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番外編・2
コッコラ王国の悲劇・6
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「んな場末のストリップ劇場が潰れるくらいで、そんな落ち込まんでも……。ベルトルド様なら社交界の美姫を独占し放題っしょ」
首をすくめながらギャリーがつっこむと、
「宮廷のメス豚共はもう飽きた」
とそっけない返事が戻ってきて、談話室内には「やれやれ」といったため息が流れた。
「家柄を鼻にかける厚化粧共の分際で、やってることは男日照りの淫売だ」
「……否定はできないものがありますね」
ストレートすぎる表現に、苦笑交じりにルーファスが同意した。
恋のゲーム、恋の駆け引きと称して、性欲旺盛な貴婦人が多いことを、かつて宮廷騎士を務めていたルーファスはよく知っていた。何故なら自分もご相伴にあずかることが多かったからだ。
どこか人懐っこさのある、優しい甘いマスクに金髪で長身の彼は、騎士甲冑をまとって立っているだけで、妙齢から高齢までの貴婦人たちの憧れの的だったのだ。
「なんなら俺が買い取ってもいいんだが」
「ストリップ劇場をですか!?」
縞模様の混じった尻尾を逆立てながら、シビルが仰天した声を上げる。
「アルカネットにバレると殺される……」
眉をしかめてベルトルドが渋面を作る。
「止めておいたほうがよろしいかと」
ため息混じりにカーティスが言うと、ベルトルドは「ふんっ」と鼻息を吐きだした。
「あいつを執事にしたら、小遣いの使い道まで五月蝿くなった。お陰で小遣いが減るたびに、説教まみれなんだぞ」
「女性問題の後始末を、いつも押し付けるからツケが回ってきたんじゃね……」
ぼそりとギャリーがつっこむと、ベルトルドにじろりと睨まれて首をすくめた。
「唯一の息抜きが、ここで愚痴を垂れるだけとはな。色気もなんもナイようなところでまったく」
「あら~、アタシがいるじゃないですかぁ」
うふんとセクシーポーズを作ってアピールするマリオンを一瞥し、ベルトルドは真顔になって率直に感想を述べる。
「お前がそうするとキモイからやめておけ」
「え~~~~~ひどぉおおおい」
嘆くマリオンをよそに、皆納得したように深く頷いていた。
王侯貴族が住み、国の中枢機関が集まるハーメンリンナの中に広大な屋敷を持ち、贅沢放題が出来る御仁が、傭兵のアジトで酒を片手にくつろいでいるのは、ベルトルドこそがライオン傭兵団の後ろ盾であり、資金源のスポンサーだからである。
週に1回くらいはこうしてふらりと遊びにやってきて、談話室でみんなを相手に雑談をしていた。
ライオン傭兵団のアジトでは、各自立派な個室が与えられている。もともと宿屋だったこともあり、シングルルーム程度の広さだが、ベッドに調度品なども整っている良い部屋だ。他には広い食堂やら各生活スペースがあるが、みんなで集まってのんびりくつろげる空間があるといいですね、とカーティスの提案で作られたのが談話室だった。
元はダンスフロアだった部屋に若干手を入れ、各々好きなものを持ち込んでちょっとした遊びの空間に変わった。
談笑できるソファセット、カードゲームのためのテーブルセット、トレーニング用の器具類、床に寝そべることができるような大きめのカーペットが敷かれ、読書が出来るように本棚と本が置かれた。憩いの部屋らしく観葉植物や花が活けられ、小腹がすいたときにつまめる菓子鉢もある。
部屋に閉じこもって気ままに過ごす者もいるが、みんな大抵はこの談話室に集まり、自由気ままに時間を過ごすのが当たり前となっていた。
あまり積極的に会話に参加しないメンバーも、同じ空間にいることで、自然とコミュニケーションも取れているのだ。
こうしてベルトルドが遊びに来たときは、全員必ずこの談話室に集まるようにカーティスから指示されていた。
首をすくめながらギャリーがつっこむと、
「宮廷のメス豚共はもう飽きた」
とそっけない返事が戻ってきて、談話室内には「やれやれ」といったため息が流れた。
「家柄を鼻にかける厚化粧共の分際で、やってることは男日照りの淫売だ」
「……否定はできないものがありますね」
ストレートすぎる表現に、苦笑交じりにルーファスが同意した。
恋のゲーム、恋の駆け引きと称して、性欲旺盛な貴婦人が多いことを、かつて宮廷騎士を務めていたルーファスはよく知っていた。何故なら自分もご相伴にあずかることが多かったからだ。
どこか人懐っこさのある、優しい甘いマスクに金髪で長身の彼は、騎士甲冑をまとって立っているだけで、妙齢から高齢までの貴婦人たちの憧れの的だったのだ。
「なんなら俺が買い取ってもいいんだが」
「ストリップ劇場をですか!?」
縞模様の混じった尻尾を逆立てながら、シビルが仰天した声を上げる。
「アルカネットにバレると殺される……」
眉をしかめてベルトルドが渋面を作る。
「止めておいたほうがよろしいかと」
ため息混じりにカーティスが言うと、ベルトルドは「ふんっ」と鼻息を吐きだした。
「あいつを執事にしたら、小遣いの使い道まで五月蝿くなった。お陰で小遣いが減るたびに、説教まみれなんだぞ」
「女性問題の後始末を、いつも押し付けるからツケが回ってきたんじゃね……」
ぼそりとギャリーがつっこむと、ベルトルドにじろりと睨まれて首をすくめた。
「唯一の息抜きが、ここで愚痴を垂れるだけとはな。色気もなんもナイようなところでまったく」
「あら~、アタシがいるじゃないですかぁ」
うふんとセクシーポーズを作ってアピールするマリオンを一瞥し、ベルトルドは真顔になって率直に感想を述べる。
「お前がそうするとキモイからやめておけ」
「え~~~~~ひどぉおおおい」
嘆くマリオンをよそに、皆納得したように深く頷いていた。
王侯貴族が住み、国の中枢機関が集まるハーメンリンナの中に広大な屋敷を持ち、贅沢放題が出来る御仁が、傭兵のアジトで酒を片手にくつろいでいるのは、ベルトルドこそがライオン傭兵団の後ろ盾であり、資金源のスポンサーだからである。
週に1回くらいはこうしてふらりと遊びにやってきて、談話室でみんなを相手に雑談をしていた。
ライオン傭兵団のアジトでは、各自立派な個室が与えられている。もともと宿屋だったこともあり、シングルルーム程度の広さだが、ベッドに調度品なども整っている良い部屋だ。他には広い食堂やら各生活スペースがあるが、みんなで集まってのんびりくつろげる空間があるといいですね、とカーティスの提案で作られたのが談話室だった。
元はダンスフロアだった部屋に若干手を入れ、各々好きなものを持ち込んでちょっとした遊びの空間に変わった。
談笑できるソファセット、カードゲームのためのテーブルセット、トレーニング用の器具類、床に寝そべることができるような大きめのカーペットが敷かれ、読書が出来るように本棚と本が置かれた。憩いの部屋らしく観葉植物や花が活けられ、小腹がすいたときにつまめる菓子鉢もある。
部屋に閉じこもって気ままに過ごす者もいるが、みんな大抵はこの談話室に集まり、自由気ままに時間を過ごすのが当たり前となっていた。
あまり積極的に会話に参加しないメンバーも、同じ空間にいることで、自然とコミュニケーションも取れているのだ。
こうしてベルトルドが遊びに来たときは、全員必ずこの談話室に集まるようにカーティスから指示されていた。
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