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青春の日々
小瓶(奏視点)
しおりを挟むドサッ。
意識がなくなり倒れそうになるはるを無言で支え、床に下ろす。
頬を撫でても起きる様子はなかった。
私がはるの右手にかけたのは、雑貨屋の店主がくれた小瓶のなかみだった。私との約束を忘れて、私のことで悲しむことがないように祈ってはるにかけた。正直、店主の言っていたことを本当に信じていたわけではなかった。でも、こうすることが最善だと思った。
床を転がる小瓶を拾い、小さな包みをはるの胸元に置く。なかにははると一緒に買ったネックレスがはいっている。
もう一度はるの頭を撫で、顔をみる。
泣いたのがすぐわかるくらいに目元があかくなっていた。
「最後の最後まで、泣かせてしまったな…。」
倒れた衝撃でこぼれ落ちてきた涙に軽いキスを落とし、立ち上がる。
「愛してるよ、はる。幸せになって。」
こぼれそうになる涙をぐっとこらえ、教室をでる。涙を流す資格は私にはないのだから。
これではるは幸せになれる。
たとえ、はるの幸せな未来に私がいなかったとしてもかまわない。
ただはるが幸せならそれでいい。
それが一番の、私の願いだから。
────
校門をでると、黒い車が私を待っていた。
多分、祖母の車なのだろう。私はまっすぐに車に近づく。車の運転席のドアがあき、でてきた人が後部座席のドアを開ける。なかには着物をきた淑女がのってるのがみえた。
もうあとには戻れない。
私はもう一度はるがいる教室を振り返り、そして前を向いた。
はるの幸せだけを願って。
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