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幕間章 名も無き村の狩猟隊 隊頭『ジューゴ』
名も無き村の狩猟隊 隊頭『ジューゴ』②
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「すまない、助かった」
言葉が通じるか分からなかったが、助けてもらったのは事実だ。だが我の仲間達に手を出すというのであれば容赦はせん。
最大限の警戒心を持って、我はこの存在の前に立った。
我とて村一番の手練れと言われている。海竜や、巨象などとも一人で戦ってきたのだ。後ろの4人くらい守れないでどうする!
「隊頭、すいません。足をやられたようです」
なん・・・だと?
まずい、これでは万が一の時に仲間を逃がすことも出来ないかもしれない。
しかし目の前のコレは、何の反応も示さない。
二人は少し躊躇いながらも応急処置を受けた。
なんとか歩ける状態にしてこの場から離れねば。
4人とも、そのつもりだったようだ。早々に肩を貸して二人をフォローする。
その時、怪我をした二人の体が宙に持ちあがりコレの肩に乗せられる。
乱暴にではなく、二人の怪我をいたわるように優しく乗せた。
コレは二人を運んでくれるようだ。
コレはシェーンの病を治した。シェーンがそう言った。
我は気が付けば地面に腰を下ろし頭を砂に押し付けけていた。
涙を流していた。状況を打破出来るかもしれない謎の存在の登場に。
希望が現れたのだ!
その喜びに我は涙した。
そしてこんな状況にまで追い詰められていたのに、何も出来なかった自分自身の不甲斐なさ。
その無力さに涙をした。
「助けていただいて・・・こんなことを頼むのは筋違いかもしれない、だが・・・・頼む!我等が村を救ってくれ!」
我に続き、仲間達も頭を下げた。
コレは我の頭を上から眺めて沈黙を保っている。言葉が通じないのだろうか?肩の上の二人を手で押さえている。二人が降りないようにしているようだ。
コレは我の言葉に頷いた。正直、どこまで信用していいのか分からなかったが。
だが我等の村はすでに限界を超えている。年寄りを切り捨てなければならない段階まで来ていたのだ。
もし、コレが我等に害をもたらす存在だったら我等が村は全滅するだろう。
あのような炎の魔法を駆使できる存在だ。我等が束になってかかっても倒せない可能性の方が高い。
村にいる魔術師達の中でも、火の魔法でコボルトを一瞬にして殲滅出来るほどの魔法師などいない。コレは一瞬でそれをやってのけたのだから。
多少の葛藤はあった。仲間達も村に入る直前に躊躇してみせた。
だが我にはコレを疑うことがどうしても出来なかった。何故ならあと数年もすれば我等は滅びるであろうところまで追い詰められていたからだ。
「ジュード、それはなんだ?」
村に着いて、最初に我に声をかけて来たのは長老だった。
「長老、こちらは我等を助けてくれました・・・ええと・・・何と言いますか」
しまった!なんと言えばいいのだ!?コレは我等を助けてくれた?コレはフォビアコボルトを殲滅してくれた?コレは病を治してくれた?
信じる訳が無いではないか!そもそもこの村には客などこない。我等の世界の外では亜人狩りを行う人間とドワーフが蔓延していると、そう教えられて来たではないか!人間ですらない、こんな正体不明の存在をどう信じさせればいいのだ?
考えが纏まらないまま我が固まっていると、コレは長老の病の治療をいとも簡単に行った。
「おお、おおお」
伝わった!長老が嗚咽を漏らした。
そうです!コレはこの村を救いに来たんです!
「そうか、そうだったか。神は我等を見捨ててはいなかったのか・・・主様、人を集めてもよろしいだろうか?」
コレは長老の肩を優しく撫でた。なんという喜び!皆が救える!確定した!
涙が流れるのを抑えるのに必死だった。
自然と顔に力が入る。勝手に笑顔になろうとするのを止められん!
感謝の言葉もないっ!
そう思った瞬間に、コレは更に不思議の行動を起こした!
虚空からブラッディーオックスを取り出したのだ!
どうやった!?しかも成体ばかり!こんなにも大きく肥えたブラッディーオックスを見たのは初めてだ。
しかもコレはブラッディーオックスを皆に食わせろと我に伝えてくる。
こいつは・・・この御方は本当に神の遣いだとでもいうのだろうか!
信じられない事の連続だった。
村の衆が村中に伝令を走らせて、子供達を真っ先に集めた。
子供達は最初、この御方に怯えていた。無理もない、だが心配はないぞ。この御方こそ神の遣いであり、我等が村の救世主なのだから。
子供達が一人、また一人とどんどん回復させられていく。今まで力なく顔を下げて地面を見て生活していた彼らに、この御方は生きる活力をお与え下さったのだ。
調理場を仕切る女達も治療を受け、皆がブラッディーオックス調理し始めた。彼女らも久しぶりの大物に意気込んでいる。
長老がこの恵みを余すことは許さんと力強く伝えている。
治療の終えた者達に食事が行きわたっていく。普段の麦飯に加えて、今回は肉がある。葉物が無いのは残念だが、普段は麦飯のみ。そんな食事から解放されて皆が涙を流しながら肉を口いっぱいに頬張っている。
ああ、我は本当に無力だったんだと思い知らされた。
「ジュードよ。あの御方を連れてきてくれて有難う」
「長老!おやめください。あの御方は初めから我等を救うためにこの地に降りられたのです!我が会わなくともこの村をお救いになられてはずだ!」
「それでも、だ。ジュード、お前が連れて来たからこそ我々はあの御方を受け入れることが出来た。お前は十分にやってくれていた。今までもな」
「長老・・・お言葉、有り難く頂戴いたします」
「うむ、久しぶりの肉じゃ。我等も楽しむとしよう」
「はいっ!」
言葉が通じるか分からなかったが、助けてもらったのは事実だ。だが我の仲間達に手を出すというのであれば容赦はせん。
最大限の警戒心を持って、我はこの存在の前に立った。
我とて村一番の手練れと言われている。海竜や、巨象などとも一人で戦ってきたのだ。後ろの4人くらい守れないでどうする!
「隊頭、すいません。足をやられたようです」
なん・・・だと?
まずい、これでは万が一の時に仲間を逃がすことも出来ないかもしれない。
しかし目の前のコレは、何の反応も示さない。
二人は少し躊躇いながらも応急処置を受けた。
なんとか歩ける状態にしてこの場から離れねば。
4人とも、そのつもりだったようだ。早々に肩を貸して二人をフォローする。
その時、怪我をした二人の体が宙に持ちあがりコレの肩に乗せられる。
乱暴にではなく、二人の怪我をいたわるように優しく乗せた。
コレは二人を運んでくれるようだ。
コレはシェーンの病を治した。シェーンがそう言った。
我は気が付けば地面に腰を下ろし頭を砂に押し付けけていた。
涙を流していた。状況を打破出来るかもしれない謎の存在の登場に。
希望が現れたのだ!
その喜びに我は涙した。
そしてこんな状況にまで追い詰められていたのに、何も出来なかった自分自身の不甲斐なさ。
その無力さに涙をした。
「助けていただいて・・・こんなことを頼むのは筋違いかもしれない、だが・・・・頼む!我等が村を救ってくれ!」
我に続き、仲間達も頭を下げた。
コレは我の頭を上から眺めて沈黙を保っている。言葉が通じないのだろうか?肩の上の二人を手で押さえている。二人が降りないようにしているようだ。
コレは我の言葉に頷いた。正直、どこまで信用していいのか分からなかったが。
だが我等の村はすでに限界を超えている。年寄りを切り捨てなければならない段階まで来ていたのだ。
もし、コレが我等に害をもたらす存在だったら我等が村は全滅するだろう。
あのような炎の魔法を駆使できる存在だ。我等が束になってかかっても倒せない可能性の方が高い。
村にいる魔術師達の中でも、火の魔法でコボルトを一瞬にして殲滅出来るほどの魔法師などいない。コレは一瞬でそれをやってのけたのだから。
多少の葛藤はあった。仲間達も村に入る直前に躊躇してみせた。
だが我にはコレを疑うことがどうしても出来なかった。何故ならあと数年もすれば我等は滅びるであろうところまで追い詰められていたからだ。
「ジュード、それはなんだ?」
村に着いて、最初に我に声をかけて来たのは長老だった。
「長老、こちらは我等を助けてくれました・・・ええと・・・何と言いますか」
しまった!なんと言えばいいのだ!?コレは我等を助けてくれた?コレはフォビアコボルトを殲滅してくれた?コレは病を治してくれた?
信じる訳が無いではないか!そもそもこの村には客などこない。我等の世界の外では亜人狩りを行う人間とドワーフが蔓延していると、そう教えられて来たではないか!人間ですらない、こんな正体不明の存在をどう信じさせればいいのだ?
考えが纏まらないまま我が固まっていると、コレは長老の病の治療をいとも簡単に行った。
「おお、おおお」
伝わった!長老が嗚咽を漏らした。
そうです!コレはこの村を救いに来たんです!
「そうか、そうだったか。神は我等を見捨ててはいなかったのか・・・主様、人を集めてもよろしいだろうか?」
コレは長老の肩を優しく撫でた。なんという喜び!皆が救える!確定した!
涙が流れるのを抑えるのに必死だった。
自然と顔に力が入る。勝手に笑顔になろうとするのを止められん!
感謝の言葉もないっ!
そう思った瞬間に、コレは更に不思議の行動を起こした!
虚空からブラッディーオックスを取り出したのだ!
どうやった!?しかも成体ばかり!こんなにも大きく肥えたブラッディーオックスを見たのは初めてだ。
しかもコレはブラッディーオックスを皆に食わせろと我に伝えてくる。
こいつは・・・この御方は本当に神の遣いだとでもいうのだろうか!
信じられない事の連続だった。
村の衆が村中に伝令を走らせて、子供達を真っ先に集めた。
子供達は最初、この御方に怯えていた。無理もない、だが心配はないぞ。この御方こそ神の遣いであり、我等が村の救世主なのだから。
子供達が一人、また一人とどんどん回復させられていく。今まで力なく顔を下げて地面を見て生活していた彼らに、この御方は生きる活力をお与え下さったのだ。
調理場を仕切る女達も治療を受け、皆がブラッディーオックス調理し始めた。彼女らも久しぶりの大物に意気込んでいる。
長老がこの恵みを余すことは許さんと力強く伝えている。
治療の終えた者達に食事が行きわたっていく。普段の麦飯に加えて、今回は肉がある。葉物が無いのは残念だが、普段は麦飯のみ。そんな食事から解放されて皆が涙を流しながら肉を口いっぱいに頬張っている。
ああ、我は本当に無力だったんだと思い知らされた。
「ジュードよ。あの御方を連れてきてくれて有難う」
「長老!おやめください。あの御方は初めから我等を救うためにこの地に降りられたのです!我が会わなくともこの村をお救いになられてはずだ!」
「それでも、だ。ジュード、お前が連れて来たからこそ我々はあの御方を受け入れることが出来た。お前は十分にやってくれていた。今までもな」
「長老・・・お言葉、有り難く頂戴いたします」
「うむ、久しぶりの肉じゃ。我等も楽しむとしよう」
「はいっ!」
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この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
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