あんなことをしたのですから、何をされても文句は言えませんよね?

柚木ゆず

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第5話 アンジェリクが去ってから~9日後~ 俯瞰視点(2)

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「い、いやですわ。わ、わたくしったら。なんて見間違いをしてるのかしら」

 苦笑いを浮かべながら、目を擦る。
 ゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシ。
 異様なくらい両目を擦ったブランディーヌは、ゆっくりと目を開けて――

「ぎゃああああああああああ!? 死神ぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」

 ――目を開けてみると、大きな鎌を持ったガイコツが正面で浮いていた。とんでもない見間違いだと思っていた化け物がいたため、ブランディーヌは椅子から転げ落ちながら悲鳴をあげました。

「殺しに来たぁっ!? 殺されるぅぅぅ!? ひっ、ひあぁあ!! ぁああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 小説で読んだ死神は、『魂を狩る者の前に現れる』とありました。身の危険を感じたブランディーヌは腰を抜かしそうになりながらも根性で立ち上がり、涙を流しながらバルコニーを飛び出しました。

「いやあああああああああああああああああああああああああああ!!」
「お嬢様!? いかがなさいましたか!?」
「ばるこっ、ばるこにぃぃ!! しにがみっ、がっ、いたの! あなたぁっ! そこで足止めしなさい!!」

 廊下ですれ違った使用人に叫びながら走り、自分の部屋へと逃げ込みます。まずはガチャリと鍵をかけ、死神が入ってこれないようにして――

「はぁ、はぁ、はぁ。途中で、ドロテとすれ違った……。死神はドロテに興味を持ってっ、ドロテの魂を奪おうとする、はず……! だい、じょうぶ。大丈夫……! ここまで来れば、わたくしは助かる――っっ!? いたぁあああああああああああああああああああああああ!?」

 ふと窓の見てみたら、今度は窓の外に死神がいた。
 使用人にターゲットを変更してはいないし、逃げ切れてもいなかった。
 そう実感したブランディーヌは大急ぎで鍵を開けて部屋を飛び出し、今度は階段を使って下へと走ります。

「「「「「お嬢様!?」」」」」
「死神がいるっ! アンタたち! 死神が来たら命がけで止めなさい!! わたくしを守りなさいっ!!」

 1階にいた使用人たちに向けて後ろを指差し、エントランスを抜け、そのまま外に出ます。
 ブランディーヌの新たな行き先。それは、

「!? なんだ!?」「!? なにっ!?」
「お父様ぁお母様ぁ!! 死神が出たの!! あれは勘違いじゃなかったの! 死神が追いかけてきてたのっ!! たすけてええええええええええええええええええええええ!!」

 父セザールと母クリステルのいるガーデンテーブル。
 ブランディーヌは必死の形相で2人に抱き付き、ましたが――

「離せ」「離しなさい」

 ――今は、大喧嘩中。セザールもクリステルも冷たい目線を送り、ブランディーヌの手を払ったのでした。

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