猫アレルギーだったアラサーが異世界転生して猫カフェやったら大繁盛でもふもふスローライフ満喫中です

真霜ナオ

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第一章<異世界生活編>

09:猫カフェの定休日

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 連日大盛況の猫カフェSmile Catだが、そんな店にも定休日というものが存在する。
 従業員の休息はもちろん、最大の目的は猫たちを休ませることだ。人懐っこい猫たちも、休みなく人間に囲まれ続けていればストレスになってしまう。
 客を入れず、猫たちが自由気ままに過ごせる定休日は重要なのだ。
 そして何より、定休日は俺自身が猫たちと触れ合うことのできる、特別な時間でもある。

 かつては重度の猫アレルギーに悩まされ続けていた俺だが、この世界に来てからは、思う存分猫という存在を堪能することができる。
 定休日といえど、猫たちの世話を欠かすことはできない。店長である俺に、実質休日は存在しないも同然だ。人によっては、ブラックな仕事に見えてしまうだろうか。

「ハア……天国」

 しかし、俺にとってカフェでの仕事は、何もかもがパラダイスだった。
言わば、俺は猫の下僕であり奴隷なのだ。猫の世話をさせてもらえるというのは、それだけでご褒美のようなものである。
 360度、見渡す限り猫に溢れたこの空間を、天国と呼ばずしてどう呼べばいいのだろうか?

「店長、独り言気持ちが悪いです」

 猫まみれの空間に浸っている俺に、背後から辛辣なツッコミを入れてきたのはコシュカだ。
 彼女は基本的には丁寧な敬語で接してくれるのだが、たまに辛口な言葉を吐いてくるようになった。それは、距離が縮まった証だと思うことにしている。そうであってほしい。
 本来は定休日なので従業員である彼女も休みなのだが、何かと理由をつけては掃除などの手伝いに来てくれていた。ありがたいことである。

「コシュカ、そういう時だけ店長って呼ぶのやめて」

「すみません、気持ちが悪かったのでつい」

 申し訳なさなどまるで感じていない謝罪と共に、コシュカは猫たちの飲み水を交換して回っている。ヨルも味方をしているということなのか、今は彼女の肩の上にいた。
 こういう時は憎たらしいが、可愛い相棒だ。

「ニャウ」

「っと……! 危なかった、お前踏んづけるトコだぞ。人間の足元歩いたらダメだって」

 ヨルを恨みがましく見ながら歩いていると、いつの間にか足元に猫が近づいてきていることに気づくのが遅れてしまう。躓きそうになったが、どうにか踏ん張ることができた。
 俺の足元に纏わりついてきたのは、友好猫フレンドリーキャットだ。甘えん坊な性格をしていて、常に他の猫や人間にくっついていないと気が済まないらしい。
 色柄や見た目は一般的な猫と変わりがないが、くっつき度合いですぐに判別できる。

「遊んでほしいのか? しょうがないな、ちょっとだけだぞ」

 友好猫フレンドリーキャットが運んできたらしい猫じゃらしが落ちていることに気がつくと、俺はそれを拾い上げてしゃがみ込む。
 猫じゃらしを揺らすと、嬉しそうに高く上げた尻を振りながら友好猫フレンドリーキャットが飛びついてきた。

「店長、遊んでないで仕事してください」

「これも立派なお仕事でーす」

 コシュカに咎められてしまったが、猫たちを運動不足にしないためにも、遊んでやることは必要だ。立派な仕事だと開き直り、俺は友好猫フレンドリーキャットと戯れることをやめない。
 そうしているうちに、周囲にいた猫たちも猫じゃらしの存在を見つけて近寄ってくる。
 四方を猫たちに囲まれて、俺の猫じゃらし捌きは精度を増していった。

「……ヨウさんは、どうしてそんなに猫に尽くすんですか?」

 ひとしきり遊んで満足した猫たちは、各々の寝床に戻っていく。
 友好猫フレンドリーキャットは、地べたに座る俺の膝の上で毛繕いを始めてしまったのでそのままにしていた。そんな中で投げ掛けられた問いに、頭だけをコシュカの方へと向ける。

「このカフェは、ヨウさんがやりたくて始めたことなんでしょうけど。国王陛下に頼まれたこととはいえ、保護活動までしていますし。もっと、人に任せることもできますよね」

「それは……俺が下僕だから」

「え?」

「いやいや、何でもないデス。そうだなあ……確かに、任せるって選択肢もあるのかも」

 再び辛辣なツッコミが飛ぶ前に、俺は慌てて咳払いをして言葉を濁す。
 彼女の言う通り、確かにすべてを俺がやる必要はないのかもしれない。休日の猫の世話だって、金はあるのだから人を雇うことができないわけではないのだ。

「……俺さ、一応別の世界から来たんだけど」

「はい、知ってます。異世界から来た勇者様ですよね」

「勇者ではないんだけど……まあ、いいか。別の世界で暮らしてた時はさ、重度の猫アレルギーだったんだよね。それこそ、こんな風に触ったりしたら命に関わるくらいの」

 毛繕いを終えて膝の上で丸くなろうとしている友好猫フレンドリーキャットの背中を、そっと撫でてやる。少し前の俺なら、こんな些細な触れ合いさえ考えられなかった。

「その頃は猫の姿を見たり、ヨルと話をしたりするだけで満足だったんだけど」

「ヨルさんも、異世界から来た猫だったんですか?」

「ああ、そういえば話してなかったっけ。ヨルも俺と同じ世界から来たんだよ」

 ヨルがこの世界の猫ではなかったことを知って、コシュカは自分の顔の横にいる黒猫を驚いたように見遣る。俺の言葉を肯定するように、ヨルはひと声鳴いてみせた。

「そんな風だったから、今こうして猫に直接触れられたり、世話ができるって環境は俺にとって最高に幸せな空間なんだ。だからこそ、猫たちのために俺ができることがあるっていうなら、何だってやりたいと思ってる」

 他にやるべきことも、縛られるものもない。
 猫にだけ集中することができるこの世界は、焦がれるばかりだった俺に、新しい人生を与えてくれたのだ。

「……そういえば、俺ずっとコシュカに聞きたいことがあったんだよな」

「何でしょうか?」

 コシュカの顔を見上げた俺は、あることを思い出す。
 この世界の人間たちは、誰もがもれなく猫を恐れていた。それは、産まれた時から魔獣は恐ろしい存在なのだと刷り込まれてきたからだ。
 この愛らしい姿を前にしても、実際に触れ合ってみるまでは怯えが先行してしまうくらい。本能的に刻み付けられた恐怖だといっても、過言ではないのかもしれない。
 この町の人や、国王に兵士、そして他の町の住人たちと接するほどに深まる疑問があった。

「初めて会った時から、コシュカは猫を怖がってなかったよな?」

 俺がこの世界にやってきたあの日、屋根の上から飛び降りてきたコシュカの姿を思い出す。
 魔獣を従えているということに驚きこそすれ、彼女は他の住人たちのように、怯えて逃げ出すような素振りは見せていなかった。バンを見た時もそうだ。
 まるで、魔獣が害をなす生き物ではないことを知っていたかのように。

「それは……私の表情がわかりにくいからではないでしょうか?」

「確かに、それもあるかもしれないけど」

(無表情だって自覚はあるのか……)

 表情の変化を読み取れなかっただけで、コシュカが怯えていた可能性も否定はできない。
 あの時は俺も色々と混乱していたし、頼れる人間が他にいなかったこともあって、彼女に着いていくのに必死だったのだ。

「勇者がどうのって言い伝えのこと、知ってたんだろうけど。町長のところに連れて行ってくれた時も、迷いがなかったっていうか……」

 そもそも言い伝え自体を、信用できるだけの要素は無かったようにも思える。
 俺はただ黒い猫を連れていて、身ひとつで、ただの不審者だった。

「……魔獣を連れた人間なんて、まず現れません。ヨウさんが言い伝えの勇者なのだと、すぐにわかりました」

「それはまあ、そうだろうね」

 ヨルにすらあれだけ怯えていた人々が、魔獣を飼い慣らすという発想をすること自体があり得ないものだろう。彼女の言い分はもっともだ。

「それに、近くで見たヨルさんはとても可愛らしかったです」

 そう言ってヨルの頭を撫でるコシュカは、どことなく優しげな表情を浮かべているように見える。
 ヨルは可愛い。それを彼女が理解してくれなければ、今こうして過ごすことはできていなかったのかもしれない。

「可愛いものは可愛いので、特に不自然ではないと思いますが。もういいでしょうか?」

「え? ああ、うん。今日も手伝いに来てくれてありがとう」

 はっきりと言い切ったコシュカは、ヨルを肩から下ろすと帰り支度を始める。
 支度といっても、今日は営業日ではなかったので、エプロンを外して鞄を持つだけなのだが。

(不自然ではない……か)

 俺の中では、その返答にまだ釈然としないものが残っていた。明確な理由は浮かばないのだが、どこか誤魔化されたような気さえする。
 けれど、それ以上を追及できるだけの要素があるわけでもない。
 何より、彼女がそれ以上を踏み込んでほしくないのであれば、やめておくべきなのだろう。

「それでは、お疲れ様でした。店長が遊んでいる間に必要な掃除は済ませておきましたので、今夜はちゃんと眠ってくださいね」

(夜更かしして仕事してたのバレてるのか……)

 保護活動の時にも感じたが、コシュカの観察眼は鋭い。
 疲れなど、当然顔や態度に出すようなことはしていないつもりだ。だというのに、少しでも俺が無理をするようなことがあれば、すぐに窘められてしまうのだ。
 昨日もやり始めたら止まらなくなってしまい、夢中になった作業から意識が戻ってきたのは、夜中をとうに過ぎた頃だった。
 それもこれも、猫のためにやれることをやろうとの思いからなのだが。猫たちの世話はほどほどにして、今夜は早めに眠ることにしよう。

「お疲れ様。また明日もよろしくね」

 彼女を見送った俺は、作り置きのおかずでしっかりと夕食を済ませ、いつもより早い時間にシャワーも浴びた。
 どうしたって猫を優先に生活をしてしまう癖は抜けないが、従業員に心配をかけないというのも、店長としての務めだろう。

「もっとちゃんとした大人にならないとなあ? ヨル」

「ミャア?」

 不思議そうに首を傾げるヨルを抱き上げて、ベッドに横たわる。
 今夜も手触りのいい毛並みを撫でながら、俺は静かに眠りにつくのだった。
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