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狙う者と護る者
Chapter 8
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日が暮れて夜になる頃、家を出ようとアズマは仕度していた。
準備を終えてリビングへと降りた時には、既に6時になっている。
セリアも既に帰宅して、リビングのソファーで寛いで足を延ばしてる姿が見えた。
美鈴もこの家に来て、かなり馴染んでいる様子だった。
気がつけば、能力者の宝庫。いいや、セリアが好きな、ドラマに例えるならアルファズやX―メンって所か。
客として連れてきた奈央なんか、まるで当然のようにソファーに座っている。
彼女達から目を離して、台所の冷蔵庫を開く。 中にあるビン牛乳を片手に取り、冷蔵庫を閉めた。
「母さん。ちょっと用事があるから、変わりにあの子に料理出してあげてほしい。 帰りは遅いと思う」
「あの子、孤児なの。うちの学園でも有名なヤンチャ者で…………PKなんでしょ?」
「……まさか、母さん気がついてたりするのか」
疑問に思いながらも、ビンへと口をつけて一口飲んだ。
料理を作っている母の声は、リビングの方まで聞こえない程の小声で、俺に言ってきた。
「そりゃぁ、貴方の小さい頃を知っとるけんね。 教授の研究の事もあるし、大体 [[rb:検討 > けんとう]]はつくよ」
「全てお見通しって感じか。 とにかく、行ってくるから」
「いってらっしゃい」
台所から離れながら、牛乳が半分になるくらいまで飲んだ。
今あってる番組だろうか? 都市伝説系の雑談番組の音が飛び込んでくる。
美鈴は、こっちを見てから少し不思議そうにしていると、片手を伸ばしてきた。
伸ばしたままジッと見つめてくる。
何だと睨んでいると、一言だけ放った。
「アズアズ……牛乳ちょうだい」
ビンに半分くらいしか入っていない牛乳を一度見て、美鈴へと手渡しした。
彼女は手に取ると直ぐに口をつけて飲んだ。
兄妹とさほど変わらないくらいの馴染み様なのはどうしてだろうか。
テレビから流れるXファイルの曲に、一度視線を向けると、よく見る芸能人達の顔が映っていた。
興奮するように言い放つ男の声がテレビから聞こえてくる。『つまり、世界中で起こっている怪事件はU.F.O.から宇宙人が行っているのではなかった。全て人間だったって事だよね。13年から世界は新に変わりはじめてたって事。わかるよね? もう既に、新人類が旧人類を滅ぼす事で新な世界の誕生させようとしてる。破壊からしか、創造は生まれない。だよね』
テレビを見ている奈央に視線を向けて口を開いた。
少し態度がデカイ気もするが、仕方が無い事だろう。
「奈央。色々と頼んだ」
「いいわよ~。どうせ家にいても一人だからね。 コイツ等は任せて。一応 恩返しってヤツだから気にしないで」
普通に返してくれた言葉に安心した。
笑顔の彼女を見て頷く。二人のそんな姿にセリアはもじもじと肩を揺らしている。
そういえば、セリアはまだ奈央の能力を知らない。
まぁ、そのくらいは自分達で説明ぐらいするだろう。
ここの警備は万全だ。
外からの侵入をセンサーで感知する機械を既に庭や玄関、裏口前にも置いて有る。
二階の戸締りも完璧。誰かが通れば美鈴の首にしているアクセサリ型の端末に情報が送られ、高い音が鳴る。
そろそろ、行かないといけないな。
「あっ、そうそう。アズマの為にコレ持ってきたんだ。 いざって時役に立つよ色んな意味で」
奈央が座ったまま、置いて有る紙袋から片手で取り出す。
藍色のフード付きジャケット。それを下投げで渡してくる。
飛んできたソレを両手でキャッチすると、袖なしで動きやすいタイプのものだった。
それにコレ、フードに少し改良が加えてある。
あまりに違和感が無かったが、フードが少し長い。おそらく眉の上まで隠してくれる位だろう。
見入っていると、奈央はもう一つ投げ込んできた。
左手で飛んできた黒い物体を掴むと、一度確認する。
スポーツ用のサングラス。鏡の様に辺りの光を反射するタイプのサングラス。
「それ、私が昔使ってたヤツなんだけど、防犯カメラに映っても特定されにくいのよね。必要でしょ?」
「是非使わせてもらう」
思わぬ装備提供に微笑んで、リビングを後にした。
廊下へと出たアズマの姿を見て、満足そうに座り直す奈央。
何だか納得がいかない気がしたセリアも、表情を歪めてテレビを見つめていた。
今日、突然出かけると言い出したアズマの顔は、少し慌てているようだった。
連続殺人事件の事も伝えてないけど、不安に思っているセリアを余所に、外へと出て行く。
貰ったジャケットを身に着けて、闇へと紛れ歩いて行く。
空にある星々が所々、雲に隠れながらも見えてくる。
嫌な予感は人間の第六感と同じ。感覚的に次に起こりうる出来事を察知しているのだが、今まさに嫌な予感が背中を押した気がした。
何かが来るかもしれない…………
夜の五徳市。都会へと足を踏み入れると、多数の建物が自分を見下ろしてくる。
都会と言っても、中心部ではないため、目立つ様な店も少なく人の通りも普通だ。
多くもなく少なくもない位の人達が、夜の街を出歩いている。
彼等と同じ道を通っていても、きっと意味は無いだろう。美鈴の見つけた情報と映像。
それはどうやら、警察の調査本部からハッキングしたとかだった。
確かだが、人の体を通り抜けるような光が荒い画面には映っていた。
まさか、発光で人にダメージを与えるのではないだろう。高熱体や高周波電流の類の能力が、一番近い線のはず。
そして能力を利用しての狂人となれば、あの組織がかかわっている可能性は大だ。
この街で行動されているとなると、自分達がここに逃げ込んだというのもバレているという事。
もう逃げる事は不可能。 チマチマとヤツ等を消していくしか、セリアを護る方法は無い。
それに………あまりにこの市には能力者が集まりすぎている。
霧坂学園だけでも、俺が知ってる人数はセリアを省いて二人。
何かあるのかもしれないが、その情報収集は後だ。
街角の途中から、大通りから離れて路地裏へと入って行く。
最近の殺人事件。それが起こっている場所も人気のない場所だった。
なら自分から入って行けば何かが分かるだろう。
警察も要注意なんだが、それは奈央に貰ったこの服がカバーしてくれる。
背へと右手を回し、フードを被り影で顔を隠す。
目的地は決まっていないが、こうして歩いていれば何か発見する事もあるかもしれない。
頭へと言葉が飛び込んでくる。その声は私を探していた。
後ろから付いてきているそれは、ずっと付いてきているのが分かった。
嫌な程頭に鮮明に聞こえてくる声は女性のものだ。嫌な笑い声ばかり。
彼女は近づいてきている。近づく度にその声が大きくなる。
急ぎ足になりながらも、頭をかかえて大通りへと向かっていた。
人気のない路地裏を進んでいく。『クヒっ 能力者能力者。クヒヒヒっ 殺しちゃ駄目って言われたけど、ムリだっての。ちょっと、ちょっとだけ足斬ってみようかな? あれ? もしかして、もう聞こえてる?』
『クヒヒヒヒヒヒヒヒッ!!!!』
「嫌っ・・・・!」
一帯の建物は、この時間になると人気が無く、建物の中には一切声は届かない。
路地裏に響いた少女の声が、暗い影の中を伝っていく。
焦りのせいか道すら把握する事なく、先へと進んでいく。
自ら人気の無い道を進んでいく。
心拍数が上がり呼吸が止まるかと思う程息を荒げて、後ろへと視線を向けた。
誰もいない暗い道が広がっている。
コンクリートの建物に囲まれた路地裏。
頭の中へと聞こえてきていた女性の声が、唐突に自分の視線と逆の方向から聞こえてきた。
「ダメじゃないかぁ逃げるなんて。聞こえてたんなら止まりなよォ。 殺しはしない様に言われてるから大丈夫だよ」
その声とは裏腹に『でも、死なない程度に痛ぶっちゃうけどねェ~』と直接頭へと聞こえてくる。
帽子を被っている彼女の姿が近づいて来る。
連続殺人犯に、今 遭遇してしまった。
長身の彼女が歩いてくるのを見て、震えて動かない足を動かそうとする。
地面に足がくっ付いてしまったように動かせなかった。
彼女が今からしようとする事のイメージが、細かく頭にフラッシュバックしていく。
「ジーナ・ドレフィンか? お前の組織を答えろ」
冷静な男の声が二人の間を割って入り込む。
気配すら感じなかったフードの男が、細い道からゆっくりと姿を見せた。
帽子を被っている女性の方へと向き直りながら、只々問う。
突如現れた彼に驚き目を丸くした顔が見える。
でもその瞳は、まるでこの世を見ているようには見えなかった。
「何だ? 人違いをしてないかなァ。私は只 ソイツを捕獲しにきただけ、ほらっ どきなよ。その子の足を斬らなきゃ。クヒッ クヒヒ………」
「普通の殺人鬼なら無視してる所だが、そうもいかない」
藍色のフードジャケット姿で、上から注ぐわずかな月光が照らす。
女性は笑っていた。彼女の心はまるで話しを聞いてはいない。
遺体の状況から見て、憶測だがヤツの使う能力は、何等かの手段でレーザーを放つ。
光力や熱源の操作。こんなところだろうか?
ヤツの能力について考えていると、彼女は目を丸くして人差し指を向けた。
「あァ!! アンタ知ってるわッ アンタがアレか、優秀な護衛人って。護衛せずに持ち場を離れちゃって、いいのかい~」
「その心配はいらない。優秀な仲間がいる」
尻ポケットから勢いよく両手で取り出すと、持っている小道具を左右に振った。
掌サイズだったソレは伸びて、手から肘までの長さの鉄の棒へと変わる。
街中でも良く警察が持っている警棒。それを両手に持って駆け出す。
少女は後ろへと下がり、壁へと身を寄せた。
アズマの素早い接近で間合いに簡単に入ってきたが、とれと同時に妙な音が聞こえた。
カチッ と小さな音が鳴った途端に、女性の振り込んだ何かが光る。
後ろへと飛び退くアズマは、一振りされた光物体が何なのか把握して、左手に持っている警棒を確認すると、綺麗に切断されてしまっていた。
途中から斬れてしまった警棒は、もう使い物にはならない。
光を利用した能力者。今使っているのも只のライトだ。
剣の形へと変形した発光体は、触れれば高熱で人を焼斬る。
「さっさと焼けちゃいなよォ」
攻め込んできた彼女の一振りを横へと避け、連続する雑な剣裁きを回避。
運動でも日常的にしていたのか、彼女の動きは常人より素早かった。
だが言い換えれば、本当の戦闘などした事の無い動き。
あのライト・セーバーに体を一突きされなければ問題はない。
切断されて短くなった警棒で、右へと振り込まれた彼女の手を狙い叩く。
一発を確実に入れ込み、左へと振り込む攻撃をしゃがみで避け、腹部へと一発叩き込む。
後ろへ下がった彼女は帽子を地面へと落としてしまう。
睨みつけてくる目は狂気に満ちて見えた。
『へっ 何だよ。カッコツケテるつもりか……? でもォ 私の技はこれだけじゃないもんねェ!!』
微笑みへと歪んだ口が見えた瞬間だった。
影に隠れていた女の子は飛び出す。 女性の心の声とイメージは、アズマの体を貫通する光の弾丸だった。
一度ライトを消して、胸へと向けて構える彼女の姿を見て、警棒を両手に構えている彼へと飛び込んだ。
「避けて!!」
少女の声が聞こえると、何だか理解できた気がする。
何を理解したのかは分からないが、ある程度察した。一気に体制を変えて、地面へ吸い込まれるようにスライディング。
ライトを向けて発射された発光体は剣ではない。一直線に突き抜けていく糸。
レーザーそのものだった。
顔の上を通り抜けてい光を直視して、背中を地面に擦りつける。
直ぐに地面を叩き、勢いよく横へ転がり壁の近くで立ち上がろうとするが、続けざまに発射するレーザーが視界に映る。
思わず左手から警棒を落とす。焼かれた痛みを感じ、少し視線を移すと、袖を焼き左腕に少し焼き傷ができる。
滲む血を見るに、焼切っている感じだ。
警棒が地面に転がり、その音が路地裏の暗い道を響かせる。
「はずしちゃったぁ。ま、次はアテルけどね」
彼女の笑みが見えると、少し後ろへと下がる。
倒す手段が無い。いまここでの戦闘は不利だ。
ライトをアズマへと向けて、今度こそはとニヤついていた。
そんな時だった。 唐突に衝撃が走る。
後ろから抱きつく感触と同時に、倒れそうになるアズマへと向けてレーザーが放たれた。
スイッチを入れた音が聞こえると、ライトからは一気に自分の体へと光体伸びてくる。
スローにも見えたその瞬間。
彼女を格闘戦に持込む事自体、危ない選択肢だった。
光が伸びてきたのが見えてきた時、少女は目を瞑った。
二人は一気に倒れこんだ感触が伝わると、目を開いた時に風景は路地裏ではない。
目を疑うしかない状況だったが、今倒れこんでいる二人は一つの建物の屋上に居た。
7階建てくれいの高さのビルから夜の星空が見える。
涼しい風が通り抜ける中で、隣に倒れこんでいる彼は背を起こして座り込んだまま動かない。
後ろから飛びついてきたはずの銀髪の少女も、地面に膝をついたまま両手を使って猫のように近づいてきた。
ビルの屋上で銀髪の少女。まるでアニメのワンシーンみたいだと、溜息をつきながら、右手に持っている警棒を片手で畳む。
「あ、あの」
「大丈夫」
「え……」
少女の弱い声は俺を心配していた。
少し怖がっているようにも見える表情に、アズマもフードを右手で上げて、顔を見せる。
腹の傷は五ミリくらいだろうか。
弾丸の様に飛んできたレーザーが地味にあたったらしい。
あのまま気がつかなかったら、腹を貫通して、この少女も直撃だった。
「嘘つかないでっ お、お腹も怪我してるの?」
「…………心を読めるのか。初めてだな そういう人に会うのは」
「貴方 テレポーター、なのよね。 早く治療しなきゃ」
急いで回り込んできた彼女は、本当に心配そうな表情をして、ジッパーを開いているジャケットの中に視線をやっている。
中に着ている長袖のTシャツは穴が開いて血が染み付いていた。
痛みは引く事もなく、地味に強くなってくる。
レーザー発射の時、左腕でこの子を押し返さなかったらと考えると、妙な汗が出てきそうになる。
「早く帰った方がいい、またアイツに狙われる」
「………こうなったのには私にも責任がある。貴方の家までテレポートして。何を言っても無駄。私の家には誰もいないから、どの道危険」
彼女は脅迫してきている様に見上げながら睨みつけていた。
まるで安全確保だ。
考えるや否や、選択肢も無さそうだった。
後の事も今考える事ではない。彼女が言うように、一度俺の家へと飛び、何か手段を考えた方がいい。 あの能力の対処法も、何かあるはずだ。
顔を見上げてきている少女に、頷いて返事を返す。
きっとヤツの後ろにも、俺達を狙っている謎の組織が絡んでいるはず。
また妙な事に顔を突っ込んでしまったらしい。
夜の光は、無いように見えて意外にも沢山あり、二人の姿を照らしていた。
人々の暮らしている街の光に、夜の空に広がる星の光。
まだ肌寒い空気が、街を通り抜けていく。
春の終わりの時期が、近づこうとしている五徳市。
舞台は今、定まっている。
静かなアズマの部屋の中で、テクテクと急ぎ足で移動していく美鈴。
ベッドの上に座り込んでいる彼はジャケットを脱いでいる状態で動かなかった。
押し入れの戸を開けて、中から救急用具を取り出す小柄の美鈴は、真剣な表情だ。
それをジッと見つめながら、アズマは只待つだけ。
長いソファーに腰を下ろしている銀髪の少女は、落ち着きがない様子で辺りをキョロキョロしていた。
きっと今も俺の心は筒抜け状態なんだろう。
だが気にする点はそこじゃない。今考えるべきは、ヤツの能力に対してどうやって対抗するかだ。
トンっと置いた救急用具を、美鈴は直ぐに開く。
「アズアズ……上脱いで」
「自分でするから、美鈴は休んでたらどうかな」
「ダメ。ちゃんとしないと……菌入っちゃう」
睨みながら言ってくる美鈴に、頷いて返事をすると、上を脱いでからシャツをベッドに捨てる様に置いた。
腹は焼き傷に、左腕にも焼切られた跡がある。
美鈴はおしぼりを片手に、アズマの横に座り込む。
二人の様子をジッと見つめて、テレパシー少女は黙したままだ。
まぁ、気まずいのは当然だろう。この家にいる殆どは能力者。
俺としては、どの部屋までの人の心が聞こえるのかが気になるが、そういう実験も本人の同意無しにはしたくない。
自分の意思で決断できない苦しさを、俺が一番知っている。
でないと彼等と同じだ。
ソファーに腰かけていた銀髪の少女が、ビクリと身震いしたのが見えた。
「…………っ」
「すまない。変なの見せたしまった」
「え、いや。えっと…………ハーケンクロイツ」
テレパシーを使う人間は厄介という人が多いが、実際 本人からしてみれば、周りの人が心の扉を開け放しているだけ。
コントロールできる人もいるが、それは極稀なケースだ。
普通なら、近くにいる人の心の声が手探りに聞こえてくるのだから。
気がつけば、美鈴は包帯を巻き始めていた。
傷口を布で押さえた状態で、上から包帯で固定していく。
手際のいい手当てだ。
そんな事を考えていると、ドアが激しい音を立てて開かれた。
ドンっ と大きな音と同時に、セリアが飛び込んでくる。
黒いフリフリパジャマ姿で、口を大きく開いてアズマへと放たれた。
「どうしたの!? 何その怪我っ 何があったのよ。教えなさい!」
「えっと……変わりに話してくれないか? テレパス君」
既に疲れていたアズマは、ソファーに座ったまま涼しそうな顔をしている銀髪の少女へと、話しを投げつけた。
実際、あの時の事を見ていて心の中まで入れるのなら、簡単に説明できるはずだ。
美鈴の手当てを終えて、やっと背を下ろして横になった。
あのレーザーに当たってから、少し体が痺れている気がする。
セリアは見慣れない少女の登場に、目を細くしていると、部屋にもう一人が入ってくる。
ブレザーを片手にワイシャツ姿で長い髪を揺らし、奈央がふらりと現れる。
状況に付いていけないといった感じで、後ろから一言。
「私、帰ってもいいかな」
なんとも面倒な一日だ。
明日からの生活も仕事と護衛、そして問題はレーザー野郎の攻略。
戦いに背を向けられない以上、抵抗するしかない。
この子達にも、その自覚をさせたいものだ。
セリアはともかく、奈央や美鈴は、フルに能力を使っている上級者。
そろそろ、彼女達にもその事を話したほうがいいのかもしれない。
十数年前に起こった、事の発端から………………
準備を終えてリビングへと降りた時には、既に6時になっている。
セリアも既に帰宅して、リビングのソファーで寛いで足を延ばしてる姿が見えた。
美鈴もこの家に来て、かなり馴染んでいる様子だった。
気がつけば、能力者の宝庫。いいや、セリアが好きな、ドラマに例えるならアルファズやX―メンって所か。
客として連れてきた奈央なんか、まるで当然のようにソファーに座っている。
彼女達から目を離して、台所の冷蔵庫を開く。 中にあるビン牛乳を片手に取り、冷蔵庫を閉めた。
「母さん。ちょっと用事があるから、変わりにあの子に料理出してあげてほしい。 帰りは遅いと思う」
「あの子、孤児なの。うちの学園でも有名なヤンチャ者で…………PKなんでしょ?」
「……まさか、母さん気がついてたりするのか」
疑問に思いながらも、ビンへと口をつけて一口飲んだ。
料理を作っている母の声は、リビングの方まで聞こえない程の小声で、俺に言ってきた。
「そりゃぁ、貴方の小さい頃を知っとるけんね。 教授の研究の事もあるし、大体 [[rb:検討 > けんとう]]はつくよ」
「全てお見通しって感じか。 とにかく、行ってくるから」
「いってらっしゃい」
台所から離れながら、牛乳が半分になるくらいまで飲んだ。
今あってる番組だろうか? 都市伝説系の雑談番組の音が飛び込んでくる。
美鈴は、こっちを見てから少し不思議そうにしていると、片手を伸ばしてきた。
伸ばしたままジッと見つめてくる。
何だと睨んでいると、一言だけ放った。
「アズアズ……牛乳ちょうだい」
ビンに半分くらいしか入っていない牛乳を一度見て、美鈴へと手渡しした。
彼女は手に取ると直ぐに口をつけて飲んだ。
兄妹とさほど変わらないくらいの馴染み様なのはどうしてだろうか。
テレビから流れるXファイルの曲に、一度視線を向けると、よく見る芸能人達の顔が映っていた。
興奮するように言い放つ男の声がテレビから聞こえてくる。『つまり、世界中で起こっている怪事件はU.F.O.から宇宙人が行っているのではなかった。全て人間だったって事だよね。13年から世界は新に変わりはじめてたって事。わかるよね? もう既に、新人類が旧人類を滅ぼす事で新な世界の誕生させようとしてる。破壊からしか、創造は生まれない。だよね』
テレビを見ている奈央に視線を向けて口を開いた。
少し態度がデカイ気もするが、仕方が無い事だろう。
「奈央。色々と頼んだ」
「いいわよ~。どうせ家にいても一人だからね。 コイツ等は任せて。一応 恩返しってヤツだから気にしないで」
普通に返してくれた言葉に安心した。
笑顔の彼女を見て頷く。二人のそんな姿にセリアはもじもじと肩を揺らしている。
そういえば、セリアはまだ奈央の能力を知らない。
まぁ、そのくらいは自分達で説明ぐらいするだろう。
ここの警備は万全だ。
外からの侵入をセンサーで感知する機械を既に庭や玄関、裏口前にも置いて有る。
二階の戸締りも完璧。誰かが通れば美鈴の首にしているアクセサリ型の端末に情報が送られ、高い音が鳴る。
そろそろ、行かないといけないな。
「あっ、そうそう。アズマの為にコレ持ってきたんだ。 いざって時役に立つよ色んな意味で」
奈央が座ったまま、置いて有る紙袋から片手で取り出す。
藍色のフード付きジャケット。それを下投げで渡してくる。
飛んできたソレを両手でキャッチすると、袖なしで動きやすいタイプのものだった。
それにコレ、フードに少し改良が加えてある。
あまりに違和感が無かったが、フードが少し長い。おそらく眉の上まで隠してくれる位だろう。
見入っていると、奈央はもう一つ投げ込んできた。
左手で飛んできた黒い物体を掴むと、一度確認する。
スポーツ用のサングラス。鏡の様に辺りの光を反射するタイプのサングラス。
「それ、私が昔使ってたヤツなんだけど、防犯カメラに映っても特定されにくいのよね。必要でしょ?」
「是非使わせてもらう」
思わぬ装備提供に微笑んで、リビングを後にした。
廊下へと出たアズマの姿を見て、満足そうに座り直す奈央。
何だか納得がいかない気がしたセリアも、表情を歪めてテレビを見つめていた。
今日、突然出かけると言い出したアズマの顔は、少し慌てているようだった。
連続殺人事件の事も伝えてないけど、不安に思っているセリアを余所に、外へと出て行く。
貰ったジャケットを身に着けて、闇へと紛れ歩いて行く。
空にある星々が所々、雲に隠れながらも見えてくる。
嫌な予感は人間の第六感と同じ。感覚的に次に起こりうる出来事を察知しているのだが、今まさに嫌な予感が背中を押した気がした。
何かが来るかもしれない…………
夜の五徳市。都会へと足を踏み入れると、多数の建物が自分を見下ろしてくる。
都会と言っても、中心部ではないため、目立つ様な店も少なく人の通りも普通だ。
多くもなく少なくもない位の人達が、夜の街を出歩いている。
彼等と同じ道を通っていても、きっと意味は無いだろう。美鈴の見つけた情報と映像。
それはどうやら、警察の調査本部からハッキングしたとかだった。
確かだが、人の体を通り抜けるような光が荒い画面には映っていた。
まさか、発光で人にダメージを与えるのではないだろう。高熱体や高周波電流の類の能力が、一番近い線のはず。
そして能力を利用しての狂人となれば、あの組織がかかわっている可能性は大だ。
この街で行動されているとなると、自分達がここに逃げ込んだというのもバレているという事。
もう逃げる事は不可能。 チマチマとヤツ等を消していくしか、セリアを護る方法は無い。
それに………あまりにこの市には能力者が集まりすぎている。
霧坂学園だけでも、俺が知ってる人数はセリアを省いて二人。
何かあるのかもしれないが、その情報収集は後だ。
街角の途中から、大通りから離れて路地裏へと入って行く。
最近の殺人事件。それが起こっている場所も人気のない場所だった。
なら自分から入って行けば何かが分かるだろう。
警察も要注意なんだが、それは奈央に貰ったこの服がカバーしてくれる。
背へと右手を回し、フードを被り影で顔を隠す。
目的地は決まっていないが、こうして歩いていれば何か発見する事もあるかもしれない。
頭へと言葉が飛び込んでくる。その声は私を探していた。
後ろから付いてきているそれは、ずっと付いてきているのが分かった。
嫌な程頭に鮮明に聞こえてくる声は女性のものだ。嫌な笑い声ばかり。
彼女は近づいてきている。近づく度にその声が大きくなる。
急ぎ足になりながらも、頭をかかえて大通りへと向かっていた。
人気のない路地裏を進んでいく。『クヒっ 能力者能力者。クヒヒヒっ 殺しちゃ駄目って言われたけど、ムリだっての。ちょっと、ちょっとだけ足斬ってみようかな? あれ? もしかして、もう聞こえてる?』
『クヒヒヒヒヒヒヒヒッ!!!!』
「嫌っ・・・・!」
一帯の建物は、この時間になると人気が無く、建物の中には一切声は届かない。
路地裏に響いた少女の声が、暗い影の中を伝っていく。
焦りのせいか道すら把握する事なく、先へと進んでいく。
自ら人気の無い道を進んでいく。
心拍数が上がり呼吸が止まるかと思う程息を荒げて、後ろへと視線を向けた。
誰もいない暗い道が広がっている。
コンクリートの建物に囲まれた路地裏。
頭の中へと聞こえてきていた女性の声が、唐突に自分の視線と逆の方向から聞こえてきた。
「ダメじゃないかぁ逃げるなんて。聞こえてたんなら止まりなよォ。 殺しはしない様に言われてるから大丈夫だよ」
その声とは裏腹に『でも、死なない程度に痛ぶっちゃうけどねェ~』と直接頭へと聞こえてくる。
帽子を被っている彼女の姿が近づいて来る。
連続殺人犯に、今 遭遇してしまった。
長身の彼女が歩いてくるのを見て、震えて動かない足を動かそうとする。
地面に足がくっ付いてしまったように動かせなかった。
彼女が今からしようとする事のイメージが、細かく頭にフラッシュバックしていく。
「ジーナ・ドレフィンか? お前の組織を答えろ」
冷静な男の声が二人の間を割って入り込む。
気配すら感じなかったフードの男が、細い道からゆっくりと姿を見せた。
帽子を被っている女性の方へと向き直りながら、只々問う。
突如現れた彼に驚き目を丸くした顔が見える。
でもその瞳は、まるでこの世を見ているようには見えなかった。
「何だ? 人違いをしてないかなァ。私は只 ソイツを捕獲しにきただけ、ほらっ どきなよ。その子の足を斬らなきゃ。クヒッ クヒヒ………」
「普通の殺人鬼なら無視してる所だが、そうもいかない」
藍色のフードジャケット姿で、上から注ぐわずかな月光が照らす。
女性は笑っていた。彼女の心はまるで話しを聞いてはいない。
遺体の状況から見て、憶測だがヤツの使う能力は、何等かの手段でレーザーを放つ。
光力や熱源の操作。こんなところだろうか?
ヤツの能力について考えていると、彼女は目を丸くして人差し指を向けた。
「あァ!! アンタ知ってるわッ アンタがアレか、優秀な護衛人って。護衛せずに持ち場を離れちゃって、いいのかい~」
「その心配はいらない。優秀な仲間がいる」
尻ポケットから勢いよく両手で取り出すと、持っている小道具を左右に振った。
掌サイズだったソレは伸びて、手から肘までの長さの鉄の棒へと変わる。
街中でも良く警察が持っている警棒。それを両手に持って駆け出す。
少女は後ろへと下がり、壁へと身を寄せた。
アズマの素早い接近で間合いに簡単に入ってきたが、とれと同時に妙な音が聞こえた。
カチッ と小さな音が鳴った途端に、女性の振り込んだ何かが光る。
後ろへと飛び退くアズマは、一振りされた光物体が何なのか把握して、左手に持っている警棒を確認すると、綺麗に切断されてしまっていた。
途中から斬れてしまった警棒は、もう使い物にはならない。
光を利用した能力者。今使っているのも只のライトだ。
剣の形へと変形した発光体は、触れれば高熱で人を焼斬る。
「さっさと焼けちゃいなよォ」
攻め込んできた彼女の一振りを横へと避け、連続する雑な剣裁きを回避。
運動でも日常的にしていたのか、彼女の動きは常人より素早かった。
だが言い換えれば、本当の戦闘などした事の無い動き。
あのライト・セーバーに体を一突きされなければ問題はない。
切断されて短くなった警棒で、右へと振り込まれた彼女の手を狙い叩く。
一発を確実に入れ込み、左へと振り込む攻撃をしゃがみで避け、腹部へと一発叩き込む。
後ろへ下がった彼女は帽子を地面へと落としてしまう。
睨みつけてくる目は狂気に満ちて見えた。
『へっ 何だよ。カッコツケテるつもりか……? でもォ 私の技はこれだけじゃないもんねェ!!』
微笑みへと歪んだ口が見えた瞬間だった。
影に隠れていた女の子は飛び出す。 女性の心の声とイメージは、アズマの体を貫通する光の弾丸だった。
一度ライトを消して、胸へと向けて構える彼女の姿を見て、警棒を両手に構えている彼へと飛び込んだ。
「避けて!!」
少女の声が聞こえると、何だか理解できた気がする。
何を理解したのかは分からないが、ある程度察した。一気に体制を変えて、地面へ吸い込まれるようにスライディング。
ライトを向けて発射された発光体は剣ではない。一直線に突き抜けていく糸。
レーザーそのものだった。
顔の上を通り抜けてい光を直視して、背中を地面に擦りつける。
直ぐに地面を叩き、勢いよく横へ転がり壁の近くで立ち上がろうとするが、続けざまに発射するレーザーが視界に映る。
思わず左手から警棒を落とす。焼かれた痛みを感じ、少し視線を移すと、袖を焼き左腕に少し焼き傷ができる。
滲む血を見るに、焼切っている感じだ。
警棒が地面に転がり、その音が路地裏の暗い道を響かせる。
「はずしちゃったぁ。ま、次はアテルけどね」
彼女の笑みが見えると、少し後ろへと下がる。
倒す手段が無い。いまここでの戦闘は不利だ。
ライトをアズマへと向けて、今度こそはとニヤついていた。
そんな時だった。 唐突に衝撃が走る。
後ろから抱きつく感触と同時に、倒れそうになるアズマへと向けてレーザーが放たれた。
スイッチを入れた音が聞こえると、ライトからは一気に自分の体へと光体伸びてくる。
スローにも見えたその瞬間。
彼女を格闘戦に持込む事自体、危ない選択肢だった。
光が伸びてきたのが見えてきた時、少女は目を瞑った。
二人は一気に倒れこんだ感触が伝わると、目を開いた時に風景は路地裏ではない。
目を疑うしかない状況だったが、今倒れこんでいる二人は一つの建物の屋上に居た。
7階建てくれいの高さのビルから夜の星空が見える。
涼しい風が通り抜ける中で、隣に倒れこんでいる彼は背を起こして座り込んだまま動かない。
後ろから飛びついてきたはずの銀髪の少女も、地面に膝をついたまま両手を使って猫のように近づいてきた。
ビルの屋上で銀髪の少女。まるでアニメのワンシーンみたいだと、溜息をつきながら、右手に持っている警棒を片手で畳む。
「あ、あの」
「大丈夫」
「え……」
少女の弱い声は俺を心配していた。
少し怖がっているようにも見える表情に、アズマもフードを右手で上げて、顔を見せる。
腹の傷は五ミリくらいだろうか。
弾丸の様に飛んできたレーザーが地味にあたったらしい。
あのまま気がつかなかったら、腹を貫通して、この少女も直撃だった。
「嘘つかないでっ お、お腹も怪我してるの?」
「…………心を読めるのか。初めてだな そういう人に会うのは」
「貴方 テレポーター、なのよね。 早く治療しなきゃ」
急いで回り込んできた彼女は、本当に心配そうな表情をして、ジッパーを開いているジャケットの中に視線をやっている。
中に着ている長袖のTシャツは穴が開いて血が染み付いていた。
痛みは引く事もなく、地味に強くなってくる。
レーザー発射の時、左腕でこの子を押し返さなかったらと考えると、妙な汗が出てきそうになる。
「早く帰った方がいい、またアイツに狙われる」
「………こうなったのには私にも責任がある。貴方の家までテレポートして。何を言っても無駄。私の家には誰もいないから、どの道危険」
彼女は脅迫してきている様に見上げながら睨みつけていた。
まるで安全確保だ。
考えるや否や、選択肢も無さそうだった。
後の事も今考える事ではない。彼女が言うように、一度俺の家へと飛び、何か手段を考えた方がいい。 あの能力の対処法も、何かあるはずだ。
顔を見上げてきている少女に、頷いて返事を返す。
きっとヤツの後ろにも、俺達を狙っている謎の組織が絡んでいるはず。
また妙な事に顔を突っ込んでしまったらしい。
夜の光は、無いように見えて意外にも沢山あり、二人の姿を照らしていた。
人々の暮らしている街の光に、夜の空に広がる星の光。
まだ肌寒い空気が、街を通り抜けていく。
春の終わりの時期が、近づこうとしている五徳市。
舞台は今、定まっている。
静かなアズマの部屋の中で、テクテクと急ぎ足で移動していく美鈴。
ベッドの上に座り込んでいる彼はジャケットを脱いでいる状態で動かなかった。
押し入れの戸を開けて、中から救急用具を取り出す小柄の美鈴は、真剣な表情だ。
それをジッと見つめながら、アズマは只待つだけ。
長いソファーに腰を下ろしている銀髪の少女は、落ち着きがない様子で辺りをキョロキョロしていた。
きっと今も俺の心は筒抜け状態なんだろう。
だが気にする点はそこじゃない。今考えるべきは、ヤツの能力に対してどうやって対抗するかだ。
トンっと置いた救急用具を、美鈴は直ぐに開く。
「アズアズ……上脱いで」
「自分でするから、美鈴は休んでたらどうかな」
「ダメ。ちゃんとしないと……菌入っちゃう」
睨みながら言ってくる美鈴に、頷いて返事をすると、上を脱いでからシャツをベッドに捨てる様に置いた。
腹は焼き傷に、左腕にも焼切られた跡がある。
美鈴はおしぼりを片手に、アズマの横に座り込む。
二人の様子をジッと見つめて、テレパシー少女は黙したままだ。
まぁ、気まずいのは当然だろう。この家にいる殆どは能力者。
俺としては、どの部屋までの人の心が聞こえるのかが気になるが、そういう実験も本人の同意無しにはしたくない。
自分の意思で決断できない苦しさを、俺が一番知っている。
でないと彼等と同じだ。
ソファーに腰かけていた銀髪の少女が、ビクリと身震いしたのが見えた。
「…………っ」
「すまない。変なの見せたしまった」
「え、いや。えっと…………ハーケンクロイツ」
テレパシーを使う人間は厄介という人が多いが、実際 本人からしてみれば、周りの人が心の扉を開け放しているだけ。
コントロールできる人もいるが、それは極稀なケースだ。
普通なら、近くにいる人の心の声が手探りに聞こえてくるのだから。
気がつけば、美鈴は包帯を巻き始めていた。
傷口を布で押さえた状態で、上から包帯で固定していく。
手際のいい手当てだ。
そんな事を考えていると、ドアが激しい音を立てて開かれた。
ドンっ と大きな音と同時に、セリアが飛び込んでくる。
黒いフリフリパジャマ姿で、口を大きく開いてアズマへと放たれた。
「どうしたの!? 何その怪我っ 何があったのよ。教えなさい!」
「えっと……変わりに話してくれないか? テレパス君」
既に疲れていたアズマは、ソファーに座ったまま涼しそうな顔をしている銀髪の少女へと、話しを投げつけた。
実際、あの時の事を見ていて心の中まで入れるのなら、簡単に説明できるはずだ。
美鈴の手当てを終えて、やっと背を下ろして横になった。
あのレーザーに当たってから、少し体が痺れている気がする。
セリアは見慣れない少女の登場に、目を細くしていると、部屋にもう一人が入ってくる。
ブレザーを片手にワイシャツ姿で長い髪を揺らし、奈央がふらりと現れる。
状況に付いていけないといった感じで、後ろから一言。
「私、帰ってもいいかな」
なんとも面倒な一日だ。
明日からの生活も仕事と護衛、そして問題はレーザー野郎の攻略。
戦いに背を向けられない以上、抵抗するしかない。
この子達にも、その自覚をさせたいものだ。
セリアはともかく、奈央や美鈴は、フルに能力を使っている上級者。
そろそろ、彼女達にもその事を話したほうがいいのかもしれない。
十数年前に起こった、事の発端から………………
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