フリーター、ゴーレムになり異世界を闊歩する

てぃー☆ちゃー

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第七章 ゴーレムと鯨と海底の都

第六十三話 会話が成り立つゴーレム!

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『雷鯨様!こちらの氷牙魔人はわたし達を助けてくれたんです!敵ではありません!』
『ああ?そうなのか?』

 そうだよ、でけえ魚。

『てめえ!』
『氷牙魔人!あなたも挑発しない!相手はこの海の王にして神の眷属、雷鯨セルジア様ですよ!』

 ・・・ダレ?

『知らないんですか?!』

 知りませんよ。

『お前・・・氷牙魔人じゃねえのか?』

 おう、オレはゴーレム。瀬能志雄だ。

『シオ?ゴーレムがこんな海の底で何やってんだよ』

 でけえ鳥に落っことされた。

『はあ?なんだそりゃ』

 空の島に降りようとしてでかい鳥からダイブ、でもって島の障壁に阻まれて落下してここにいるんだ。

『空の島・・・探究者の塔のある島か』

 鳥がそう言ってたな。障壁張ってあるなら教えてくれっての。

『むしろ知らねえ方がおかしいだろ?あそこは月の神々がこの世界を創造する為に作った最初の島だからな。神々の眷属じゃないと入れねえ。俺様クラスのグレートな男じゃないと無理だぜ?』

 お前の図体じゃ島に収まんねえだろ。

『喧嘩売ってんのか!』
『だから喧嘩しないでください!早く仲間を解放しないと!』

 あいあい、手伝いますよ。
 オレは一番近いところにあった檻の扉を開けようとする。ビクともしなかった。

『魔法でロックされてるんだろ。専用の解除の魔石か高レベルの解除魔法じゃないと無理だぜ?』

 あっそ、じゃあ解除っと。
 開いた開いた、

『みんな!』
『ライム!すまない!』
『いいの!この人・・・シオが助けてくれたのよ』
『シオ?雷鯨様ではなく・・・』
『そのようだぜ。高レベルどころの騒ぎじゃねえなあの解除。開けれない鍵はなさそうだ』

 今まで試す機会が無かったけどな。得手不得手はあるけど、扱える魔法は大体使えるレベルみたいなんだよ。扱えない魔法はからっきしだけどな。
 オレは念話でしゃべりながらも他の檻の鍵も開けた。
 さて、次は・・・っと。
 首輪外せるか見るからこっちきてくれ。

『え?あ、はい!』

 海人族の男がオレの前に泳いできた。
 人魚達ほどじゃないが十分に早い。
 オレは首輪に手を触れると、感知の魔法で魔法の種類を調べた。

 契約魔法か。懐かしいな。

 オレは契約魔法の上書きをした。命令者をオレに変更したんだ。

 首輪を外せ。
 
 オレは命令すると海人族の男は顔を恐怖に強張らせながら、それでも命令に逆らえず首輪を外した。
 すんなり外れる。当然だ。

『おお、助かった!助かったんだ!』

 喜んでないで次だ、どんどん並んでくれ。海の中でこっちは動きにくいんだよ。

『ああ、ありがとう!あんたすげえよ!』

 はいはい、お礼はいいから次来い次。

『お前・・・何モンだ?』

 鯨から念話が届いた。よし、言ってやるぜ。あの一言を!

 オレは通りすがりのゴーレムだ。



 しかし、これだけの人数とまともに会話出来る環境なんて。ここは天国か楽園かもしれないな!

『ただの海の底だぞ』

 お前さっきからうるせえぞ。

『ああ、そうだ・・・通りすがりのゴーレムさんよ。一言、言わせてくれ』

 なんだ?

『オレ様の身内達を助けてくれて有難う。お前のおかげでこいつらは奴隷に落ちずに済んだ。奴隷に落ちた者達も解放された』

 眠そうな目をしながら、その巨大な鯨がオレに感謝を述べた。
 見た目は分かんないが、心は籠っている。念話だと相手の感情がダイレクトに伝わるからだ。
 通りかかっただけで大したことじゃ。

『大したことをしたんだよ。礼を受けてくれ。有難う』
『有難うございます。シオさんのおかげで助かりました』
『ありがとうシオさん。君がいてくれてよかった』

 おう。なんか照れるな。
 一昔前は叫ばれっぱなしだったが、最近は感謝されることの方が多い気がする。そこまでの労力を使っている訳ではないのになんだか逆に申し訳なくなる。
 
『さて、お前たちはすぐに帰れ。これだけ大量に血が舞ってるんだ、サメが来るぞ』
『そうですね』
『迎えを呼んだからすぐに合流するはずだ』
『いつも通りですね。雷鯨様が間に合ってくれて助かりました』
『間に合ってねえよ。こいつのおかげだ』

 こいつ呼ばわりか。

『よう、助けたついでに頼まれてくれねえか?』

 なんだ?

『こいつらは避難所に帰す。そこまでの護衛を頼めないか?』

 護衛?

『ああ、魔王軍がまだうろついてるだろうからな』

 何!?魔王軍!?魔王とかそんな面白存在がこの世にはいるんだ!

『お前そんなことも知らねえのか』

 知らねえよ!魔王なんて、超強そうじゃねえか!

『実際強いぞ、あれは別格だ。海都が魔王軍に占拠されたのも魔王が暴れまわったどさくさだ』

 どさくさって。

『魔王軍とは名乗っちゃいるが、別に魔王が組織した軍じゃねえんだよあいつらは。5年前に突然魔王が海都に飛来して人魚族や海人族を襲って魔力を奪っていった。海都にいた人間は半分近くまでその時に減って、疲弊した。そこに魔王の身内が軍団を率いて占拠、支配を始めたんだ』

 おおう、恐ろしい話ですな。

『海都は文字通り海の中の都だ。放っておくと海の中に沈んでしまう。それを維持するのには一定量以上の魔法が使えるものが必要なんだ。あいつら半漁人は魔法の才能がからっきしな連中だからな。まあ中には魔法が使えるやつもいるが、海都を海に沈めない為に人間を奴隷にして魔力を絞り上げてるって訳だ』

 それは、なんというか。

『オレ様はそれが許せねえ。ちょっと留守した隙に好き放題やりやがって。今から皆殺しにして海都を解放してくるから、その間のこいつらの護衛を頼む』

 皆殺しに、か。物騒なものいいだけど大丈夫なのか?
 お前の雷は相当な威力なのは分かるけど、それだけで勝てるのか?

『勝つんだ。でなきゃこいつらは守れねえ。シオ、見ず知らずのお前には関係のない話だろうが・・・頼まれてくれねえか?』
『雷鯨様!危険すぎます!海都は今や半魚人族と水魔族の住処!大型の海獣だって何十頭といるんですよ!』
『危険なのは承知の上、それでも行くんだ。お前たちは俺様の大事な身内だからな、それに海都にいるあいつらも身内だ。あいつらも解放してやんねえと』
『雷鯨様・・・』
『つう訳だシオ。頼む』

 ん、断る。

『ああ!?おま、この流れで断るか普通!?ここはオレ様の男気に感動して『任せとけ』ってドヤ顔でキメるとこじゃねえ?』

 無理いうなよ。ただでさえ海の中で動きが遅いのに、人を守るなんて無理無理。

『どうにかしろよ!考えろよ!』

 オレは守るのが苦手なんだよ。どうにも体の動きが遅いし、魔法の威力も大味で加減が効かない。守りたいものも傷つけちまうかも知れないからな。

『そこをなんとかしろって!』

 だから、オレも海都に行くよ。

『は?』
『え?』
『はい?』

 だーかーらー、オレも海都に行くって言ったんだよ。鯨、お前一人で都にいる敵全部相手に出来るのか?

『そのつもりだ』

 全部倒せるのか?

『そうだ!』

 それじゃ海都にいるお前さんの身内も巻き込まれねえか?

『それは・・・』

 大丈夫、都を落とすのは2回目だ。うまくやるさ。

『2回目っておい』

 ほら、サメが来るんだろ?早く帰った帰った。

『知らねえぞ』

 いいんだよ。
 オレは雷鯨セリジアと共に海都に向かうことになった。
 大丈夫、グランフォールより簡単さ!
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