鬼さんこちら手の鳴る方へ

紅蓮。:*

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江戸に舞うのは月の光

鬼狂い

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「………」




私は今、夜の江戸の町にいる





都会の喧騒に慣れてしまったせいか、
月明かりしかない夜はひどく寂しく見える






私は一人深く息をはきながら、ついさっきの出来事を思い返していた





―――





時は、1時間ほど前に遡る




私は、紅月軍について神様に尋ねた





「紅月軍っていったい……?」






『紅月軍ってゆーのは簡単にいうと、鬼狂いを倒すための軍隊のことだよ!夜叉にはそこの様子を探ってきてほしいんだ☆よろしくねっ』





「……いや、よろしくってどーすれば……。
……って神様いないし。」




神様は自分の話が終わった瞬間に、どこかに消えてしまった……。


―――





ともかく、私は鬼狂いについて調べるため江戸の町に降りてきたのだが……




「誰もいないし……」





人どころか、動物1匹見当たらない。
みんな寝ちゃったのかな……。






“ぉぉおおぉおおお……”







諦めて森に戻ろうとした時、小さな声がきこえたような気がして私は立ち止まった







「……気のせいじゃないよね」





辺りをみわたしても、声の主らしき人は見当たらない。どうやら声は少し離れたところからきこえてくるようだ。






「……行ってみるか」






声のする方に向かってしばらくすると、男性のようなシルエットがみえてきた




「あの、すいません…」





“………” 





声をかけても応答がない。きこえていないのだろうか。





「あのー、すいません!」





さきほどより大きな声で言ってみるも、相手からの応答はない







不思議に思い、その男性に近づいた瞬間だった





“ぉおおおおぉおおおおおおお!!!!!”





「うわっ?!」




男性はいきなり咆哮をあげると、血走った目でこちらをみた。




男性の顔には、角、そして大きく尖った牙があった




「……これが、鬼狂い」





男性は元が人間だとはとても思えないほど、異様な雰囲気をはなっていた





“オ、オニ…。オニヒメノチカラ……ヨコセェェェエエエ!!!!”



鬼姫の力…?たしか神様も前に私に与えた力のことをそんなふうにいってたな……。
ってことは狙いは私…?



とにかくなんとかしないと…。



「……~♪………」





私はすぐに、鬼夜月を構える。





“ヨコセェェェエエエ!!!”



鬼の力を纏った私の五感は普通の人間を大きく凌駕している。
鬼夜月のお陰で、普通の人間なら見きれない鬼狂いの動きがまるでスローモーションのアニメのようだった。





“ウォオオオオォオオオオ!!!”





咆哮をあげながら血走った目で私をみる鬼の顔が、一瞬泣いているようにみえた






……悲しい?苦しい?それとも…寂しい?
大丈夫、すぐに楽にしてあげるから…






「斬れ…。鬼夜月……」






私は、鬼狂いの首をためいなく斬った





“ギャァァァアァァア……ッ!!!!”





耳障りな断末魔と共に、男性の身体が元の人間の姿に戻っていく
男性には暴れた時の傷以外はなく、刀傷も見当たらなかった




「鬼夜月はほんとに鬼だけを斬るんだ…」




神様の言葉を信じていなかったわけではないが、少し安心した。人を殺すのはさすがに抵抗があるし、こっちに来て早々に人殺しにはなりたくなった。





「……戻れ」





私は鬼夜月を解き、倒れていた男性の元へと向かった
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