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青春の日々
おぼろげな記憶
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18歳の誕生日のことを俺はよく覚えていない。
俺は夕方頃、高校の教室で倒れているのを巡回の先生に発見されたらしい。
目立った外傷はなく、俺の胸元にはプレゼントらしきモノがのせてあったそうだ。
その中には、すごく綺麗な翡翠色のネックレスがはいっていた。だが、誰からのプレゼントなのか全く覚えていない。
それどころか、倒れる前のことを何一つ覚えていなかった。
いつものように帰り支度をして、玄関まで行き、雨が降っていたから傘を取りに行った。そこまでは覚えている。だが起きた時、俺は傘を持っておらず泣き腫らした目で倒れていた。
なにがなんだかまったくわからない。
だけどなぜだろう。忘れていることがとても悲しいことのように思えて仕方ない。涙がとまらない。この気持ちは、この喪失感は一体なんなのだろう。
────
念の為病院に行ったが結果はなんともなく、1日休養をとった後俺は学校に戻った。
いつも通り学校に行き、自分の席に座る。
いつも通りのそこそこ静かな教室。
だが、なにかがたりない。でも、なにがたりないのかがわからない。
いつも通りなはずなのにいつも通りじゃない。
それがたまらなく悲しかった。
「香坂君。大丈夫かい?」
突然降ってきた声に顔を上げると、遼がいた。
「一応医者にいったけどなんともないって。」
すると遼は気遣うような顔をして俺を見つめた。
「体よりも精神的なほうさ。」
「精神的?」
「彼女、転校しちゃっただろ?」
彼女…。かのじょ…?
なんだかそんな人がいたような気がする。
でも…
「あぁ、別れたよ。」
カチャッ。
妙な音が聞こえた気がした。
「…意外だね。香坂君のことだからもっと執着を見せるのかと思ったよ。」
「別に、大切だったわけでもないしな。」
カチャリ。カチャリ。
「香坂君。なら1つきいてもいいかい?」
「ん?」
遼は困ったような優しい顔で俺をみる。
「どうして君は泣いてるんだい?」
…?泣いてる?誰が?俺が?
ゆっくりと頬に手を当てる。
濡れている。なんで?これは、いったいなに?
…涙?
しっとりと濡れた指先が悲しみをうつしていた。わからない。わからないが、なぜかとても胸が苦しかった。
来る時まで晴れていた空は、いつのまにかひどい雨に変わっていた。
俺は夕方頃、高校の教室で倒れているのを巡回の先生に発見されたらしい。
目立った外傷はなく、俺の胸元にはプレゼントらしきモノがのせてあったそうだ。
その中には、すごく綺麗な翡翠色のネックレスがはいっていた。だが、誰からのプレゼントなのか全く覚えていない。
それどころか、倒れる前のことを何一つ覚えていなかった。
いつものように帰り支度をして、玄関まで行き、雨が降っていたから傘を取りに行った。そこまでは覚えている。だが起きた時、俺は傘を持っておらず泣き腫らした目で倒れていた。
なにがなんだかまったくわからない。
だけどなぜだろう。忘れていることがとても悲しいことのように思えて仕方ない。涙がとまらない。この気持ちは、この喪失感は一体なんなのだろう。
────
念の為病院に行ったが結果はなんともなく、1日休養をとった後俺は学校に戻った。
いつも通り学校に行き、自分の席に座る。
いつも通りのそこそこ静かな教室。
だが、なにかがたりない。でも、なにがたりないのかがわからない。
いつも通りなはずなのにいつも通りじゃない。
それがたまらなく悲しかった。
「香坂君。大丈夫かい?」
突然降ってきた声に顔を上げると、遼がいた。
「一応医者にいったけどなんともないって。」
すると遼は気遣うような顔をして俺を見つめた。
「体よりも精神的なほうさ。」
「精神的?」
「彼女、転校しちゃっただろ?」
彼女…。かのじょ…?
なんだかそんな人がいたような気がする。
でも…
「あぁ、別れたよ。」
カチャッ。
妙な音が聞こえた気がした。
「…意外だね。香坂君のことだからもっと執着を見せるのかと思ったよ。」
「別に、大切だったわけでもないしな。」
カチャリ。カチャリ。
「香坂君。なら1つきいてもいいかい?」
「ん?」
遼は困ったような優しい顔で俺をみる。
「どうして君は泣いてるんだい?」
…?泣いてる?誰が?俺が?
ゆっくりと頬に手を当てる。
濡れている。なんで?これは、いったいなに?
…涙?
しっとりと濡れた指先が悲しみをうつしていた。わからない。わからないが、なぜかとても胸が苦しかった。
来る時まで晴れていた空は、いつのまにかひどい雨に変わっていた。
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