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24.小野塚の高校時代①
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朝の空気が好きだった。
澄んだ空気を独り占めできる感覚が心地よかった。肺いっぱいに吸い込み、ゆっくりと吐き出す。
いつものように日も昇らないうちに家を出て、走って学校へと向かった。まだ誰も来ていないのを確認し、軽く優越感に浸る。家から走ってくる間に温まった身体を入念に伸ばし、準備運動をした。ボールを蹴ると、静まり返った空間にボールが跳ねる音が響いた。
ふいに、人の視線を感じた。辺りを見回すと、グラウンドを囲むフェンスの近くで、誰かがこちらを覗いているのが見えた。その姿はなんとなく見覚えがあった。小野塚はその人影に近づいた。
『おはようございます』
彼は今まで走っていたようだった。ジャージ姿で、頬がほんのり赤くなっていた。緊張しているのか、彼は声を震わせながら挨拶をした。ジャージの色から一年だろうということは分かった。いつも練習を見ていると言う。ということは、陸上部か。褒めてくれるのは嬉しかったが、名前は分からなかった。
『木崎です』
木崎は名乗ってから慌てて、すみませんと謝った。どうして謝るのか、小野塚はおかしかった。サッカー部の後輩にも先輩を前に萎縮してしまうものもいるが、ここまで顕著ではない。
小野塚は木崎の寝癖に気付き、頭に手を置いた。木崎は固まって、顔を真っ赤にした。
(おっと、もしかして結構人見知りだったりするか? だったらいきなり馴れ馴れしかったかな)
しばらくして誰かがやってきた。部長か、池永だろう。木崎に別れを告げ、走り出す。ふと思い立ち、『今度、よかったら試合、見に来てくれよ』と伝えた。応援は多いほうがいい。
走りながら、木崎の顔を思い返した。小野塚の手には木崎の柔らかい髪の感触が残っていた。
あの日から、グラウンドで練習をする木崎が目に付くようになった。今までは関わりのない人たちは背景とほぼ変わらなかったのに、少し話しただけでその人物が背景からくっきり浮かび上がるのだから不思議だ。手を軽くあげて挨拶をすると、木崎はたどたどしく頭を下げた。
試合を見に来てくれた。あの朝からずいぶん経っていた。しかも公式戦ではなく、練習試合だ。珍しいやつだと思った。もの珍しい彼は佐伯の友人らしい。ファンなんですよ、と佐伯に言われて木崎と写真を撮った。隣に立っているだけで木崎が緊張しているのが伝わった。きっと写真には、うまく笑えていない木崎が写っているはずだ、と想像して自然と笑えてきた。
その日を境に、木崎のことが少しずつ気になってきた。
木崎の、小野塚に向けるその視線は、過去に何度も浴びたものに似ていたのだ。頬を赤く染め、相手の小さなしぐさまで見逃すまいとする。だがそちらを見ると、ぱっと視線を逸らす。試合を応援に来る女の子達はよくそんな目をしていたが、同姓相手から向けられるのは初めてだった。
(もしかしたら木崎は、男が好きなのか?)
憧れに似た感情を抱かれることはあるが、恋愛感情というものはなかった。身近に、ましてや自分にそういう感情を向けられたことはなかった。木崎に恋愛対象として見られている――嫌悪感はなかった。あるのは僅かな高揚感だ。もしくは優越感だろうか。小野塚は少なからず興奮した。退屈な日常のなかに起きた、ちょっとした事件だ。
それからしばらくして、木崎に告白をされた。いきなりのことでひどく驚いた。朝練の時に寝癖を見つけた、試合を見に来てくれてファンだと言っていた、グラウンドの隅で走りこんでいた、あの木崎だ。
木崎は耳だけでなく首まで真っ赤になっていた。初めて会話をした時よりずっと真っ赤だった。泣きそうな顔をしていたが、潤んだ瞳はまっすぐ小野塚を見つめていた。
可愛い後輩だと思っている、と答えた。実際にそう思っているのは本当だ。試合を見に来てくれたことも、手を上げると応えてくれるところも、懐いてくれているのだなと思うと可愛かった。
(ただ、木崎の言ってる「好き」と、俺の思ってる「好き」は違うものだよな)
わかっていて、自分からは言わなかった。いじわるをした。
案の定、木崎は言った。
『先輩と、付き合いたいんです。……多分』
(多分ってなんだよ)
思わず小野塚は笑ってしまった。なんだか愉快な気分になった。おかしくてたまらない。男に告白される、付き合う、という特別なことに舞い上がっていただけかもしれない。
小野塚は木崎の告白を受け入れた。木崎のことは可愛いとは思っていたが、慕ってくれる後輩として、だ。恋愛感情は抱いていなかった。
ただ、同性と付き合うという、人とは違うことをやっている自分に酔っていた。特別な人間なんだと思えた。
男と恋人になる、ということを考えてみた。
(キスはできる……気がする。前にダチとふざけてやったことあるしな。なら木崎にも出来るはず。それ以上は男相手となると……うまく想像できねえな。ま、相手は奥手そうな木崎だし、そこまではいかないだろ。あの木崎がやり方を知ってるのかも疑問だしな)
木崎との付き合いは、過去に付き合ったどの女の子よりも楽だった。他の女子に嫉妬することも、人前で見せ付けるように甘えてくることも、興味のない話や愚痴を延々と聞かされることもなかった。木崎とは見たい映画や読みたい本、行きたい店、興味のあることも同じだった。それは自分に合わせていてくれただけかもしれないが、木崎は小野塚がどんなところに連れて行っても心の底から楽しんでいるように見えた。
二人で過ごす貴重な時間を重ねるなかで、ふいに木崎が見せる、小野塚に対する好意をにじませる言動が気になるようになった。
(嫌じゃねえな。むしろ、嬉しい)
こんなにも自分のことを思ってくれていると思うと、感慨深かった。同性だったから、なおさらなのかもしれない。小野塚も少しずつ木崎を、付き合っている相手として意識するようになった。二人で過ごす他愛のない時間を、いいな、と思えた。このままずっと、木崎と恋人のように過ごしていけるかもしれない。
何度目かのデートの時、公園でボールを蹴り、暑くなって、アイスを買って食べた。小野塚はイチゴ味のカキ氷、木崎はソーダ味のシャーベットだった。木崎にアイスをおごってやると喜んだ。年上の方がおごるものだと思っていたし、百円ぐらいの安いものだ。それでも木崎は大事そうに食べていた。
公園のベンチに座り、中身のない会話をしながら、アイスを食べた。何故だったのかは分からない。ただ無性に、隣で青いソーダ味のシャーベットを食べる木崎のことを愛おしいと思った。思い切り抱きしめたいと思った。しかし、頭から顎へ汗が一筋流れたので止めた。
木崎が青いシャーベットを口へと運ぶ。その姿に目が離せなくなった。青と赤を混ぜたら紫になるよな、とぼんやり思った。ソーダ味のシャーベットの青と、イチゴ味のカキ氷の赤だ。あまりにも暑くてどうかしていたのかもしれない。木崎のシャーベットが自分のものよりも美味しそうに見えたのかもしれない。
『木崎』
名前を呼んで、顔を近づけた。キスをした。木崎の唇は柔らかく、冷たかった。
木崎は固まって、シャーベットを落とした。青と赤、がまた頭の中に浮かんだ。口に出していたかもしれない。
すぐに小野塚は我に返って、自分がやってしまったことに気づいた。
(ああ、めっちゃ恥ずかしくなってきた。なにやってんだよ俺、もっと場所とかタイミングとかあんだろ。木崎、引いたりしてねえかな……。ふふ、アイス落としてめっちゃテンパってる、可愛いな)
公園にはふたりの他に誰の姿も見えない。シャーベットを食べ終わると公園を出るまで、手を繋いでゆっくりと歩いた。手のひらにはじんわりと汗をかいていた。木崎の手も熱かった。それでも、ずっとこのままでもいいと思えた。
だが、人の話し声が聞こえてきたので、すぐに手を離した。
澄んだ空気を独り占めできる感覚が心地よかった。肺いっぱいに吸い込み、ゆっくりと吐き出す。
いつものように日も昇らないうちに家を出て、走って学校へと向かった。まだ誰も来ていないのを確認し、軽く優越感に浸る。家から走ってくる間に温まった身体を入念に伸ばし、準備運動をした。ボールを蹴ると、静まり返った空間にボールが跳ねる音が響いた。
ふいに、人の視線を感じた。辺りを見回すと、グラウンドを囲むフェンスの近くで、誰かがこちらを覗いているのが見えた。その姿はなんとなく見覚えがあった。小野塚はその人影に近づいた。
『おはようございます』
彼は今まで走っていたようだった。ジャージ姿で、頬がほんのり赤くなっていた。緊張しているのか、彼は声を震わせながら挨拶をした。ジャージの色から一年だろうということは分かった。いつも練習を見ていると言う。ということは、陸上部か。褒めてくれるのは嬉しかったが、名前は分からなかった。
『木崎です』
木崎は名乗ってから慌てて、すみませんと謝った。どうして謝るのか、小野塚はおかしかった。サッカー部の後輩にも先輩を前に萎縮してしまうものもいるが、ここまで顕著ではない。
小野塚は木崎の寝癖に気付き、頭に手を置いた。木崎は固まって、顔を真っ赤にした。
(おっと、もしかして結構人見知りだったりするか? だったらいきなり馴れ馴れしかったかな)
しばらくして誰かがやってきた。部長か、池永だろう。木崎に別れを告げ、走り出す。ふと思い立ち、『今度、よかったら試合、見に来てくれよ』と伝えた。応援は多いほうがいい。
走りながら、木崎の顔を思い返した。小野塚の手には木崎の柔らかい髪の感触が残っていた。
あの日から、グラウンドで練習をする木崎が目に付くようになった。今までは関わりのない人たちは背景とほぼ変わらなかったのに、少し話しただけでその人物が背景からくっきり浮かび上がるのだから不思議だ。手を軽くあげて挨拶をすると、木崎はたどたどしく頭を下げた。
試合を見に来てくれた。あの朝からずいぶん経っていた。しかも公式戦ではなく、練習試合だ。珍しいやつだと思った。もの珍しい彼は佐伯の友人らしい。ファンなんですよ、と佐伯に言われて木崎と写真を撮った。隣に立っているだけで木崎が緊張しているのが伝わった。きっと写真には、うまく笑えていない木崎が写っているはずだ、と想像して自然と笑えてきた。
その日を境に、木崎のことが少しずつ気になってきた。
木崎の、小野塚に向けるその視線は、過去に何度も浴びたものに似ていたのだ。頬を赤く染め、相手の小さなしぐさまで見逃すまいとする。だがそちらを見ると、ぱっと視線を逸らす。試合を応援に来る女の子達はよくそんな目をしていたが、同姓相手から向けられるのは初めてだった。
(もしかしたら木崎は、男が好きなのか?)
憧れに似た感情を抱かれることはあるが、恋愛感情というものはなかった。身近に、ましてや自分にそういう感情を向けられたことはなかった。木崎に恋愛対象として見られている――嫌悪感はなかった。あるのは僅かな高揚感だ。もしくは優越感だろうか。小野塚は少なからず興奮した。退屈な日常のなかに起きた、ちょっとした事件だ。
それからしばらくして、木崎に告白をされた。いきなりのことでひどく驚いた。朝練の時に寝癖を見つけた、試合を見に来てくれてファンだと言っていた、グラウンドの隅で走りこんでいた、あの木崎だ。
木崎は耳だけでなく首まで真っ赤になっていた。初めて会話をした時よりずっと真っ赤だった。泣きそうな顔をしていたが、潤んだ瞳はまっすぐ小野塚を見つめていた。
可愛い後輩だと思っている、と答えた。実際にそう思っているのは本当だ。試合を見に来てくれたことも、手を上げると応えてくれるところも、懐いてくれているのだなと思うと可愛かった。
(ただ、木崎の言ってる「好き」と、俺の思ってる「好き」は違うものだよな)
わかっていて、自分からは言わなかった。いじわるをした。
案の定、木崎は言った。
『先輩と、付き合いたいんです。……多分』
(多分ってなんだよ)
思わず小野塚は笑ってしまった。なんだか愉快な気分になった。おかしくてたまらない。男に告白される、付き合う、という特別なことに舞い上がっていただけかもしれない。
小野塚は木崎の告白を受け入れた。木崎のことは可愛いとは思っていたが、慕ってくれる後輩として、だ。恋愛感情は抱いていなかった。
ただ、同性と付き合うという、人とは違うことをやっている自分に酔っていた。特別な人間なんだと思えた。
男と恋人になる、ということを考えてみた。
(キスはできる……気がする。前にダチとふざけてやったことあるしな。なら木崎にも出来るはず。それ以上は男相手となると……うまく想像できねえな。ま、相手は奥手そうな木崎だし、そこまではいかないだろ。あの木崎がやり方を知ってるのかも疑問だしな)
木崎との付き合いは、過去に付き合ったどの女の子よりも楽だった。他の女子に嫉妬することも、人前で見せ付けるように甘えてくることも、興味のない話や愚痴を延々と聞かされることもなかった。木崎とは見たい映画や読みたい本、行きたい店、興味のあることも同じだった。それは自分に合わせていてくれただけかもしれないが、木崎は小野塚がどんなところに連れて行っても心の底から楽しんでいるように見えた。
二人で過ごす貴重な時間を重ねるなかで、ふいに木崎が見せる、小野塚に対する好意をにじませる言動が気になるようになった。
(嫌じゃねえな。むしろ、嬉しい)
こんなにも自分のことを思ってくれていると思うと、感慨深かった。同性だったから、なおさらなのかもしれない。小野塚も少しずつ木崎を、付き合っている相手として意識するようになった。二人で過ごす他愛のない時間を、いいな、と思えた。このままずっと、木崎と恋人のように過ごしていけるかもしれない。
何度目かのデートの時、公園でボールを蹴り、暑くなって、アイスを買って食べた。小野塚はイチゴ味のカキ氷、木崎はソーダ味のシャーベットだった。木崎にアイスをおごってやると喜んだ。年上の方がおごるものだと思っていたし、百円ぐらいの安いものだ。それでも木崎は大事そうに食べていた。
公園のベンチに座り、中身のない会話をしながら、アイスを食べた。何故だったのかは分からない。ただ無性に、隣で青いソーダ味のシャーベットを食べる木崎のことを愛おしいと思った。思い切り抱きしめたいと思った。しかし、頭から顎へ汗が一筋流れたので止めた。
木崎が青いシャーベットを口へと運ぶ。その姿に目が離せなくなった。青と赤を混ぜたら紫になるよな、とぼんやり思った。ソーダ味のシャーベットの青と、イチゴ味のカキ氷の赤だ。あまりにも暑くてどうかしていたのかもしれない。木崎のシャーベットが自分のものよりも美味しそうに見えたのかもしれない。
『木崎』
名前を呼んで、顔を近づけた。キスをした。木崎の唇は柔らかく、冷たかった。
木崎は固まって、シャーベットを落とした。青と赤、がまた頭の中に浮かんだ。口に出していたかもしれない。
すぐに小野塚は我に返って、自分がやってしまったことに気づいた。
(ああ、めっちゃ恥ずかしくなってきた。なにやってんだよ俺、もっと場所とかタイミングとかあんだろ。木崎、引いたりしてねえかな……。ふふ、アイス落としてめっちゃテンパってる、可愛いな)
公園にはふたりの他に誰の姿も見えない。シャーベットを食べ終わると公園を出るまで、手を繋いでゆっくりと歩いた。手のひらにはじんわりと汗をかいていた。木崎の手も熱かった。それでも、ずっとこのままでもいいと思えた。
だが、人の話し声が聞こえてきたので、すぐに手を離した。
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