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Things you have to tell 翼のターン

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「汚え面だな。翼だったら同じ状況でも色っぽくてもっと溺れさせたくなるのになぁ」
女性は首を絞められた恐怖で顔を引きつらせ鼻血やヨダレがとどめなく溢れ出し青白くなって来ている。
よくよく見ると、その女性はやっぱり妹の愛だった。
と言う事は、エイレン知ってしまったか。
体が崩れ落ち涙が溢れ出した。
幸い店員用の椅子があったのでそこに座り込む形になった。

「クソガキ、これ以上やったらコイツ死ぬわよ。ムカつくのは分かるけど翼ちゃんがショック受けるからやめなさい」
入り口の方を見るとドアに思い切り笑顔で仁王立ちで立っている悠理ちゃんの姿があった。だからドア閉まってたんだ。
「ちっ、生き延びたな」とエイレンは愛の首根っこを掴み入り口に投げ飛ばすと綺麗に悠理ちゃんの目の前に落ちると、悠理ちゃんは倒れてる愛を嬉々として上から見下す視線をした。
「お久しぶりですね~、虎の意を借りる狐なクソ女さん。威勢だけは良かったの聞こえましたよ」
小学生の時に、アイドル雑誌を見ていた私を「キモい」だのと罵った愛は横にいた悠理ちゃんに『お説教』を食らった過去があるので目の前の悠理ちゃんに腰を抜かし失禁した。這いつくばって逃げようとするが前には悠理ちゃん、後ろはエイレンとまさに前門の虎後門の狼状態。
「そうそう、ネットニュース見ました?貴女のパパ達だったかしら?全て失脚。逮捕されるのも時間の問題よね~。貴女も逮捕されちゃったり~して。ウフフフフ、おかえりはこちらですよ」と悠理ちゃんは袋全部の塩を愛の頭上からぶち撒け、ゆかりんが外に待機していた友人達を呼び、何かあったら連絡してと自分の名刺を友人に渡して呼んだタクシーに愛と友人を押し込むと運転手に少し多めのお金を渡し出発させた。

店内の異臭と加重になんとか慣れてきたので、立ち上がろうとするがまだショックが抜けきらなくてうまく立ち上がれずに椅子を倒してしまった。
その音が思ったよりでかかったので、エイレンに悠理ちゃんにゆかりんの3人はこっちを向いて驚いた。
涙は相変わらず止まらないし、感情もぐちゃぐちゃなので子供の様にしゃくりあげながら泣き崩れ、壊れたレコードの様に「ごめん」を連呼していた。

「翼ちゃん・・・。いつから居た・・・の?」
「愛が首絞められているあたりから。黙っててごめんなさい。いつかは言おうとしたけれど・・・やっぱり怖く・・・」
話と言うより、懺悔している感じ。
何度言おうかと悩んでいたがなかなか言えずじまい。後の祭りだ。
その途中でエイレンはいきなり私を思い切り強く抱きしめると
「その顔唆るんだけど。もう、俺のことしか考えられないように堕としてやるから」
驚いて目を見開いている私の顎をクイっと上げて、激しいディープキスをした。
エイレンの唇柔らかいと思った瞬間、唇の間から口の中に生暖かい何かが入り込んできて私の舌を舐め始め、そこから口内を舐めまわされて息が出来なくて苦しい。

こう言ったキスはされた事ないから受け身でじゃなくて攻めないとそれでこそ恋人でしょうと変な負けず嫌いが発生しエイレンが私の口内でやった事をエイレンにもするようにした。
お互いの舌を蛇の交尾のように絡め合わせたり歯茎を舐るように舌先で這わせる。
ヤバイ、キスって気持ちいい。今顔エロくなってるかもと体が熱く感じた時、逆にエイレンの体がだんだんと冷たくなってきて私に倒れ込んだ。
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