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第五章 ゴーレムの後ろ姿

第四十二話 悲鳴を浴びるゴーレム

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「上の連中を下に降ろしているのか」

人命救助です。

「ふむ、お前。オレの言葉理解できるよな?」

肯定であります。体を前傾させて頷くポーズをとる。

「ここに暴れに来たわけじゃないんだよな?」

それも肯定であります。二度頷きます。

「じゃあまず、こっちにこい。お前のツケはお前に払って貰うことにしよう。何、悪いようにはせんさ」

おお?なんか笑い方が悪どいっすよゴートさん。
まあこのままここにいても、人々を恐怖のどん底に落としこむ悪のゴーレムなだけですからね。謝りたくても謝る相手に逃げられちゃうし。
取りあえず着いていくことにしますか。

「メル、セイーリア。お前達も付き合え」
「わかったわ」
「ん」

3人の先導でオレは街の中に向かうことになる。
悲鳴と怒号と、念仏?いや、まて成仏はせんぞ。させるつもりもないからね?
そんなこんなで目的の場所についた。
大きな橋の付け根の部分だ。先には大きな建物が崩れている。

「こいつを動かしてくれ。出来るか?」

ああ、はい。ツケってそういうことね、やりますやります。
オレは少し力を加えて建物を持ち上げる。根元からバキバキ折れて石材がボロボロと落下してるけど平気かな?

「こいつは白壁と同じ散白岩が多く含まれてるからな。魔法がほとんど通らず人力で崩すしかなかったんだが大きさが大きさでな。後回しになってたんだ」

そんな石があるんだ?ああ、この間の村も周りを塀が白い石でできてたね。
魔物避けでもあるのかな?

「じゃあこいつを・・・そうだな、付いてきてくれ。周りの建物に気をつけろよ」

はーい、とあぶねえ!頷こうとしたら落としかけた。次はもう少し小さくしてから運ぶことにしよう。
ゴートさんについて行って、城下町の外に体を向かわせる。
どうでもいいけどすごい光景だよね。昔のアニメでロボットが車を持ち上げて運ぶシーンを思い出した。あれとサイズは比じゃないけど。
あと石の塊だから結構重い!や、重さとかあんまり関係ないんだけど!
慎重に運ばないと壊したりこぼしたりしそうで大変だ。
あと足元の石畳み、オレの足跡ついちゃってるけどいいのかね?
それとそこらじゅうからまだ悲鳴が聞こえてきますよ?
当然ですよね。人が密集してる地点じゃなくてよかった。

「ここから街の外に運び出してくれ、同じような廃材が転がってる」

はいー。

オレが外門をくぐって外に出ると、更に大きな悲鳴が聞こえてくる。
うお、人がいっぱいじゃん!なんだよこれ!ああ、走って逃げないで!危ないよ!
オレは逃げ惑う人々の反対側に集まっている廃材置き場にこいつを投げ込んだ。

『ズッシーーーン!』

その音に悲鳴が一瞬止んで・・・更に大きな悲鳴が辺りにこだました。
そりゃあ怖いですよね。はい。
オレは肩を落として、ゴートさんの方に振り向く。

「あいつらは気にするな。さあ、さっきの場所に戻って残った大きな壁を壊すぞ。人力で運べるくらいのサイズにしてくれればいい」

ゴートさんが冷静に指示を出してくる。
やあ、コレまずくないですか?
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