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第16話 決着 ドナシアン視点(3)
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「わたしにっ、チャンスをいただけないでしょうか!?」
「わたくしにっ、チャンスをいただけないでしょうか!?」
思った通りだった。
オクタヴィアンとエメリーヌは、所謂命乞いを始めた。
「わたしは兄上への劣等感で暴走をしてしまいっ! このような計画を立ててしまいました!! 反省っ、猛省しております!!」
「わたくしはお姉様への劣等感であのような醜悪な計画を立ててしまいました!! 反省っ、心から反省しています!!」
「ですので、やり直す機会をいただけませんか!? この罪はっ、兄上の手足となり尽力することで清算をさせてはいただけないでしょうか!?」
「わたくしはっ、お姉様の手足となります!! お姉様のために残りの人生を使うと約束しますから!! そちらで罪を償わせてください!!」
この国の法律――貴族に適用される法律では、『身内の問題』かつ『人が死んでいない』場合は、話し合いで収めることができる。
それが頭にあり、2人はこんなことを言い出して――
「そんなもの、私が呑むと思うか?」
――即座に却下する。
「反省? 猛省? この短時間で何ができる。言い訳をするにしても、もっとまともな言い訳をしろ」
「ちっ、違うんです兄上! 短時間でできるものなのです!!」
「精神的に追い詰められて、ですねっ! その影響で、そう! 時の流れがわたくし達の中だけで遅くなったんです! おじ様にとっては数秒でもわたくし達にとっては数時間がありっ! その中で行いを振り返り反省をしたのですわ!!」
「そうなんです兄上!! 行いがひとりでに浮かび上がって来てなんと醜悪なのだと今更になって気が付きました!! この罪はお兄様へのご奉仕でお返ししなければ意味がないと思うようになったのですよ!!」
「わたくしも! お姉様へのご奉仕で償わないといけないと!! それが一番のっ! なによりの方法だと気付いたんです!!」
「本当にっ! 本心!! 本心なんです!! 紛れもない事実なんです!! わたしはこれまでのわたしではなく生まれ変わったわたしなんです! 身も心も生まれ変わって罪を償いたいと! 保身のためではなく他意なしで心の奥底から犯してしまった罪をそういった行動で清算したいと願っているのです!!」
「この懇願に裏なんて微塵もありません!! この償い方でないといけないと本音で思っているんです!! もう二度とあんな真似はしませんするはずがありません!! 新生エメリーヌでございます身も心もまったくのべつじんでございます!! お姉様のためにっっ! お姉様の幸せのためにこの命をつかわせてくださいお姉様の未来のためにこの命の炎を燃やし燃やし尽くします!!」
「兄上!!」
「おじさま!!」
「「おねがいしますううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう――うぐ!? ぁ、がぁ。ぁがぁああああああ…………」」
ずっと息継ぎなしで喋っていたから、酸欠になったのだろう。いつまで続くのか放っておいたら、やがて2人は真っ青になって失神した。
「……今度は、邪魔が入らないな。この者達の連行をお願致します」
「「「「「承知いたしました!」」」」」
失禁しながらピクピク痙攣しているオクタヴィアンとエメリーヌ。残る元凶達はずるずると引きずられて行き、やがてその醜い姿は見えなくなったのだった。
「………………ふう。やっと、終わったな」
奴らの姿が見えなくなると自然とそんな呟きが零れ、同じく自然と視線は天井――その先にある、空へと向く。
((……ありがとう。ありがとう))
おかげで、今度は護れたよ。
私の、私達の、大事な宝物を――
((っ!?))
――なんだ!?
突然真っ白な光が現れたと思ったら、その光はそのまま視界を覆い尽くして――
「わたくしにっ、チャンスをいただけないでしょうか!?」
思った通りだった。
オクタヴィアンとエメリーヌは、所謂命乞いを始めた。
「わたしは兄上への劣等感で暴走をしてしまいっ! このような計画を立ててしまいました!! 反省っ、猛省しております!!」
「わたくしはお姉様への劣等感であのような醜悪な計画を立ててしまいました!! 反省っ、心から反省しています!!」
「ですので、やり直す機会をいただけませんか!? この罪はっ、兄上の手足となり尽力することで清算をさせてはいただけないでしょうか!?」
「わたくしはっ、お姉様の手足となります!! お姉様のために残りの人生を使うと約束しますから!! そちらで罪を償わせてください!!」
この国の法律――貴族に適用される法律では、『身内の問題』かつ『人が死んでいない』場合は、話し合いで収めることができる。
それが頭にあり、2人はこんなことを言い出して――
「そんなもの、私が呑むと思うか?」
――即座に却下する。
「反省? 猛省? この短時間で何ができる。言い訳をするにしても、もっとまともな言い訳をしろ」
「ちっ、違うんです兄上! 短時間でできるものなのです!!」
「精神的に追い詰められて、ですねっ! その影響で、そう! 時の流れがわたくし達の中だけで遅くなったんです! おじ様にとっては数秒でもわたくし達にとっては数時間がありっ! その中で行いを振り返り反省をしたのですわ!!」
「そうなんです兄上!! 行いがひとりでに浮かび上がって来てなんと醜悪なのだと今更になって気が付きました!! この罪はお兄様へのご奉仕でお返ししなければ意味がないと思うようになったのですよ!!」
「わたくしも! お姉様へのご奉仕で償わないといけないと!! それが一番のっ! なによりの方法だと気付いたんです!!」
「本当にっ! 本心!! 本心なんです!! 紛れもない事実なんです!! わたしはこれまでのわたしではなく生まれ変わったわたしなんです! 身も心も生まれ変わって罪を償いたいと! 保身のためではなく他意なしで心の奥底から犯してしまった罪をそういった行動で清算したいと願っているのです!!」
「この懇願に裏なんて微塵もありません!! この償い方でないといけないと本音で思っているんです!! もう二度とあんな真似はしませんするはずがありません!! 新生エメリーヌでございます身も心もまったくのべつじんでございます!! お姉様のためにっっ! お姉様の幸せのためにこの命をつかわせてくださいお姉様の未来のためにこの命の炎を燃やし燃やし尽くします!!」
「兄上!!」
「おじさま!!」
「「おねがいしますううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう――うぐ!? ぁ、がぁ。ぁがぁああああああ…………」」
ずっと息継ぎなしで喋っていたから、酸欠になったのだろう。いつまで続くのか放っておいたら、やがて2人は真っ青になって失神した。
「……今度は、邪魔が入らないな。この者達の連行をお願致します」
「「「「「承知いたしました!」」」」」
失禁しながらピクピク痙攣しているオクタヴィアンとエメリーヌ。残る元凶達はずるずると引きずられて行き、やがてその醜い姿は見えなくなったのだった。
「………………ふう。やっと、終わったな」
奴らの姿が見えなくなると自然とそんな呟きが零れ、同じく自然と視線は天井――その先にある、空へと向く。
((……ありがとう。ありがとう))
おかげで、今度は護れたよ。
私の、私達の、大事な宝物を――
((っ!?))
――なんだ!?
突然真っ白な光が現れたと思ったら、その光はそのまま視界を覆い尽くして――
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