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第17話 真白の世界で ドナシアン視点
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「お疲れ様」
気が付くと私は、上も下も右も左も真っ白な世界で立っていて――。柔らかな印象を受けるブルーのタレ目を持つ、清楚かつふわふわとした雰囲気を放つ女性が目の前にいた。
「…………やっぱりそうだった。君がチャンスをくれていたんだね、エリザベト」
穏やかな微笑みを向けてくれているのは、妻。あの日旅立ってしまった、最愛の人だ。
「あの時してくれた約束。あったでしょう?」
「来世でも夫婦になって、クローデットの親になろう。だね?」
あの日の約束は、忘れたことがない。
「そう。それでね、そうするには一緒のタイミングで転生しないといけないの。だからここで貴方を待たせてもらっていて、貴方が来るまで死者を導く案内人のようなお仕事をしていたのよ。その『仕事のお礼』を使えば少しだけ『奇跡』を起こせると聞いてね、貴方の『事件が起きる前に戻って助けたい』という願いとお礼の力を合わせて、あの日まで時間を巻き戻したの」
「……そんなことがあったんだね。ありがとう。君がチャンスをくれたおかげで、未来を変えられたよ」
身勝手な理由でクローデットが命を奪われ、それによって私は抜け殻のようになってしまう。
クローデットだけではない。私とクローデットをいつも愛してくれていた彼女にとっても、あまりにも辛い最悪の事態を回避することができた。
「わたしは先にさようならをしてしまって、貴方にもあの子にも沢山迷惑をかけてしまったもの。お役に立てて嬉しいわ」
「迷惑なんてかけていないさ。私は今でも、君との政略結婚を結んでくれた祖父に感謝をしているよ」
親族の中には、好き勝手にものを言う者もいた。
だがエリザベトと過ごした日々は私にいくつもの幸せをもたらしてくれたし、クローデットいう宝物にも出会うことができた。
結婚を後悔した日は、一度もない。
「……わたくしも、祖父に感謝しているわ。貴方のような人に出逢えて、幸せよ」
エリザベトは瞳を潤ませながら頬を緩ませ、やがてその表情は微苦笑へと変わった。
……私の身体が、薄くなり始めた。
会える時間は終わり、というわけか。
「残念、時間切れみたい。この続きは、また今度しましょう」
「そうだね、また今度。その時はゆっくりしよう」
もう二度と会えないかもしれない――。死後の仕組みを知らなかった私は――私達は、永遠の決別を覚悟した――。
けれど、また会えると知れたから。寂しさはあるが悲しみはない。
「これからはしっかり、あの子を幸せにするよ。もうヒヤヒヤさせないからさ、のんびりと見守っていてね」
「ええ、そうさせてもらうわ。……あなた、またね。あの子にもよろしく伝えておいて頂戴ね」
「ああ。またね、エリザベト。ちゃんと伝えておくよ」
あの時と同じ『さよなら』でも、その意味は大きく違う。私はあの日のように抱き合い――けれど悲しみの涙は流さず、互いに嬉し涙を流して別れたのだった。
気が付くと私は、上も下も右も左も真っ白な世界で立っていて――。柔らかな印象を受けるブルーのタレ目を持つ、清楚かつふわふわとした雰囲気を放つ女性が目の前にいた。
「…………やっぱりそうだった。君がチャンスをくれていたんだね、エリザベト」
穏やかな微笑みを向けてくれているのは、妻。あの日旅立ってしまった、最愛の人だ。
「あの時してくれた約束。あったでしょう?」
「来世でも夫婦になって、クローデットの親になろう。だね?」
あの日の約束は、忘れたことがない。
「そう。それでね、そうするには一緒のタイミングで転生しないといけないの。だからここで貴方を待たせてもらっていて、貴方が来るまで死者を導く案内人のようなお仕事をしていたのよ。その『仕事のお礼』を使えば少しだけ『奇跡』を起こせると聞いてね、貴方の『事件が起きる前に戻って助けたい』という願いとお礼の力を合わせて、あの日まで時間を巻き戻したの」
「……そんなことがあったんだね。ありがとう。君がチャンスをくれたおかげで、未来を変えられたよ」
身勝手な理由でクローデットが命を奪われ、それによって私は抜け殻のようになってしまう。
クローデットだけではない。私とクローデットをいつも愛してくれていた彼女にとっても、あまりにも辛い最悪の事態を回避することができた。
「わたしは先にさようならをしてしまって、貴方にもあの子にも沢山迷惑をかけてしまったもの。お役に立てて嬉しいわ」
「迷惑なんてかけていないさ。私は今でも、君との政略結婚を結んでくれた祖父に感謝をしているよ」
親族の中には、好き勝手にものを言う者もいた。
だがエリザベトと過ごした日々は私にいくつもの幸せをもたらしてくれたし、クローデットいう宝物にも出会うことができた。
結婚を後悔した日は、一度もない。
「……わたくしも、祖父に感謝しているわ。貴方のような人に出逢えて、幸せよ」
エリザベトは瞳を潤ませながら頬を緩ませ、やがてその表情は微苦笑へと変わった。
……私の身体が、薄くなり始めた。
会える時間は終わり、というわけか。
「残念、時間切れみたい。この続きは、また今度しましょう」
「そうだね、また今度。その時はゆっくりしよう」
もう二度と会えないかもしれない――。死後の仕組みを知らなかった私は――私達は、永遠の決別を覚悟した――。
けれど、また会えると知れたから。寂しさはあるが悲しみはない。
「これからはしっかり、あの子を幸せにするよ。もうヒヤヒヤさせないからさ、のんびりと見守っていてね」
「ええ、そうさせてもらうわ。……あなた、またね。あの子にもよろしく伝えておいて頂戴ね」
「ああ。またね、エリザベト。ちゃんと伝えておくよ」
あの時と同じ『さよなら』でも、その意味は大きく違う。私はあの日のように抱き合い――けれど悲しみの涙は流さず、互いに嬉し涙を流して別れたのだった。
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