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ライオン傭兵団編
episode16
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「ふーん…。で、アタシはどうすればいいの?」
戦争の経緯や依頼国の状況など、正直どうでもいいので、キュッリッキは先を促した。知ったところでやることは変わらないからだ。
「両軍とも国境沿いの谷間に移動して、明日の正午辺りに戦端が開かれる予定だそうです。それまでに移動して、私たち4人で奇襲をかける計画でした。でも、この奇襲を、あなた一人でやってもらいます」
「はぁああ~~?」
それまで黙って話を聞いていたザカリーが、素っ頓狂な声を上げた。
「おいカーティス、それは流石にナイだろ。恐らく一個大隊くらいの戦力を投入してくるぞ、チャイヴズのじーさんなら」
「だなあ。召喚スキル〈才能〉?ってぇもんが、どんなものか知らねえしな、一人でやらせんのは危ないだろう。オレらと一緒に攻撃なり支援なりをさせたほうがイイんじゃねえのか?」
「オレもそー思う。失敗したらシャレになんないよ?」
ザカリー、ギャリー、ルーファスの3人から反対されても、カーティスは顔色一つ変えず、キュッリッキをジッと見つめた。
「あのベルトルド卿が自信を持ってスカウトしてきた子です。どんな戦局でも、悠然と勝利を導くことが出来る力を持っているんでしょう」
カーティスの言葉を受けて、キュッリッキは内心呆れたように溜め息をついた。
これまで聞かされた話から推察するに、カーティスは単純にベルトルドに介入されるのが嫌なのだろう。それで、入団テストを意地になって実行しようとしている。キュッリッキを通り越して、背後のベルトルドに挑戦を叩きつけているようなものだ。
ちょうど仕事もなくなり、有名どころの傭兵団に入るチャンス。入団テストを蹴ってもライオン傭兵団にいることは出来るだろうが、仕事も与えられず、タダ飯喰らいの居候となり下がり、自然と居づらくなり出ていくことになりそうだ。
ならば、受けて立つまで。
確かな実力を備えるという老将軍率いる一個大隊を相手に、さて、どう仕掛けようかと、キュッリッキは思考を切り替えて、考え始めた。
キュッリッキの表情から察して、4人は顔を見合わせながら、にやりと笑んだ。
長蛇の列に並ぶこと1時間あまり、ようやく自分たちの番が来て、5人は台座に乗った。
エグザイル・システムとは、物質転送装置のことである。
半径1メートルほどの黒い石造りの台座に、短い銀の支柱のようなものが3本立っている。台座の中心には世界地図が彫り込まれていて、エグザイル・システムが置かれている各地を示す、突起のようなスイッチがある。行きたい場所のスイッチを踏めば、装置は起動して、目的地へ一瞬にして飛ばしてくれるのだ。
「サントリナ国の首都ルヤラへ、行きますよ」
カーティスはルヤラのスイッチを、つま先で踏んだ。
戦争の経緯や依頼国の状況など、正直どうでもいいので、キュッリッキは先を促した。知ったところでやることは変わらないからだ。
「両軍とも国境沿いの谷間に移動して、明日の正午辺りに戦端が開かれる予定だそうです。それまでに移動して、私たち4人で奇襲をかける計画でした。でも、この奇襲を、あなた一人でやってもらいます」
「はぁああ~~?」
それまで黙って話を聞いていたザカリーが、素っ頓狂な声を上げた。
「おいカーティス、それは流石にナイだろ。恐らく一個大隊くらいの戦力を投入してくるぞ、チャイヴズのじーさんなら」
「だなあ。召喚スキル〈才能〉?ってぇもんが、どんなものか知らねえしな、一人でやらせんのは危ないだろう。オレらと一緒に攻撃なり支援なりをさせたほうがイイんじゃねえのか?」
「オレもそー思う。失敗したらシャレになんないよ?」
ザカリー、ギャリー、ルーファスの3人から反対されても、カーティスは顔色一つ変えず、キュッリッキをジッと見つめた。
「あのベルトルド卿が自信を持ってスカウトしてきた子です。どんな戦局でも、悠然と勝利を導くことが出来る力を持っているんでしょう」
カーティスの言葉を受けて、キュッリッキは内心呆れたように溜め息をついた。
これまで聞かされた話から推察するに、カーティスは単純にベルトルドに介入されるのが嫌なのだろう。それで、入団テストを意地になって実行しようとしている。キュッリッキを通り越して、背後のベルトルドに挑戦を叩きつけているようなものだ。
ちょうど仕事もなくなり、有名どころの傭兵団に入るチャンス。入団テストを蹴ってもライオン傭兵団にいることは出来るだろうが、仕事も与えられず、タダ飯喰らいの居候となり下がり、自然と居づらくなり出ていくことになりそうだ。
ならば、受けて立つまで。
確かな実力を備えるという老将軍率いる一個大隊を相手に、さて、どう仕掛けようかと、キュッリッキは思考を切り替えて、考え始めた。
キュッリッキの表情から察して、4人は顔を見合わせながら、にやりと笑んだ。
長蛇の列に並ぶこと1時間あまり、ようやく自分たちの番が来て、5人は台座に乗った。
エグザイル・システムとは、物質転送装置のことである。
半径1メートルほどの黒い石造りの台座に、短い銀の支柱のようなものが3本立っている。台座の中心には世界地図が彫り込まれていて、エグザイル・システムが置かれている各地を示す、突起のようなスイッチがある。行きたい場所のスイッチを踏めば、装置は起動して、目的地へ一瞬にして飛ばしてくれるのだ。
「サントリナ国の首都ルヤラへ、行きますよ」
カーティスはルヤラのスイッチを、つま先で踏んだ。
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