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Confession -突撃?彼の大学へ-

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学食に入ったが混んでいたのでまずは席の確保と言う事で、丁度空いていた席に2人対面で座った。
目の前の女性はスーツ姿なんだけど、これ見よがしに胸(特に谷間)を強調している。嫌味か。
「いきなりでごめんなさいね。私、栗里莉杏(くりさとりあん)と言います。よろしく」
女性は何故か胸の谷間から名刺を出した。
男性だと嬉しいが、私女だし。もらった名刺は生温かった。
名刺を見ると大量の肩書の中に何処かで見た会社の名前が。あれ?静さんの会社の会長さんなんだ。
「えっ。なんでこんな方が私なんかに声をかけて??」
私の質問に”ふふっ”っと莉杏は微笑むと
「いえ、貴女なら私の立派な引き立て役になるわって直感ね。校門の前で地方民の発言をぶちかましてくれてたのを見てお近づきになりたいと思ったのよ」
すごーーーーーーーーーく失礼な台詞だが、台詞の端々がセクシーなので周囲がトローンと酔っ払ってるような表情をしていた。

ん?あれ?何か前にこんなの見たことあるな。「何かエイレンみたい」とポツリと呟いてしまった。
そう、私と出会う前まで本人曰く無意識にフェロモンを垂れ流していたあの都市伝説までになったやつ。
「あらあら、みーんな私のフェロモンに酔っちゃったみたいね。その方が楽なんだけど」
良かった、私の呟き聞こえなかったみたい。
「楽ってなんですか?何かする気で」
エイレンに黙ってきたんだから迷惑も心配もまたかけたくない。莉杏を睨みながら立ち上がった。
「何って、可愛いペットを探しにきたのよ。ここは若い子ばかりだからね」
「はぁ?ペット?」
「そうよ。愛らしい子を愛で無条件に愛を捧げる。そして、お互い癒し癒される、毎日の原動力になる存在。まあ、記憶削除するから言っちゃうけど。私、サキュバスなの。若い子愛でて精気もいただいちゃう一石二鳥作戦」
テヘペロしながら顎に手を乗せ余裕の笑みを浮かべる。途中からもしやと思っていたらやっぱりだったなと。でも、それを顔に出したら色々面倒な予感がしたので睨んだままにした。
「まあ、怖い。そんなに睨まないでよ。貴女には迷惑かけないからね」
莉杏のフェロモンにやられた周囲の人達に物理的に叩かれる可能性が高いので睨むのをやめて学食の奥の方に視線を向けると地味な男性が食事をしていた。
いつもだったらどこにでも居そうな前髪で目元が隠れて猫背でヨレヨレの服装の地味な男性には気が付かないがその男性の服から覗く喉仏と喉筋が毎日見ているので分かった。彼はエイレンだ。
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