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Umkehrtraum
閑話 翼’s birthday 前編
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今日もエイレンは仕事で遅くなると。
最近モデルの仕事がちらほらと増えてきていて顔を合わせる率が減ってきた。
「今日、私の誕生日って忘れてるのかな?」
ため息を吐きながらスマホを見ると、悠理ちゃんと敦啓ちゃんから『Waffenlos』で誕生日パーティーするから来てとお誘いが来た。
エイレンがいつ帰ってくるかわからないから1人っきりの誕生日よりは友達との方が楽しいかなと『了解』のスタンプを返信して、エイレンには悠理ちゃんと食事するとメッセージを送り部屋に行きパーティー用の服を探すことにした。
1時間後、少し大人っぽいワンピース姿で池袋にある『Waffenlos』に到着するとドアには貸切の札がかかっていたので”トントン”とドアをノックした。
数秒後にドアが開くと腰まである黒髪ロングでシックな紺色の着流しを着た人が中から某家政婦の様に確認し、私と分かると勢いよくドアを開けて大型犬の様に飛びつき強めに抱きしめた。
「翼ちゃんお誕生日おめでとう!!」
「敦啓ちゃんありがとう・・・って重い!太った?」
そう、飛びついたのは『Waffenlos』店主桐谷敦啓ちゃん(男)
「っ!!乙女にそんな酷いこと言っちゃあダメよっ!!そうそう、実は中に凄い子が居るのよ。さあさあ、入って」
敦啓ちゃんに急かされて中に入ると,ショートカットでセーラーワンピースを着た女の子が私に気付き振り向くと口元に手を持ってきて「うわーっ」と叫んだ。
彼女に見覚えは無いが向こうは私のことを知ってるなら学校関係かな?
誰かなと覗き込むと横で”ピクピク”震えていた敦啓ちゃんが我慢できずに「ブーっ!」と吹き出した。
「あーっ、いきなりだと分からないわよね。覚えてる?カイトの妹の八女ツバサちゃん」
カイト君の妹????
ん??記憶をたぐり寄せてようやく辿り着き目を見開いた。
「チビツバサちゃん!!ええっチビちゃん!!!生きてたの!!!」
悠理ちゃんの信奉者 兼 親衛隊隊長 兼 今はエイレンのマネージャーやってる八女カイト君の妹で、私の名前と同じ翼だが漢字とカタカナと微妙なので敦啓ちゃんや悠理ちゃんからは『チビツバサ』略して『チビちゃん』と呼ばれていた。
そんな彼女が高校2年生の時に乗っていたバスが神隠しにあったとか。
(同時刻に別の場所でバスが崖から落ちたのも偶然か必然かと未だに動画サイトで考察が出たりとかしている事件)
「すいません。色々あって異世界で図太く生きてます」
チビちゃんは恥ずかしそうに手を挙げた。
「いやー、異世界転移って小説や漫画の世界かと思ったら現実であるとわねー」
冷蔵庫から『翼ちゃん’s誕生日おめでとう』と書いてあるチョコ板が乗っているホールケーキを取り出し、テーブルに置いて蝋燭を差し出した敦啓ちゃんはしみじみと喋っているが、彼氏がインキュバスで親友が霊感持ちなのもある意味小説や漫画の世界なんだよなと口に出しかけたけどググッと飲み込んだ。
「そうだ、もしかして敦啓先輩がこの依頼者ですか?」
チビちゃんが思い出した様に丸めていた紙と紙袋を敦啓ちゃんに渡し、紙を開いた敦啓ちゃんは目を通すと頷いた直後に溜息をついた。
「チービちゃん、あってはいるけどぉ・・・ちょっと癒し効果のあるいい香りのする木板欲しいって頼んだのに、まさか世界樹の枝で作った木のストローって・・・
いつ何処で使えば良いのよ。
疲れてる常連さん達にモニターになってもらうでいいかしら。
んんっ、後で祐香里君に苦情言いますか」
紙袋の中身を見て後半ブツブツと呟くように紙袋を何故か神棚に置くと、紙に判子を押してチビちゃんに戻した。
そこからは何事も無かったかのように、私とチビちゃんの誕生日パーティーは行われた。
最近モデルの仕事がちらほらと増えてきていて顔を合わせる率が減ってきた。
「今日、私の誕生日って忘れてるのかな?」
ため息を吐きながらスマホを見ると、悠理ちゃんと敦啓ちゃんから『Waffenlos』で誕生日パーティーするから来てとお誘いが来た。
エイレンがいつ帰ってくるかわからないから1人っきりの誕生日よりは友達との方が楽しいかなと『了解』のスタンプを返信して、エイレンには悠理ちゃんと食事するとメッセージを送り部屋に行きパーティー用の服を探すことにした。
1時間後、少し大人っぽいワンピース姿で池袋にある『Waffenlos』に到着するとドアには貸切の札がかかっていたので”トントン”とドアをノックした。
数秒後にドアが開くと腰まである黒髪ロングでシックな紺色の着流しを着た人が中から某家政婦の様に確認し、私と分かると勢いよくドアを開けて大型犬の様に飛びつき強めに抱きしめた。
「翼ちゃんお誕生日おめでとう!!」
「敦啓ちゃんありがとう・・・って重い!太った?」
そう、飛びついたのは『Waffenlos』店主桐谷敦啓ちゃん(男)
「っ!!乙女にそんな酷いこと言っちゃあダメよっ!!そうそう、実は中に凄い子が居るのよ。さあさあ、入って」
敦啓ちゃんに急かされて中に入ると,ショートカットでセーラーワンピースを着た女の子が私に気付き振り向くと口元に手を持ってきて「うわーっ」と叫んだ。
彼女に見覚えは無いが向こうは私のことを知ってるなら学校関係かな?
誰かなと覗き込むと横で”ピクピク”震えていた敦啓ちゃんが我慢できずに「ブーっ!」と吹き出した。
「あーっ、いきなりだと分からないわよね。覚えてる?カイトの妹の八女ツバサちゃん」
カイト君の妹????
ん??記憶をたぐり寄せてようやく辿り着き目を見開いた。
「チビツバサちゃん!!ええっチビちゃん!!!生きてたの!!!」
悠理ちゃんの信奉者 兼 親衛隊隊長 兼 今はエイレンのマネージャーやってる八女カイト君の妹で、私の名前と同じ翼だが漢字とカタカナと微妙なので敦啓ちゃんや悠理ちゃんからは『チビツバサ』略して『チビちゃん』と呼ばれていた。
そんな彼女が高校2年生の時に乗っていたバスが神隠しにあったとか。
(同時刻に別の場所でバスが崖から落ちたのも偶然か必然かと未だに動画サイトで考察が出たりとかしている事件)
「すいません。色々あって異世界で図太く生きてます」
チビちゃんは恥ずかしそうに手を挙げた。
「いやー、異世界転移って小説や漫画の世界かと思ったら現実であるとわねー」
冷蔵庫から『翼ちゃん’s誕生日おめでとう』と書いてあるチョコ板が乗っているホールケーキを取り出し、テーブルに置いて蝋燭を差し出した敦啓ちゃんはしみじみと喋っているが、彼氏がインキュバスで親友が霊感持ちなのもある意味小説や漫画の世界なんだよなと口に出しかけたけどググッと飲み込んだ。
「そうだ、もしかして敦啓先輩がこの依頼者ですか?」
チビちゃんが思い出した様に丸めていた紙と紙袋を敦啓ちゃんに渡し、紙を開いた敦啓ちゃんは目を通すと頷いた直後に溜息をついた。
「チービちゃん、あってはいるけどぉ・・・ちょっと癒し効果のあるいい香りのする木板欲しいって頼んだのに、まさか世界樹の枝で作った木のストローって・・・
いつ何処で使えば良いのよ。
疲れてる常連さん達にモニターになってもらうでいいかしら。
んんっ、後で祐香里君に苦情言いますか」
紙袋の中身を見て後半ブツブツと呟くように紙袋を何故か神棚に置くと、紙に判子を押してチビちゃんに戻した。
そこからは何事も無かったかのように、私とチビちゃんの誕生日パーティーは行われた。
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