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第一章
3話
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午後の授業が終わり、生徒会の書類も一段落ついた頃、下校時間のチャイムが鳴り、俺達は生徒会室の鍵を職員室に返却し、学校を後にした。
「でも、僕と二人で何処かに行きたいと言ってくるなんて、怪しい……」
「た、たまには親友と寄り道も悪くないだろ? それに新作のマンガもちょうど今日が発売日なんだ」
「親友の僕と行きたいというよりは、マンガを買いたいという欲求のほうが強い気がする」
「……ま、まぁ、それは否定しねえよ」
俺の誘いを疑うのは当然だ。俺は紅蓮とは中学からの親友とは言っても、互いの家が近いわけでもない。
紅蓮はアパートで一人暮らし、俺は両親と暮らしている。
別に俺のとこに門限があり早く家に帰らないといけないわけではなく、紅蓮は根が真面目なため、あまり寄り道などを好まないのだ。
だから、俺も自然と寄り道をせずに家に帰ることにしている。まぁ、たまに寄り道もしているが。
* * *
「僕は奥の文学コーナーのほうに行ってるから……」
「ああ、わかった。買い終わったら、マンガコーナーのほうに来てくれるか?」
「うん、わかった」
本屋に着いた俺と紅蓮は、互いの好きなジャンルのほうに分かれた。
俺は今日発売のマンガ本を手に取り、マンガコーナーの隣のほうにあるラノベコーナーへと足を運んだ。
「神崎紅の作品か……」
そこには「この本屋の売り上げナンバーワン」とポップには書いてあり、相変わらず、神崎紅の作品はすごいと改めて実感した。
「冬夜。新作のマンガは見つかった?」
「紅蓮、そ、そっちは見つかったのか?」
ふいに後ろから声をかけられ、驚いたが、ここは本屋。
大声を出すわけにはいかず、一旦、深呼吸をしては落ち着かせた。
「こっちはもう買った。でも、新作のマンガコーナーはあっちじゃないの?」
「あ、あっちだったのか。紅蓮、教えてくれてありがとな」
あからさまな態度をとりながらも、俺はマンガコーナーへと走って行った。
「……」
新作マンガコーナーから紅蓮の様子を見てみると、俺がさっきいたラノベコーナーの前で止まっていた。しかし、どのラノベも手に取ることなく、ただ見ているだけだった。
やっぱりラノベは普通の本と思っていないのか?
それとも、神崎紅のラノベが陳列しているからか?
新作のマンガを購入した後、俺が帰ろうとすると
「冬夜。これ以上、神崎紅を好きにならないでほしい……」
「……え?」
「それだけは伝えておく。じゃあ、また明日、冬夜」
「あ、ああ」
紅蓮は意味深なことを言って、自分の家の帰る方向へと足を進めた。
俺も新作のマンガを購入して、他に行く場所もなかったので帰路についた。
***
「ただいま」
「おかえりなさい、冬夜さん」
俺を真っ直ぐ迎えてくれたのが、俺の母である神崎雫 (かんざき しずく) 、 腰まである長い黒髪。大和撫子のように綺麗だと近所では有名だ。
言葉遣いも丁寧で、息子である俺のことも「さん」づけ。
父さんのことが大好きで、俺のことも大切にしてくれる。
たまにスキンシップが激しくて、急に俺にも抱きついたりもして反応に困ったりもするが、それでも優しい母さんが俺は好きだ。
「冬夜さん、まずは荷物を部屋に置いてきなさい」
「ああ」
部屋にスクール鞄を置いた俺は一階のリビングへと向かった。
因みに父さんはフランスにいるため、滅多に会うことはない。
食事や風呂が終わり、俺は自分の部屋のベッドでスマホを片手にくつろいでいた。
時間は夜十一時三十分。夏真っ只中なので冷房なしでは寝つけない。
そろそろ寝ようと思うが、今日はなかなか寝付けない。
“これ以上、神崎紅を好きにならないでほしい”
あれはどういう意味だったんだろうか。
俺が神崎紅を好きになることによって紅蓮、お前にデメリットがあるのか?
そんなことを考えては、俺は泥のように眠った。
* * * * *
「……夜さん、冬夜さん、朝だから起きなさい」
「あ、あぁ……」
「冬夜さん、どうしたの? 朝から何か考え事?」
「いや……」
母さんに紅蓮のことを相談したいが、親父とも滅多に会うことなく、寂しい思いをしてるというのに、俺のことで心配してほしくない。
そう思ったら俺は普段通りに母さんに接した。
「じゃあ、学校行ってくる」
「ええ、行ってらっしゃい、冬夜さん」
着替えが終わり、朝食を食べた俺は、学校へと向かった。
* * *
学校に着くと、俺は生徒会室へ向かい、扉を開けようとすると鍵が閉まっていた。
「紅蓮、まだ来ていないのか?」
校則を守る紅蓮が遅刻なんてことはまずありえない。
だったら、どうしたというのだろうか?
「でも、僕と二人で何処かに行きたいと言ってくるなんて、怪しい……」
「た、たまには親友と寄り道も悪くないだろ? それに新作のマンガもちょうど今日が発売日なんだ」
「親友の僕と行きたいというよりは、マンガを買いたいという欲求のほうが強い気がする」
「……ま、まぁ、それは否定しねえよ」
俺の誘いを疑うのは当然だ。俺は紅蓮とは中学からの親友とは言っても、互いの家が近いわけでもない。
紅蓮はアパートで一人暮らし、俺は両親と暮らしている。
別に俺のとこに門限があり早く家に帰らないといけないわけではなく、紅蓮は根が真面目なため、あまり寄り道などを好まないのだ。
だから、俺も自然と寄り道をせずに家に帰ることにしている。まぁ、たまに寄り道もしているが。
* * *
「僕は奥の文学コーナーのほうに行ってるから……」
「ああ、わかった。買い終わったら、マンガコーナーのほうに来てくれるか?」
「うん、わかった」
本屋に着いた俺と紅蓮は、互いの好きなジャンルのほうに分かれた。
俺は今日発売のマンガ本を手に取り、マンガコーナーの隣のほうにあるラノベコーナーへと足を運んだ。
「神崎紅の作品か……」
そこには「この本屋の売り上げナンバーワン」とポップには書いてあり、相変わらず、神崎紅の作品はすごいと改めて実感した。
「冬夜。新作のマンガは見つかった?」
「紅蓮、そ、そっちは見つかったのか?」
ふいに後ろから声をかけられ、驚いたが、ここは本屋。
大声を出すわけにはいかず、一旦、深呼吸をしては落ち着かせた。
「こっちはもう買った。でも、新作のマンガコーナーはあっちじゃないの?」
「あ、あっちだったのか。紅蓮、教えてくれてありがとな」
あからさまな態度をとりながらも、俺はマンガコーナーへと走って行った。
「……」
新作マンガコーナーから紅蓮の様子を見てみると、俺がさっきいたラノベコーナーの前で止まっていた。しかし、どのラノベも手に取ることなく、ただ見ているだけだった。
やっぱりラノベは普通の本と思っていないのか?
それとも、神崎紅のラノベが陳列しているからか?
新作のマンガを購入した後、俺が帰ろうとすると
「冬夜。これ以上、神崎紅を好きにならないでほしい……」
「……え?」
「それだけは伝えておく。じゃあ、また明日、冬夜」
「あ、ああ」
紅蓮は意味深なことを言って、自分の家の帰る方向へと足を進めた。
俺も新作のマンガを購入して、他に行く場所もなかったので帰路についた。
***
「ただいま」
「おかえりなさい、冬夜さん」
俺を真っ直ぐ迎えてくれたのが、俺の母である神崎雫 (かんざき しずく) 、 腰まである長い黒髪。大和撫子のように綺麗だと近所では有名だ。
言葉遣いも丁寧で、息子である俺のことも「さん」づけ。
父さんのことが大好きで、俺のことも大切にしてくれる。
たまにスキンシップが激しくて、急に俺にも抱きついたりもして反応に困ったりもするが、それでも優しい母さんが俺は好きだ。
「冬夜さん、まずは荷物を部屋に置いてきなさい」
「ああ」
部屋にスクール鞄を置いた俺は一階のリビングへと向かった。
因みに父さんはフランスにいるため、滅多に会うことはない。
食事や風呂が終わり、俺は自分の部屋のベッドでスマホを片手にくつろいでいた。
時間は夜十一時三十分。夏真っ只中なので冷房なしでは寝つけない。
そろそろ寝ようと思うが、今日はなかなか寝付けない。
“これ以上、神崎紅を好きにならないでほしい”
あれはどういう意味だったんだろうか。
俺が神崎紅を好きになることによって紅蓮、お前にデメリットがあるのか?
そんなことを考えては、俺は泥のように眠った。
* * * * *
「……夜さん、冬夜さん、朝だから起きなさい」
「あ、あぁ……」
「冬夜さん、どうしたの? 朝から何か考え事?」
「いや……」
母さんに紅蓮のことを相談したいが、親父とも滅多に会うことなく、寂しい思いをしてるというのに、俺のことで心配してほしくない。
そう思ったら俺は普段通りに母さんに接した。
「じゃあ、学校行ってくる」
「ええ、行ってらっしゃい、冬夜さん」
着替えが終わり、朝食を食べた俺は、学校へと向かった。
* * *
学校に着くと、俺は生徒会室へ向かい、扉を開けようとすると鍵が閉まっていた。
「紅蓮、まだ来ていないのか?」
校則を守る紅蓮が遅刻なんてことはまずありえない。
だったら、どうしたというのだろうか?
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