フリーター、ゴーレムになり異世界を闊歩する

てぃー☆ちゃー

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幕間話 雷鯨セルジアは海の王

雷鯨セルジアは海の王

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 変な同行者が出来た。
 最初は敵だと思ったぜ?普通に。
 思わず雷落としちまった。
 でもこいつはオレ様の一撃を平気で障壁で受けやがった!
 ただ者じゃねえ。少なくとも氷牙魔人じゃあねえのは間違いない。
 しかも、オレ様の身内達を助けてくれた!
 ゴーレムと名乗っているがどうにも言動が人間臭え。
 色々と話をしてみると、なかなか気持ちのいい奴だ!
 オレ様はこういう奴のことが好きだぜ!何よりこのオレ様と対等な口を利く奴なんかリヴァイアサンやバハムート以来だ。こいつらは皆オレ様のこと目の敵にしてやがるけどな!
 サンシャインパールが見えてくると、シオはここが美しいと言ってくれた。
 う、嬉しくなんかなかったんだぞ?
 だが、オレ様が知っていた海都はもっと壮大でもっと光り輝いていた。
 外殻が小さくなり、日の光が届きにくくなっているからだ。あの頃は人魚や海人族も多く、人間も交易をしに地上から降りてきていた。
 近くの島にある人間の街はまだ健在だろうか?あそこは元々、海都と交易をする為の街だったんだが・・・送迎を行うバリアトータスとアクアドライバーがいないから寂れちまってるかも知れないな。
ともかくまずは海都の解放が先か。
そんなことを考えてる中、シオはあれは何だとかこれはどうだとかやかましい事この上ない。
しかもこいつ歩くの遅いんだよ。ったく、なんでこのオレ様がこんなトロい奴に合わせて泳がなきゃいけねえんだ。
オレ様の予定では電光石火で周りの守護獣を瞬殺して、外殻破って中で暴れまわる予定だったんだがなあ。
おうおうおう、随分と守護獣多いじゃねえか?そこそこの実力者が中にいるのか?それともあれも魔王の先兵か?タコとかイカとか軟体動物が中心か?発光クラゲもいるのか、あいつ雷効かねえんだよなあ。あとは・・・水竜か、海竜じゃなくて良かった。リヴァイアサンと揉めると長いんだよ、あいつ根暗で陰湿だから。
それにスティングフィッシュが随分多いな。オレ様を貫く気か?舐めてるとしか思えないな。
しかし、数だけは随分と揃えてやがるな。シオがどこまでやれるか知らないが、なるべく早く敵を片付けて合流するべきなんだが・・・。
まずはシオに大型獣が行かないように、オレ様が頑張るか!
オレ様が先行して大型獣を引きつければ、あいつの敵は小型の海獣や海魔族の連中だろう。オレ様の雷撃を予備動作もなしに防いだんだ。死ぬことはないだろ。




シオを置いてオレ様は颯爽と泳ぐ。
予想通り真っすぐ海獣達がオレ様に向かって来た。
様々な鳴き声が海中に反響してくる。
脅しのつもりか?速攻悲鳴に変えてやるよ。
首長竜の群れが集まっている箇所に口を開けてオレ様は接近する。
海ごと首長竜を丸のみすると、スティングフィシュ達が真っすぐに突っ込んできた!
まとめて雷で焼くことにする。
その隙にた首長竜達がオレ様に噛みついてきた。
中々に大きな顎だな。オレ様の体は無駄にでかいから大型の獣でも顎が小さいと噛みつくことすらできないんだが。
オレ様は体を少し捩って首長竜達の顎を外すと、大型のタコやらイカの一団に雷撃を放った。
雷撃の前に発光クラゲが漂うように前に出て来た。
発光クラゲは電流を食べて発光するクラゲだ。また、その帯電した体から触手を伸ばして生き物を感電死させて死肉を食らう種でもある。
オレ様の雷撃を餌にしか思っていないのが腹立たしい。
シオに視線を向ける、ようやく外殻にたどり着いたようだ。
あそこまでたどり着いたなら、外の大型獣があいつのところに向かうことはないだろう。
中にいるかもしれないが、それはあいつ自身に対応させるか。
オレ様は、脆弱な鯨の体を捨てることにした。





オレ様は鯨だ。大きな体で大きく口を開けて生き物を丸飲みにするのが食事のスタイルだ。
鯨に戦闘という概念は、あまり存在しない。
戦闘ではなく食事がそれに相当する。
体を覆う皮膚は、水中で泳ぐことに特化している為鱗などはついていない。
生き物を噛み砕く必要が無いため、牙など持っていない。
雷は放てるが、これはオレ様固有の魔法であり種族としての特性ではない。
つまり、戦闘向きではないのだ。
長い戦乱の時代を経て、戦闘を必要する時があった。その時は多くの仲間を失ったものだ。
オレ様もオレ様と同じ種族の鯨も、戦闘は苦手だ。単純に自分より大きい生き物には弱いし数を集めて襲い掛かってくる生き物達にも弱い。
だからオレ様と、オレ様の同種達は戦いを魔法で切り抜ける術を覚えるしかなかった。雷撃もその一つだ。
だが今回みたいに雷が無効化されると、正直手詰まりになる仲間が多い。
だからオレ様は一つの魔法を覚えた。覚える必要があった。
牙を持ち角を持つ、そんな体に自身を変質させる魔法だ。
今はもう絶滅し、この世界から姿を消した原始の生物。
オレ様はそれをイメージして魔法を発動させた。

「変化」

それはとても簡単な魔法。大型種の月の眷属ならば誰でも覚える魔法だ。
オレ様は今回、ある生き物に変化した。

トライホーン・ブレードマンタ。

3本の鋭い角を持ち、ヒレが鋭利な刃物となったエイだ。
海を飛び、空も飛びまわる海中の暗殺生物。
あまりの凶悪さに、海中の生き物を敵に回し結果姿を消した絶滅種。
オレ様の体が一瞬にして小さくなる。それでも一般的な鯨サイズとなるが、その泳ぎの速度は現戦場では随一。
他の追随を許さないだろう。
オレ様は羽ばたき一つで、水中を一瞬で移動。首長竜達の首を一瞬で刈り取った。
瞬く間にその首長竜達の体をエイと化した体の、前面の半分以上を占める口を開いて飲み込んだ。
タコやイカ達が怯んだ。
それもそうだろう。遺伝子レベルで恐怖を叩きこまれた生物が目の前にいるんだ。クラゲみたいな単純な生き物と違い、彼らは恐怖というものをきちんと持っている。
それでも逃げるそぶりを見せないのは大したものだ。
可哀想だから一瞬で終わらせることにしてやろう。
オレ様は敵と一緒に飲み込んだ水を一気にエラから吐き出して推進力にし、クラゲ・タコ・イカ達の間を高速で泳ぎ回る。
ヒレの前面のブレードが奴らの体を切り裂いた。
足や触手一瞬で切り取り、胴体を真っ二つにする。
発光クラゲは触手を切ったり胴を半分にしても生き続ける。
細かく切り刻むようなことはせず、丸飲みにしてしまうのが早い。
あらかた発光クラゲは片付いた様子。オレ様は更に加速して海面を目指す。
海面から空中に、一気に飛び出して更にヒレを羽ばたかせ遥か上空へ。
Uターンして変化の術を解きオレ様本来の姿に戻って、空中から海を丸ごと飲み込む!
オレ様を追いかけてきていた連中が真下に集まっている状態だ。
泳ぎ回って切り刻むより、口を開けて丸飲みにした方が圧倒的に早い。
オレ様の華麗な飛び込みは津波を生むが、この辺りは島がないから平気だろう。
口を開けたまま水中に向かってダイブし、集まっていた敵を生きたまま飲み込んだ。
オレ様の体の大半は胃袋が占めている。
鯨っていうのはそういう種族だからな。
敵はオレ様に飲み込まれても生きているだろうけど、そのうち消化されるだろうさ。体内からオレ様を殺せる生き物は、見た限りいなかったし問題ない。
飲み込み損ねた敵を丁寧に雷撃の魔法で処理をして、海都の周りには静寂が訪れる。
とりあえずオレ様の仕事は片付いた。
シオは無事だろうか?まあ死なない程度には堅そうだから平気だろう。
死ぬっていうか壊れるか?
まあオレ様が到着すれば、万事解決だな。





全部終わってたとは思わなかったぜ。
別に出番が欲しかった訳じゃないからな!
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