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断罪への序曲5
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「嘘をつくな!」
「お嬢様が、嘘を申してなんの利点があると?」
ぐぬぬぬぬと顔を赤くして吠えるヴァルデマーに、ゴミを見るかのような目を向けてファルクスが告げる。
「私がその様な妄想をどなたにも言っていないことは、ここにいる皆が今しがた証言して下さいましたが、それでも濡れ衣を着せるのですか?」
「うるさい!! 貴様は、俺に寵愛されている彼女を苛めたのだ! それは明白だ!」
イミテ王子が我慢出来ず、会話をぶったぎって来る。
唾が飛んで来るのでないかと思う位に大騒ぎをする。うるさいのはどっちだと言う気持ちが思い切り乗った、屑を見る様な眼で、エルーシャはイミテを睨み問う。
「そもそも、彼女とはどなたのことでしょうか?」
「白々しい!」
「カルミア・フォリアだ! 俺様の最愛の人だ。婚約者だからと嫉妬に狂い彼女を辱しめただろう!」
「私は名も知らぬ者を苛めることなど致しませんわ。それ以前に私は婚約者ではありません。一応と肩書きが付く程度の、貴方様の婚約者候補の一人にすぎません。まぁ、エメル王子様も同じですわよ? どちらかを選べるのでしたら、エメル王子様一択ですが」
「ひどいっ!」
わざとらしく、わぁっと騒ぎイミテにしなだれかかる。
そんなカルミアの肩を優しく撫でながら、印象的な垂れ目をエルーシャ達に向けるループレヒト・デデキント。通称チャラ男君。
「カルミア、僕が君の屈辱を晴らしてあげる。待ってて」
「うんっ」
「エルーシャ・ランプロス公爵令嬢、貴女が地水火風の四属性持ちのカルミアに嫉妬したのは紛れもない事実です! 地水火風の基本属性の他、特殊属性の光闇無の何れも持たない貴女がカルミアを虐げるのは自明の理! そのくせ魔力だけは膨大にあるとは宝の持ち腐れだね。その魔力を見込まれて公爵家に引き取られたんだろうけど、それも今日でおしまいだろうね」
どうだ恐れ入っただろ! と勝ち誇った発言に、思わずエルーシャはフッと鼻で笑ってしまった。
「な! 馬鹿にするとは不敬な!」
「本当に不敬なのは貴方達ですわよ?」
「公爵家の決め事は、ループレヒト・デデキント様がお決めになるとでも思っていらっしゃるのかしらね。ましてや、王子一人の命令だとしても、何処の公爵だって動きませんわよ。その様な専横を許したら即、国がたちゆかなくなりますわね。国王陛下でも公爵を動かしたいなら、勅命を出さなくては駄目ですもの。それも議会を通した上ですが」
「カルステン! この女に言ってやれ!」
味方を増やせば何とかなると思っているのか、ループレヒトは取り巻き仲間の一人に声を掛けた。
「本当にお前は最低だな。エルーシャ! どこかの馬の骨の捨て子の癖に!」
燃えるような赤髪と、翡翠の瞳、鍛え抜かれた肉体、騎士とはこう言うものだと言うのを身体で表現している彼は、カルステン・ランプロス公爵家の長男である。ただし、騎士道精神と言うものは何処かに廃棄されているのが実情である。
また、エルーシャの義兄である。悲しい事に熱血脳筋でもある。この一件で辛うじて繋がっていた糸は切れ、確実に嫡男としての資質はないと判断されるだろう。カルステンはどこの馬の骨か分からないと、エルーシャの事を彼等の中で言い触らしていたのだろうから。
「お嬢様が、嘘を申してなんの利点があると?」
ぐぬぬぬぬと顔を赤くして吠えるヴァルデマーに、ゴミを見るかのような目を向けてファルクスが告げる。
「私がその様な妄想をどなたにも言っていないことは、ここにいる皆が今しがた証言して下さいましたが、それでも濡れ衣を着せるのですか?」
「うるさい!! 貴様は、俺に寵愛されている彼女を苛めたのだ! それは明白だ!」
イミテ王子が我慢出来ず、会話をぶったぎって来る。
唾が飛んで来るのでないかと思う位に大騒ぎをする。うるさいのはどっちだと言う気持ちが思い切り乗った、屑を見る様な眼で、エルーシャはイミテを睨み問う。
「そもそも、彼女とはどなたのことでしょうか?」
「白々しい!」
「カルミア・フォリアだ! 俺様の最愛の人だ。婚約者だからと嫉妬に狂い彼女を辱しめただろう!」
「私は名も知らぬ者を苛めることなど致しませんわ。それ以前に私は婚約者ではありません。一応と肩書きが付く程度の、貴方様の婚約者候補の一人にすぎません。まぁ、エメル王子様も同じですわよ? どちらかを選べるのでしたら、エメル王子様一択ですが」
「ひどいっ!」
わざとらしく、わぁっと騒ぎイミテにしなだれかかる。
そんなカルミアの肩を優しく撫でながら、印象的な垂れ目をエルーシャ達に向けるループレヒト・デデキント。通称チャラ男君。
「カルミア、僕が君の屈辱を晴らしてあげる。待ってて」
「うんっ」
「エルーシャ・ランプロス公爵令嬢、貴女が地水火風の四属性持ちのカルミアに嫉妬したのは紛れもない事実です! 地水火風の基本属性の他、特殊属性の光闇無の何れも持たない貴女がカルミアを虐げるのは自明の理! そのくせ魔力だけは膨大にあるとは宝の持ち腐れだね。その魔力を見込まれて公爵家に引き取られたんだろうけど、それも今日でおしまいだろうね」
どうだ恐れ入っただろ! と勝ち誇った発言に、思わずエルーシャはフッと鼻で笑ってしまった。
「な! 馬鹿にするとは不敬な!」
「本当に不敬なのは貴方達ですわよ?」
「公爵家の決め事は、ループレヒト・デデキント様がお決めになるとでも思っていらっしゃるのかしらね。ましてや、王子一人の命令だとしても、何処の公爵だって動きませんわよ。その様な専横を許したら即、国がたちゆかなくなりますわね。国王陛下でも公爵を動かしたいなら、勅命を出さなくては駄目ですもの。それも議会を通した上ですが」
「カルステン! この女に言ってやれ!」
味方を増やせば何とかなると思っているのか、ループレヒトは取り巻き仲間の一人に声を掛けた。
「本当にお前は最低だな。エルーシャ! どこかの馬の骨の捨て子の癖に!」
燃えるような赤髪と、翡翠の瞳、鍛え抜かれた肉体、騎士とはこう言うものだと言うのを身体で表現している彼は、カルステン・ランプロス公爵家の長男である。ただし、騎士道精神と言うものは何処かに廃棄されているのが実情である。
また、エルーシャの義兄である。悲しい事に熱血脳筋でもある。この一件で辛うじて繋がっていた糸は切れ、確実に嫡男としての資質はないと判断されるだろう。カルステンはどこの馬の骨か分からないと、エルーシャの事を彼等の中で言い触らしていたのだろうから。
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