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第八章 開催!ゴーレムフェスティバル!
第七十話 ゴーレムの再会
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道中、何度かブレードマンティスと戦った。
セルジアが雷撃を放って行動不能にさせて、オレが両腕と頭を破壊してそのまま魔法の袋に投げ込む流れだ。
数が多くてもセルジアには何の脅威にもならないようで、オレはブレードを傷つけないようにゆっくりと作業に集中できる。
「ちなみにオレ様はランク的にはSSSオーバーな?」
そんなことを道中に言っていた。そもそもお前を倒そうとしたら、軍隊が束でかかってもきついだろ。
「実際軍隊と戦った時は手加減できなかったなあ」
こいつも存外ふざけた経歴の持ち主のようだ。
「さて、巣穴っていうのがここか」
地面の下に、斜めに向かってぽっかり空いた穴。そこから今まさに1匹のブレードマンティスが出て来たところだった。
両手に鎌の代わりに大きな剣を持った蟷螂、とは分かりやすい表現だと思う。
実際そのサイズは2mくらいあるわけだが。
体は全長で5mくらいだろうか。威嚇して剣を振るうと、鋭く風を切る音が聞こえてくる。
『バリバリバリバリバリ!!!!』
問答無用でセルジアが雷を手のひらから放ってブレードマンティスを無効化する。
オレは後ろからセルジアが無効化して、地面に転がっている蟷螂の両腕をもぎ取って頭をかち割って魔法の袋に放り込む。この作業は一体何度目だろうか。
「むう、結構出てくるな」
多い分には問題ないだろ。ここで命一杯働けば美味しいご飯がもっと食えるぞ。
「そうだな、普段は丸飲みだから味とかわかんないし」
この間美味かったり不味かったりとか言ってなかったか?
「ありゃ見た目の問題だ。飲み込むにしても喉に引っかかっちゃ良くない」
お前の喉に引っかかるのって何十メートルの化け物だよ。
「人を物差しで測ろうとするんじゃないやい」
それこの間聞いたわ!
念話で会話しながらも、中から出てくるブレードマンティスを次々とセルジアが無効化していく。
オレは流石に処理が間に合わず、念動魔法で自分の周りに引っ張ってきてから処理を行う流れに。
気が付くと、巣穴の入り口から敵が出て来なくなってきた。
オレは作業を終わらせると、感知の魔法を広げて巣穴の内部の敵を調べる。
「どうだ?まだ結構数はいるか?」
ん、今までよりも大きい個体が地下に・・・5体だな。あと一際でかいのは女王か?蟷螂っていうより蟻みたいだなこいつら。
「ああ、そういう虫がいたな」
感知の魔法で調べてみたけど、結構大き目の鉱物反応が地下からするね。数もそこそこ多いから、たぶんあれが清蓮の言ってた素材だろ。
「そんなことも分かるのか。お前見た目より随分と万能だな」
こんな能力よりも口が欲しかったよ。
「ははは、そいつはもう少し我慢しててくれ。どうだ?入れそうか?」
結構ギリギリ・・・入れないこともないか。
「んー、まあさっきの個体よりも大きい奴がいるならお前でも問題ないだろ。とっとといこうぜ」
そうだな。道中のブレードマンティス倒しながら来たから討伐隊も早めに着くかもしれないしね。
「さあ!どんどんかかってこい!オレ様の晩御飯達!」
てか店とかで買わないで自炊すればもっと安上がりになるんじゃねえか?
「メシなんぞ作れん。お前作れるか?」
この体になる前は一人暮らしだったからそこそこ。でも出来合い品を買って来た方が楽だったからなあ
「そもそもオレ様はメシ食わなくても生きていけるからな。オレ様が食事で体を維持しようとしたら海から生き物が消えちまう」
なんでご飯食べてるの!?
「趣味だ」
ふざけた生き物だ。
「悪いと思ったからこうやって働いてるんじゃねえか。実は以前も似たような事が合って、その時から食い扶持は自分で稼ぐことにしてたんだよ」
清蓮の金で食ってたじゃねえか。
「忘れてたんだよ!海都にいたころはオレが金を払わなくてもみんなメシ食わせてくれたし!里帰りしてたころはメシなんか食ってなかったし!そもそも地上の人里に降りたのだって何十年ぶりなんだぞ!」
はいはい、じゃあキリキリ働きましょうねー。あ、そこの通路右ね。
「へいへい、どうせだからあの家買っちまえるくらい稼いでやりましょうかね」
良い心がけです。褒めてあげましょう。
「上から言うな!お前だって文無しだろうが!!!」
うるせえ!ごく潰し!
順当に攻め込んでくるブレードマンティスを討伐しつつ、お目当ての鉱物を壁からガリガリ引きはがして巣の中を攻略していく。
上からの気配が感じられた、例の討伐隊が到着した模様だ。少人数がまず巣内部に侵入してくるのが見られた。
急ぐぞ。
「おーけい」
オレ達はブレードマンティスの巣穴の中で、一番広い部屋に入り込んだ。
そこに足を踏み入れると、先ほど感知した大きな個体が2匹ほど姿を見せる。
「こいつがお前のさっき言ってた奴か?」
そうだね。この奥にこいつらと同じサイズのが3体と一際大きいサイズが1体。
周りの雑魚はカウントしなくてもいいよね?
「なんならでかいのもノーカウントで片付けるぜっ!」
セルジアは雷撃の魔法を指先から放って・・・って敵に向かってねえ!
『バリバリバリバリバリ!!!』
ちょっと!どこ向けてんだよ!
「わかんねえ!制御出来ねえ!」
セルジアの起こした雷撃は周りの柱やら、壁やらに向かって無作為に放出されて処構わず散らばりまくる!
雷撃を受けたブレードマンティスも複数いたが、攻撃に当たらずにセルジアにブレードを振り下ろす個体が数多くいた。
「ぬお!あぶねえ!」
何してんだよ。
「わかんねえけど雷が真っすぐ飛んでいかねえ!」
セルジアは剣の攻撃を回避して、オレの後ろに逃げ込んでくる。
そんなセルジアになおもブレードマンティスは攻撃を仕掛けるべく、両腕を振り回しながらこちらに前進してきた。
障壁!
オレの障壁魔法が、ブレードマンティスの攻撃をすべてせき止める。
オレの体よりかは硬度がないおかげで、障壁を攻撃してもブレードマンティスの両腕のブレードは刃こぼれも起こしてない。それを見てオレも安堵しセルジアも溜息を一つついた。
オレは氷結魔法を使って敵の足を止めて、近くにいた個体の体を地面に縫いとめてブレードを腕ごともぎ取った。
腕を失ったブレードマンティスは奇声を上げてもがくが、足が氷で地面と縫いとめられていて身動きが取れない。後続のブレードマンティス達がこいつらのおかげで前進することも出来なくなっている。
一旦セルジアと共に入って来た縦穴の手前まで戻り、敵から距離を取ってセルジアに問いかけることにする。
どうする?こいつらまとめて倒すのは簡単だけど、素材入手出来ないかもしれんぞ。
「オレ様もギリギリ手加減してあの威力だからなあ。制御出来ない分も含めてちょっと火力上げればこいつら片付けるのはすぐだけど・・・たぶん雷撃の火力でズタボロにしちまうな」
体は諦めてブレードだけ採取することにするか、てかなんで制御出来ないんだよ。
「たぶん、この部屋に使われているあいつらの素材が原因だと思う。雷が柱に吸い込まれて今も放電してるからな。普通の金属よりも雷を吸い寄せやすい作りしてるんじゃねえかな」
なるほどね。ブレード以外は諦めるか。
オレは氷結魔法を拡散させてブレードマンティス達の体を凍り付かせると、一気に崩壊させた。
室内にいた数十匹の蟷螂たちを粉々にして、残った腕のブレードだけを回収。
その後、部屋中の柱や壁の強化で使われていた鉱物をもぎ取ってまとめて魔法の袋に突っ込む。
そんな作業中、後ろから人の気配が部屋に近づいてきた。
例の討伐隊が到着したらしい。
「お前達!無事か!」
「うお、ゴーレムか!」
「国崩し・・・?」
「にゃあ!国崩しにゃ!」
あ。なんか知ってる人が来た。
複数の兵士が部屋の後ろからなだれこんできた。
その先頭には見知った顔が3つ。
アイレウスとゴート、それにテイツォが驚いた表情を持ってこちらを見つめていた。
その突如、室内に振動が起こり上から土がパラパラと落ち始めてきた。
「全員シオの近くに集まれっ!」
声を張り上げたのはセルジアだった!
「シオ?」
「このゴーレムだっ!」
言うが早い、アイ達や兵士達がオレの周りに集まって来た。
セルジアはそれを確認すると、大きな障壁魔法を張って巣穴の上から落ちて来た土砂を受け止める!
『ドドドドドドドドドドドド・・・・』
大量の土砂や岩盤がセルジアの張った障壁に轟音と共に打ち付けられている。
轟音はすぐに止んだが、土砂が流れている様が目で見て取れる。
大きな岩石の落下は収まったらしいが、流動する土砂が今もなお動いているらしく嫌な音を立てている。
「全員無事か?」
セルジアの声にアイとゴートが周りを見渡す。
「大丈夫のようです。軽傷者はいますが全員います」
「そうか、とりあえず火を消してくれ。明かりが欲しいなら光の魔法で作れ、死ぬぞ」
「了解にゃ」
セルジアが簡単に指示を出すと、テイツォが返事をして光の魔法を自分の杖にかけた。
光源が起きたのを確認すると、周りの兵士達は持っていた松明の火を消して息をひそめた。
「シオ、乱暴に柱取り過ぎ」
悪い、気が回らなかった。そういえば地下だったなここ。
「こんなところで生き埋めとはな、長生きするもんだ」
貴重な体験ってか?
「まあな!オレ様が地面の中にいるなんて誰が思う?」
知らんがな。さて、出るとするか。入り口どっちだっけ。
「そこの兵士連中の後ろ側だろ。こいつらこっちから入って来たんだから」
採取が終わった後で良かったな。ブレードとか鉱物が埋まってたら大損だったよ。
「まったくだ、結局何本くらい集まったんだっけか」
「にゃ、ちょっといいかにゃ?」
「おう、どうした猫人族のお嬢ちゃん」
「さっきから一人で何をブツブツ言ってるにゃ。きもいにゃ」
きもいっ、セルジアキモイ言われたぜ!うはっ腹いてえ!痛む腹なんかねえけど!
「うるせえなあ、シオは黙ってろって。オレ様はこのゴーレムと話してるんだよ。念話だ念話」
「嘘にゃ!にゃーも念話は使えるけどにゃにも聞こえにゃいにゃ!」
「そりゃあ念話のレベルが低すぎるか、こいつがしゃべれる訳ないと認識しているかのどちらかが原因だな。試してみな」
「にゃ・・・国崩し、しゃべれるのにゃ?」
テイツォがオレに念話をするように求めて来た、オレはテイツォに念話で返事をする。
「やっぱり聞こえにゃいにゃ」
「レベル不足だな。普通の人間は念話なんてほとんど使わないからそれが原因だろ。感情くらいは読み取れるか?」
「それくらいにゃら」
「じゃあもうちょいだな。複雑な思考を互いに送り合う魔法だから、練度が低いと喜怒哀楽くらいしか伝わらないし、種族が大幅に離れてるとうまくいかないもんだからな。海人族や人魚達は水中で常に会話してるから標準的に様々な生き物と念話が使えるんだ」
「にゃあ?お兄さんは海人族にゃ?」
「テイ、その御方は海人族ではないよ」
セルジアとテイツォの会話にゴートさんが割って入って来た、相変わらずナイスミドルなおっさんだ。
だけどゴートさんは、セルジアに向かい腰を下ろして頭を下げていた。
「お久しぶりです。雷鯨セルジア様」
「「「「「え!?」」」」
ゴートの言葉に慌てて、周りの兵士やアイがゴートさんと同じように頭を下げる。
テイツォだけはポカンと頭に疑問符。こいつはブレないな。
セルジア、お前本当は偉かったんだな。
「ほっとけ。ああ、えーっと?お前はオレ様の事知ってるみたいだな」
「はっ、数百年前の戦の折りに戦場にて」
「なるほどな。お互い生きてて何よりだ」
「セルジア様が御生存なされるのは当然の事かと。私が生き残れたのはセルジア様の御慈悲によるものです」
「そういうもんか?」
「そういうものでございます。して、セルジア様。我々は生き埋めの状態なのですが、いかようにすれば・・・」
「そうだなあ。オレ様はあと3年は呼吸しないでも生きていけるけど」
「我々は無理でございます」
「それもそうだな、シオ!ゴー!」
オレ任せかい。まあいいけどさ。障壁そのままキープしててくれ。土魔法で入り口まで土砂をどかす。
「頼んだ」
オレは障壁魔法の外側に、兵士達の入って来た方向の土砂を操作して空間を徐々に広げていくことに。
なかなか難しい、動かすと新しい土砂が流れてくる。面倒だ・・・。でかい岩とかは魔法の袋にしまっちゃうか。
そんな作業を数分繰り返すと、土砂の流れが止まる。土砂を土魔法で圧縮させて氷魔法で凍らせて落下を防ぐ。それを繰り返していくうちに通って来た道が少しだけ顔を出した。
「「「おお」」」
兵士達から安堵の声があがる、こいつらただ見てるだけだったけどいたんだな。
セルジアが雷撃を放って行動不能にさせて、オレが両腕と頭を破壊してそのまま魔法の袋に投げ込む流れだ。
数が多くてもセルジアには何の脅威にもならないようで、オレはブレードを傷つけないようにゆっくりと作業に集中できる。
「ちなみにオレ様はランク的にはSSSオーバーな?」
そんなことを道中に言っていた。そもそもお前を倒そうとしたら、軍隊が束でかかってもきついだろ。
「実際軍隊と戦った時は手加減できなかったなあ」
こいつも存外ふざけた経歴の持ち主のようだ。
「さて、巣穴っていうのがここか」
地面の下に、斜めに向かってぽっかり空いた穴。そこから今まさに1匹のブレードマンティスが出て来たところだった。
両手に鎌の代わりに大きな剣を持った蟷螂、とは分かりやすい表現だと思う。
実際そのサイズは2mくらいあるわけだが。
体は全長で5mくらいだろうか。威嚇して剣を振るうと、鋭く風を切る音が聞こえてくる。
『バリバリバリバリバリ!!!!』
問答無用でセルジアが雷を手のひらから放ってブレードマンティスを無効化する。
オレは後ろからセルジアが無効化して、地面に転がっている蟷螂の両腕をもぎ取って頭をかち割って魔法の袋に放り込む。この作業は一体何度目だろうか。
「むう、結構出てくるな」
多い分には問題ないだろ。ここで命一杯働けば美味しいご飯がもっと食えるぞ。
「そうだな、普段は丸飲みだから味とかわかんないし」
この間美味かったり不味かったりとか言ってなかったか?
「ありゃ見た目の問題だ。飲み込むにしても喉に引っかかっちゃ良くない」
お前の喉に引っかかるのって何十メートルの化け物だよ。
「人を物差しで測ろうとするんじゃないやい」
それこの間聞いたわ!
念話で会話しながらも、中から出てくるブレードマンティスを次々とセルジアが無効化していく。
オレは流石に処理が間に合わず、念動魔法で自分の周りに引っ張ってきてから処理を行う流れに。
気が付くと、巣穴の入り口から敵が出て来なくなってきた。
オレは作業を終わらせると、感知の魔法を広げて巣穴の内部の敵を調べる。
「どうだ?まだ結構数はいるか?」
ん、今までよりも大きい個体が地下に・・・5体だな。あと一際でかいのは女王か?蟷螂っていうより蟻みたいだなこいつら。
「ああ、そういう虫がいたな」
感知の魔法で調べてみたけど、結構大き目の鉱物反応が地下からするね。数もそこそこ多いから、たぶんあれが清蓮の言ってた素材だろ。
「そんなことも分かるのか。お前見た目より随分と万能だな」
こんな能力よりも口が欲しかったよ。
「ははは、そいつはもう少し我慢しててくれ。どうだ?入れそうか?」
結構ギリギリ・・・入れないこともないか。
「んー、まあさっきの個体よりも大きい奴がいるならお前でも問題ないだろ。とっとといこうぜ」
そうだな。道中のブレードマンティス倒しながら来たから討伐隊も早めに着くかもしれないしね。
「さあ!どんどんかかってこい!オレ様の晩御飯達!」
てか店とかで買わないで自炊すればもっと安上がりになるんじゃねえか?
「メシなんぞ作れん。お前作れるか?」
この体になる前は一人暮らしだったからそこそこ。でも出来合い品を買って来た方が楽だったからなあ
「そもそもオレ様はメシ食わなくても生きていけるからな。オレ様が食事で体を維持しようとしたら海から生き物が消えちまう」
なんでご飯食べてるの!?
「趣味だ」
ふざけた生き物だ。
「悪いと思ったからこうやって働いてるんじゃねえか。実は以前も似たような事が合って、その時から食い扶持は自分で稼ぐことにしてたんだよ」
清蓮の金で食ってたじゃねえか。
「忘れてたんだよ!海都にいたころはオレが金を払わなくてもみんなメシ食わせてくれたし!里帰りしてたころはメシなんか食ってなかったし!そもそも地上の人里に降りたのだって何十年ぶりなんだぞ!」
はいはい、じゃあキリキリ働きましょうねー。あ、そこの通路右ね。
「へいへい、どうせだからあの家買っちまえるくらい稼いでやりましょうかね」
良い心がけです。褒めてあげましょう。
「上から言うな!お前だって文無しだろうが!!!」
うるせえ!ごく潰し!
順当に攻め込んでくるブレードマンティスを討伐しつつ、お目当ての鉱物を壁からガリガリ引きはがして巣の中を攻略していく。
上からの気配が感じられた、例の討伐隊が到着した模様だ。少人数がまず巣内部に侵入してくるのが見られた。
急ぐぞ。
「おーけい」
オレ達はブレードマンティスの巣穴の中で、一番広い部屋に入り込んだ。
そこに足を踏み入れると、先ほど感知した大きな個体が2匹ほど姿を見せる。
「こいつがお前のさっき言ってた奴か?」
そうだね。この奥にこいつらと同じサイズのが3体と一際大きいサイズが1体。
周りの雑魚はカウントしなくてもいいよね?
「なんならでかいのもノーカウントで片付けるぜっ!」
セルジアは雷撃の魔法を指先から放って・・・って敵に向かってねえ!
『バリバリバリバリバリ!!!』
ちょっと!どこ向けてんだよ!
「わかんねえ!制御出来ねえ!」
セルジアの起こした雷撃は周りの柱やら、壁やらに向かって無作為に放出されて処構わず散らばりまくる!
雷撃を受けたブレードマンティスも複数いたが、攻撃に当たらずにセルジアにブレードを振り下ろす個体が数多くいた。
「ぬお!あぶねえ!」
何してんだよ。
「わかんねえけど雷が真っすぐ飛んでいかねえ!」
セルジアは剣の攻撃を回避して、オレの後ろに逃げ込んでくる。
そんなセルジアになおもブレードマンティスは攻撃を仕掛けるべく、両腕を振り回しながらこちらに前進してきた。
障壁!
オレの障壁魔法が、ブレードマンティスの攻撃をすべてせき止める。
オレの体よりかは硬度がないおかげで、障壁を攻撃してもブレードマンティスの両腕のブレードは刃こぼれも起こしてない。それを見てオレも安堵しセルジアも溜息を一つついた。
オレは氷結魔法を使って敵の足を止めて、近くにいた個体の体を地面に縫いとめてブレードを腕ごともぎ取った。
腕を失ったブレードマンティスは奇声を上げてもがくが、足が氷で地面と縫いとめられていて身動きが取れない。後続のブレードマンティス達がこいつらのおかげで前進することも出来なくなっている。
一旦セルジアと共に入って来た縦穴の手前まで戻り、敵から距離を取ってセルジアに問いかけることにする。
どうする?こいつらまとめて倒すのは簡単だけど、素材入手出来ないかもしれんぞ。
「オレ様もギリギリ手加減してあの威力だからなあ。制御出来ない分も含めてちょっと火力上げればこいつら片付けるのはすぐだけど・・・たぶん雷撃の火力でズタボロにしちまうな」
体は諦めてブレードだけ採取することにするか、てかなんで制御出来ないんだよ。
「たぶん、この部屋に使われているあいつらの素材が原因だと思う。雷が柱に吸い込まれて今も放電してるからな。普通の金属よりも雷を吸い寄せやすい作りしてるんじゃねえかな」
なるほどね。ブレード以外は諦めるか。
オレは氷結魔法を拡散させてブレードマンティス達の体を凍り付かせると、一気に崩壊させた。
室内にいた数十匹の蟷螂たちを粉々にして、残った腕のブレードだけを回収。
その後、部屋中の柱や壁の強化で使われていた鉱物をもぎ取ってまとめて魔法の袋に突っ込む。
そんな作業中、後ろから人の気配が部屋に近づいてきた。
例の討伐隊が到着したらしい。
「お前達!無事か!」
「うお、ゴーレムか!」
「国崩し・・・?」
「にゃあ!国崩しにゃ!」
あ。なんか知ってる人が来た。
複数の兵士が部屋の後ろからなだれこんできた。
その先頭には見知った顔が3つ。
アイレウスとゴート、それにテイツォが驚いた表情を持ってこちらを見つめていた。
その突如、室内に振動が起こり上から土がパラパラと落ち始めてきた。
「全員シオの近くに集まれっ!」
声を張り上げたのはセルジアだった!
「シオ?」
「このゴーレムだっ!」
言うが早い、アイ達や兵士達がオレの周りに集まって来た。
セルジアはそれを確認すると、大きな障壁魔法を張って巣穴の上から落ちて来た土砂を受け止める!
『ドドドドドドドドドドドド・・・・』
大量の土砂や岩盤がセルジアの張った障壁に轟音と共に打ち付けられている。
轟音はすぐに止んだが、土砂が流れている様が目で見て取れる。
大きな岩石の落下は収まったらしいが、流動する土砂が今もなお動いているらしく嫌な音を立てている。
「全員無事か?」
セルジアの声にアイとゴートが周りを見渡す。
「大丈夫のようです。軽傷者はいますが全員います」
「そうか、とりあえず火を消してくれ。明かりが欲しいなら光の魔法で作れ、死ぬぞ」
「了解にゃ」
セルジアが簡単に指示を出すと、テイツォが返事をして光の魔法を自分の杖にかけた。
光源が起きたのを確認すると、周りの兵士達は持っていた松明の火を消して息をひそめた。
「シオ、乱暴に柱取り過ぎ」
悪い、気が回らなかった。そういえば地下だったなここ。
「こんなところで生き埋めとはな、長生きするもんだ」
貴重な体験ってか?
「まあな!オレ様が地面の中にいるなんて誰が思う?」
知らんがな。さて、出るとするか。入り口どっちだっけ。
「そこの兵士連中の後ろ側だろ。こいつらこっちから入って来たんだから」
採取が終わった後で良かったな。ブレードとか鉱物が埋まってたら大損だったよ。
「まったくだ、結局何本くらい集まったんだっけか」
「にゃ、ちょっといいかにゃ?」
「おう、どうした猫人族のお嬢ちゃん」
「さっきから一人で何をブツブツ言ってるにゃ。きもいにゃ」
きもいっ、セルジアキモイ言われたぜ!うはっ腹いてえ!痛む腹なんかねえけど!
「うるせえなあ、シオは黙ってろって。オレ様はこのゴーレムと話してるんだよ。念話だ念話」
「嘘にゃ!にゃーも念話は使えるけどにゃにも聞こえにゃいにゃ!」
「そりゃあ念話のレベルが低すぎるか、こいつがしゃべれる訳ないと認識しているかのどちらかが原因だな。試してみな」
「にゃ・・・国崩し、しゃべれるのにゃ?」
テイツォがオレに念話をするように求めて来た、オレはテイツォに念話で返事をする。
「やっぱり聞こえにゃいにゃ」
「レベル不足だな。普通の人間は念話なんてほとんど使わないからそれが原因だろ。感情くらいは読み取れるか?」
「それくらいにゃら」
「じゃあもうちょいだな。複雑な思考を互いに送り合う魔法だから、練度が低いと喜怒哀楽くらいしか伝わらないし、種族が大幅に離れてるとうまくいかないもんだからな。海人族や人魚達は水中で常に会話してるから標準的に様々な生き物と念話が使えるんだ」
「にゃあ?お兄さんは海人族にゃ?」
「テイ、その御方は海人族ではないよ」
セルジアとテイツォの会話にゴートさんが割って入って来た、相変わらずナイスミドルなおっさんだ。
だけどゴートさんは、セルジアに向かい腰を下ろして頭を下げていた。
「お久しぶりです。雷鯨セルジア様」
「「「「「え!?」」」」
ゴートの言葉に慌てて、周りの兵士やアイがゴートさんと同じように頭を下げる。
テイツォだけはポカンと頭に疑問符。こいつはブレないな。
セルジア、お前本当は偉かったんだな。
「ほっとけ。ああ、えーっと?お前はオレ様の事知ってるみたいだな」
「はっ、数百年前の戦の折りに戦場にて」
「なるほどな。お互い生きてて何よりだ」
「セルジア様が御生存なされるのは当然の事かと。私が生き残れたのはセルジア様の御慈悲によるものです」
「そういうもんか?」
「そういうものでございます。して、セルジア様。我々は生き埋めの状態なのですが、いかようにすれば・・・」
「そうだなあ。オレ様はあと3年は呼吸しないでも生きていけるけど」
「我々は無理でございます」
「それもそうだな、シオ!ゴー!」
オレ任せかい。まあいいけどさ。障壁そのままキープしててくれ。土魔法で入り口まで土砂をどかす。
「頼んだ」
オレは障壁魔法の外側に、兵士達の入って来た方向の土砂を操作して空間を徐々に広げていくことに。
なかなか難しい、動かすと新しい土砂が流れてくる。面倒だ・・・。でかい岩とかは魔法の袋にしまっちゃうか。
そんな作業を数分繰り返すと、土砂の流れが止まる。土砂を土魔法で圧縮させて氷魔法で凍らせて落下を防ぐ。それを繰り返していくうちに通って来た道が少しだけ顔を出した。
「「「おお」」」
兵士達から安堵の声があがる、こいつらただ見てるだけだったけどいたんだな。
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捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
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