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しおりを挟む部屋は薄暗く、かすかに蛍光灯のような数ワットのLEDが部屋を照らした。ベッドは硬いスチール製でその上に薄い毛布をひいた粗末なベッドであった。
ガラスのテーブルの上には額縁に入った「Oneday schedule(一日の予定)」という紙にリモコンが置かれていた。横を見るとテレビとタンスが置かれてあった。タンスを開けると、また紙が入っていた。その紙は日本語で「視聴可能なチャンネル欄」と書いてあり、その下は何故か全てタイ語でチャンネル名が書かれていた。
さらに横を見ると、その方角一面は檻と扉であった。扉は厳重なセキュリティータイプであり、内側と外側にカードキーをスキャンする機械が付いていた。
状況を簡単にまとめると、おそらく監禁である。
だが、あまりにも豪華な設備だ。私がその価値に値するとは思えない。いや、もしくわ大富豪や何処かのお偉いさんをターゲットとした人身売買かもしれない。となると私は商品。多少の傷でさえ許されないのだろう。
なら、辻褄がある。私は体は正常であり、特に持病や後遺症、障害といったものはなかった。だが、容姿に関しては商品になるほどではない。ごく普通の女子高生の顔だ。私を選ぶ必要性は正常な体のみか?もっと他に理由があって良いと思う。
ともかく、今の私の能力や知識だけではここからは出れない。商品扱いなら、食事や入浴の時間に外出が許可されるであろう。その時間を利用して情報を集める。
ちなみに、服装は入院した人が着るような簡単な服であった。色はピンク色。胸には変な番号があった。おそらく、商品番号といった感じか。
(他になにか無いか?)
室内を見渡すと、この部屋の四つ角に、監視カメラがあった。なるほど、部屋で小細工はさせない気か。
ーコツっ コツっ コツっ
何者かが廊下を歩いている音が聞こえる。
すると、檻の前に人が現れた。アンドロイドのような無愛想な顔にがっしりとした体つき。坊主。青い作業服。男性のようだ。
青いカードキーをポケットから取り出すと、この部屋のドアにスキャンした。すると、ドアはガチャリと開いた。
「No.36。外へ出ろ。」
台本を棒読みするかのような声の出し方。本当にアンドロイドの可能性も出てきた。
言われた通り、外を出ると、その男の後ろに私と同じような服を着た女子が並んでいた。おそらく、一緒に閉じ込められたのだろうか。彼女らは、脅えるような顔でこちらを見ていた。
すると、男はこちらを見た。
「下手な言動は処罰に値する。酷い拷問を受けたくなければ言う通りにしろ。」
そう言うと、男は歩き出した。
「ついてこい。」
そう言ったので、ついていった。
檻の部屋はとても長い間隔で設置されている。恐らく、協力されないようにするためであろう。さらに、壁や床も特殊な加工が施されている。スポンジのような穴のようなものがあった。聞いたことがある。これは、防音の加工だったような気がする。
進むと、叫び声が聞こえた。
「何よこれ!ちょっと!」
なるほど、長い間隔に防音の加工のおかげで何も聞こえなかったと言うわけか。
すると、先頭の男は、その叫ぶ女子が収容された檻に近付く。
「黙れ。一切声を出すな。」
すると、その女子も対抗する。
「はぁ!?何よ!アンタ!気持ち悪い!」
「今、声を…出したな?」
男は、血相を変えてそう言うと、ポケットからメリケンサックを出し、手にはめた。
「は、ちょっ…え、何よ…」
すると、その女子の髪の毛を掴み、頬に非常に力強いパンチを入れた。女子は口から白い塊を吐き出し、その場に倒れこんだ。
「もう一度言うぞ。黙れ。一切声を出すな。」
「………!」
女子は、恐怖で声が出なかった。
「よし、ついてこい。」
そして、その女子も列に混ざり、また進み出した。
◼️◼️◼️◼️
少し歩くと、大きな業務用のようなドアが出てきた。すると、男はポケットからまた別のカードキーを出し、そのドアを開けた。
「入れ。」
中は、長い食卓に人数分のプレートが置かれていた。
「順に座れ。」
皆、黙って順に座り出した。
よく見ると、男と回りに同じような格好の他の男が休めの姿勢で立っていた。
プレートには食事が盛られていた。ビスケット、ソーセージ、緑色のゼリー(?)、ミックスベジタブル、そして、紙コップに入った牛乳。何とも日本らしくない献立である。なら、この施設は外国か?つまり、外国に飛ばされた?
すると、今、私を含む女子らが来たドアとは真逆のドアから人が来た。
「やぁ!僕の大事な大事なペットちゃん達。」
不快な声を持つ、白髪染まったおじいさんであった。
「何だい。ご主人様が来たって言うのに。そんな顔をするなよ。これはお仕置きが必要だなぁぁぁぁあ!!!」
おじいさんは急に叫び出した。
すると、ポケットから黒い棒を出した。
「お前らぁぁぁ!コイツを押さえろぉぉぉ!」
すると、周りの男らはおじいさんが指を指した女子の体をがっしりと掴んだ。
「ちょっ!何をするんですか!?」
すると、おじいさんは笑みを浮かべた。
「見せしめだ。」
おじいさんは、その黒い棒をその女子の口に突っ込んだ。
「んん!!ん!ぁん!!」
女子は必死にもがくも抵抗出来なかった。
「良いぞ!良いぞ!もっとその苦しみをご主人様に見せるんだぁぁぁあ!」
女子の目は完全に狂っていた。
「はぁはぁはぁ。もういいぞ。」
すると、男らは女子の体から手を離し、解放した。女子は、その場に倒れこみ、咳をした。
「わかるかぁぉ前たち!ご主人様を怒らせてはならない。常識だろぅ?」
「ひぃっ!!」
あまりの気持ち悪さに、一人の女子が声を出してしまった。
「んん?何が「ひぃ」だぁ?」
おじいさんは、黒い棒を持ってその女子に近付いた。
「や、やめて!ごめんなさい!」
「ハッハッハぁ!良いぞ!良いぞ!あ、そうだぁ。他に試したいオモチャがあったんだよなぁ!?」
おじいさんは、フラフラと女子に近付いていく。
「イヤァァァァ!!」
すると、おじいさんは立ち止まって手を叩いた。
「今日はぁこのぐらいにしておこう。食事があるからねぇ。」
おじいさんは出口へ歩き出した。
「あ、そうそう。僕のことはファザーと呼びなさい。宜しく。」
そう言って、部屋から出ていった。すると、一人の男が前に出てきた。
「食事を始めろ。」
そう言うと、部屋の上についたモニターにカウントダウンが映った。10分程度だ。恐らく、10分までは食事の時間が与えられると言うことであろう。
(いただきます。)
ビスケットを一口噛みきる。味はしない。ボソボソで質素だ。ソーセージも同じであった。多少薫製のような風味があるだけで、味は非常に薄い。緑色のゼリー(?)なんかは味がしない。ミックスベジタブルも不味かった。
恐らく、これらの食事はただ単に病気などにならないよう栄養に配慮したものであろう。味は考えられていないのだと思う。
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