチーフにしたネックレスに視線を落としました。
「お家の都合であの日以降殆ど会えておらず、寂しい思いをさせたお詫びだそうですの。空いた時間を使ってお店で選んでくれて、昨日の午後6時頃に『自分と思って、いつもつけていて欲しい』と頂いて。その時から、わたくしの宝物ですわ」
「わぁ、そうなのですね。蝶々のデザインと目に埋まっている…………これは、エメラルドですよね?」
「ええ、そうですわね。エメラルドですわ」
「その二つの相性がとてもよくって、本当に素敵なネックレスです。エリオットさんが蝶を選んだという事は、アリーさんは蝶がお好きなのですか?」
あの方がわざわざ選んだのであれば、蝶が好きな事は間違いない。それは理解していたのですが、調査のために話を更に広げないといけませんので。私はこう問いかけ、そうすると、意外な返事がありました。
「いえ、そうではありませんわ。わたくしは好きでも嫌いでもなく、普通ですわ」
彼女の答えは、どちらでもない。予想していた頷きは、返ってこなかったのです。
「このデザインは、エリオットが推したものなんですの。自分で言うのは、お恥ずかしいのですけれど……。わたくしが蝶のように美しいから、との理由だそうです」
「ぁ、あぁ……っ。確かに、そうですね……っ。アリーさんを連想します」
「実はエリオットは昔から蝶が好きで思わず目に留まり、こちらを眺めているとわたくしと重なった。しかも蝶の目に埋まっているのはエメラルドで、自分の好きなグリーンが使われている。あの人はそれらに運命的なものを感じて、即決したそうですわ」
「そうだったのですね。思い返せば、昔そう言っていました」
私はにこやかに目を細め、心の中では何度も何度も目を瞬かせていました。
なぜなら……。なぜなら……っ。
『エリオットは昔から蝶が好き』。
『自分の好きなグリーンが使われている』。
この二つは、有り得ない事。
あの人は昔から直視できないくらい蝶が苦手で、グリーンは一番嫌いな色なんです……!!
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