己が声を封じた彼(オレ)は、覚悟を決めて彼女(わたし)になった

てぃー☆ちゃー

文字の大きさ
29 / 58
第二章 始まる学校生活

第二十八話

しおりを挟む
「お見事」

李は横に到着した小さな勝者に声をかけた。
ぺこり。
光はお辞儀でその言葉に答えた。

「お前は実際に戦ったことがあるんだな」

実戦で、命を懸けて戦ったことがあるのか?との問いである。
こくん。

「日本ではそこまで実戦が味わえるものなのかい。公安か何かに所属を?」

ふるふるふる。

「そうか、ならば噂に名高い一之瀬の家系に連なる一族かな?」

光は困ったような表情で李の顔を見つめた。

「・・・失礼、余計な詮索だったな」

ふるふるふる。

「まあいいさ、とりあえずは君の実力は本物だ。この場にいる人間がそれを目撃しているしな」

そう言って李は半歩ほど前にでて後続の生徒たちに目を向けた。
今度は横にいたクラウドが光に声をかけてくる。

「予想以上の結果だな、だけど最初の生徒を校舎にブチこんだのは少々やりすぎだ」

クラウドは笑いながら光に刀を返した。
ぺこり。
光はお辞儀をして謝罪を表した。

「まあいいさ、死んでないからな」

その言葉に光は苦笑いをして答えた。

「てか学園長!森林内部のあの罠あんただろ!」

どちらかといえば、落ち着いて話をする印象の李が突然声を荒げだした。

「あーあー、聞こえなーい」

子供のように両耳をクラウドはふさぎ始める。

「魔力も通ってない罠なんぞ用意するんじゃねー!ここは何学校だ!」
「んだよ、いいじゃねーか。多少トラブルあったほうが面白いだろ」
「面白いつまんないで仕事するな!てかいつの間にだ!ルート決めたの今朝だぞ!?」
「はっはっはっ、入学式の最中に少々な」
「どこが少々だ!殺傷性の高い罠もあったよな!?」
「気付いてたのに放置していたら、同罪だよなあ教師としては」
「ぐぬ・・・」
「お前さんは走りながら罠も回避してたよなあ、つまり気付いてたのに罠を外しもせずに授業を続けたわけだ」
「ぐぬぬぬぬ」
「お前さんも少しは思ったんだろう?このままやったほうが面白そうだと」
「そんなことはっ!そもそも殺傷能力の高い罠以前にあんな暗がりにさらに見えにくいワイヤーとか性格悪すぎでしょ!」
「誰が性格悪いって!?こちとら上司だぞごらあ」
「上司以前に教育者だろうが!生徒が怪我したらどうするつもりだ」
「怪我人前提でマリアがいただろう?そもそも蛙突破出来た段階でそこそこ実力者扱いでいいじゃないか。そのくらいの腕なら罠くらいなんなく突破するだろうさ」
「だったら今まさに森の中から聞こえてくる爆音と悲鳴はなんなんだ」
「死人は出てないし再起不能者も出てないさ」
「出なきゃいいって問題じゃないでしょ!?」

押し問答が二人の間で始まる中、光は二人から半歩ほど離れた場所にいる美鈴と目が合った。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...