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第1話 不穏な気配 アンジェリク視点(3)
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「その調合表と生産施設と販売所があれば、お前がいなくとも製造と販売を続けられる。アンジェリク、お前自身にはもう価値はないのだよ」
「そうね。大事なのは貴女ではなくて、貴女が持っていたものたち」
「すでにフリーの薬師も目途が立っていて、お姉様が居なくても問題なくお金を稼いでいけますのよ」
例えるなら、まるで悪魔のよう。お父様とお母様とブランディーヌは揃って、意地汚くて醜悪な笑みを浮かべた。
「……なるほど、お父様達の考えは分かりました。それで、わたしをどうするつもりですか? ここで殺害でもするのですか?」
「長年周囲をうるさく飛び回っていたハエなど、この手で消し去ってしまい――ところなのだがな。さっき言ったように我々は、一応、お前に感謝をしている」
「金の生る木を育ててくれた子に対して、そこまでするのは酷いわよね」
「そこでお姉様は、大病を患い長期療養をする、ことになりますの。おじい様が暮らしていた場所で生活してもらうことになりますわ。死ぬまで、ね」
そこまでするのは酷。そう言っているけれど実際は、もしもわたしにしか対応できない問題が発生したら困る、からなのでしょうね。
わたしはこれから、エディトたち研究施設班のメンバーと共に――わたしを特に慕っていて絶対に自分たちの仲間にならないと踏んだ人間と一緒に、一種の軟禁状態に置かれることになるみたい。
「我々は温情を与えてやろうと思って、こうしているだけ。お前を殺すことに何らためらいはない」
「抵抗すると、その刃が喉に刺さるわよ。ぐさりとね」
「そちらは、重々理解していますよ。……自ら死を選ぶつもりはありません。抵抗はしませんよ」
「ふふふ、負けを認めましたわね。さあ、お姉様達を連れていきなさい!」
ブランディーヌの合図でわたしとエディト達は部屋の外へと引っ張られて行き、
「……ドナルド……。信じていたのに……。貴方も、わたしを裏切っていたのね……」
「お嬢様……。申し訳ございません……」
「アンジェリク、こやつは真っ先にお前を裏切ったぞ。長年信頼していた人間に裏切られた気分を教えてくれないか? はははははははは!!」
家令やその他の使用人達の前を通ってお屋敷の外へと出て、外で待機させられていた研究施設班のメンバーと共に馬車へと押し込まれる。
「お前の顔を見るのは、今日で最後になるだろう。アンジェリク。お前は最悪であり、最高の娘だった」
「貴女が遺してくれたもののおかげで、ますます幸せな人生を過ごせるわ。ありがとうね、アンジェリク」
「お姉様。お姉様のことは忘れませんわ。どうかお元気で、ふふふふふ」
嘲笑。嘲笑。嘲笑。
わたし達を乗せた馬車は醜い表情に見送られながら動き出し、こうして――
2月13日。わたしは家族の裏切りにあって、お屋敷を去ることになったのだった。
「そうね。大事なのは貴女ではなくて、貴女が持っていたものたち」
「すでにフリーの薬師も目途が立っていて、お姉様が居なくても問題なくお金を稼いでいけますのよ」
例えるなら、まるで悪魔のよう。お父様とお母様とブランディーヌは揃って、意地汚くて醜悪な笑みを浮かべた。
「……なるほど、お父様達の考えは分かりました。それで、わたしをどうするつもりですか? ここで殺害でもするのですか?」
「長年周囲をうるさく飛び回っていたハエなど、この手で消し去ってしまい――ところなのだがな。さっき言ったように我々は、一応、お前に感謝をしている」
「金の生る木を育ててくれた子に対して、そこまでするのは酷いわよね」
「そこでお姉様は、大病を患い長期療養をする、ことになりますの。おじい様が暮らしていた場所で生活してもらうことになりますわ。死ぬまで、ね」
そこまでするのは酷。そう言っているけれど実際は、もしもわたしにしか対応できない問題が発生したら困る、からなのでしょうね。
わたしはこれから、エディトたち研究施設班のメンバーと共に――わたしを特に慕っていて絶対に自分たちの仲間にならないと踏んだ人間と一緒に、一種の軟禁状態に置かれることになるみたい。
「我々は温情を与えてやろうと思って、こうしているだけ。お前を殺すことに何らためらいはない」
「抵抗すると、その刃が喉に刺さるわよ。ぐさりとね」
「そちらは、重々理解していますよ。……自ら死を選ぶつもりはありません。抵抗はしませんよ」
「ふふふ、負けを認めましたわね。さあ、お姉様達を連れていきなさい!」
ブランディーヌの合図でわたしとエディト達は部屋の外へと引っ張られて行き、
「……ドナルド……。信じていたのに……。貴方も、わたしを裏切っていたのね……」
「お嬢様……。申し訳ございません……」
「アンジェリク、こやつは真っ先にお前を裏切ったぞ。長年信頼していた人間に裏切られた気分を教えてくれないか? はははははははは!!」
家令やその他の使用人達の前を通ってお屋敷の外へと出て、外で待機させられていた研究施設班のメンバーと共に馬車へと押し込まれる。
「お前の顔を見るのは、今日で最後になるだろう。アンジェリク。お前は最悪であり、最高の娘だった」
「貴女が遺してくれたもののおかげで、ますます幸せな人生を過ごせるわ。ありがとうね、アンジェリク」
「お姉様。お姉様のことは忘れませんわ。どうかお元気で、ふふふふふ」
嘲笑。嘲笑。嘲笑。
わたし達を乗せた馬車は醜い表情に見送られながら動き出し、こうして――
2月13日。わたしは家族の裏切りにあって、お屋敷を去ることになったのだった。
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