僕らは、ただ一つの愛を誓う

星空永遠

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第一章

2話

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とはいえ、生徒会副会長になってからも眠い時は授業中にも構わず睡眠はとるし、生徒会の業務が大量にあるときなんかは生徒会室にあるソファーで仮眠をとっている。

そんな学校生活を過ごしているわけだが、やはり紅蓮には、どんな言い訳も許されなかった。

生徒会業務をサボるたびに反省文を出される。が、俺はその反省文も書いたことがなく、積もりに積もった俺の行いにより、そろそろ親友という立場も危ういのでは? と心の奥底で思っていたりもする。

紅蓮が、一時間目開始ギリギリに教室に入ってきたのには理由がある。

それは、昨日から始まった朝の挨拶運動。
挨拶運動の期間、生徒会役員は毎朝、校門前にて生徒に挨拶をしなければならない。

今日は、挨拶運動の二日目になる。忘れていたら言い訳も出来るが、俺の性格を知っている紅蓮は、俺が言い訳することも既にお見通し。

それをわかっているので、俺はこうして堂々と朝の挨拶運動をサボっている。

「冬夜、今日は何の日?」

「あー……今日か? 紅蓮、お前が聞いてくるってことは、お前の誕生日か?」

などと、最初はとぼけた言葉を吐く。

「……冬夜」

「うっ」

間を空けて、俺の名前を呼ぶのは、大抵本気で怒っているときで、言い訳をしないで本題に入れという合図だ。

こういう時、親友ってのは何でもわかるから、ある意味、厄介だ。

「今日は、たまたま腹が痛くてな……っていっても、どうせお前にはこういうの聞かねえってわかってるから、本当のこと言うことにするぜ。……悪いな、紅蓮。朝の挨拶運動が面倒だから、サボった」

「……じゃあ、これ」

「あ、ああ……」

スっと、紅蓮のスクール鞄の中から出されたソレは、まぎれもなく反省文だった。
ソレを俺の机に置くと、紅蓮は少し早足で自分の席に着席した。

これはいつもの会話だが、俺はこの関係も嫌いではない。
別に怒られるのが好きだから、わざと生徒会業務をサボっているというわけではない。

なんで急に自分の席に戻ったんだ? と考えていると、一時間目開始のチャイムが鳴ると同時に、教室に入ってくる担任が見えた。

相変わらず、「お前は真面目な奴だな」と紅蓮に言いそうになったが、その返答は「冬夜。それは真面目ではなく、当たり前のこと」などと予想出来たので、心の中で留めながら、俺は机の中から教科書とノートを取り出し、それを枕代わりにしながら、机に顔を伏せた。
あっという間に午前の授業が終了し、昼休みになった。

俺は騒がしい教室よりも、静かな場所で食べたいと思い、生徒会室でパンを食べていた。

そして今朝、紅蓮に渡された反省文を眺めていた。因みに反省文は白紙である。

「反省文、これで何枚目だよ……」
と、ため息交じりに呟くと、

「反省文を溜めるほうが悪い」

そう言い放ったあと、紅蓮は俺の前のイスに座った。
弁当などを持っていないところを見ると、どうやら、教室か屋上とかで昼飯を済ませてきたようだ。

「紅蓮……い、いつから、そこにいたんだよ」

どうやら、俺の独り言は聞かれていたらしい。しかも、一番聞かれてはいけない奴に。

「冬夜が独り言を言った瞬間に来た」

「……」

なんてタイミングで来るんだよ。もう少し空気を読んで、生徒会室に来いよ……。

「冬夜、今、少しくらい空気を読んで生徒会室に来いって顔してた」

「あー……してねぇよ、そんな顔」

俺の心が読めるとか、紅蓮、お前は俺の何もかもを知りすぎなんだよ……。

「……」

「紅蓮、急に話さなくなって、どうしたんだ?  ま、まさか……怒ってんのか?」

「違う……。これを読んでた」

「ああ、本か。紅蓮、相変わらず本が好きなんだな」

いつの間にあったのか、紅蓮は本を片手に、今読んでる心理学の本を見せてきた。

「本は、様々な知識を得ることが出来る素晴らしいもの。冬夜も、たまにはマンガだけじゃなくて、普通の本も読むべき」

「……善処はする」

本の話になると、紅蓮は人が変わったようにキラキラと目を輝かせている。
よっぽど、本が好きなんだな……と思った。

何故なら、正確には、わずかだが、本の話をしている時の紅蓮は表情があるからだ。
それに嬉しそうで、楽しそうでもある。

親友の俺だからこそ、紅蓮のわずかな表情の変化でさえ気付けるのだ。

「あ、マンガ以外なら、最近ハマってるものあるぜ。ラノベって知ってるか?  あれは文章だけだが、ちゃんとストーリーもしっかりしてて、感動出来るつーか……神崎紅って知ってるか?  その人の書くラノベ作品はかなり……」

「本の話はもういい。……今から、今日残りの生徒会の書類をする」

「ぐ、れん……? わかった、俺も今日は手伝う」

「ありがとう、冬夜」

「ああ……」

さっきまで本の話をしていて、紅蓮、お前から本を読むべきって話を振ってきたんだろうが、などと言いたかった。

だが、紅蓮の表情を見る限り、そういう余計な言葉さえ、お前を傷つけてしまうではないかと恐れ、俺は紅蓮の言われるまま、生徒会の書類を黙々とした。

なにか、紅蓮が気に障るようなことがあったんだろう。
とはいっても、本の話しか、してないよな?

コイツが急に態度が冷たくなったのは、ラノベの話からだ。

もしかして、ラノベはマンガと変わらないとか、そういうのか?
いや、それだけなら、コイツは俺に対して、すぐに反論する。じゃあ、何が原因なんだ?

「……あ……」

考えていると一つの結論にたどり着いた。

それは、俺が神崎紅という名前を口にしたから。
おそらく、いや、間違いなくそうに違いない。

一瞬だが、俺が神崎紅という名前を口にした途端、コイツは俺から視線を逸らしたから、この結論になったのだ。

だが、神崎紅はコイツが好きそうなジャンルを書いてるのにも関わらず、なんでコイツは、神崎紅を嫌うんだ?

確かに本人から、神崎紅のことが嫌いというのは聞いていない。
だから、嫌いまではいかないが、良くは思っていないということは確かだろう。

「なぁ、紅蓮。今日は寄り道でもしないか?」

俺は紅蓮が神崎紅について、どう思っているか探るために一つの作戦を考えていた。

「……本屋なら行ってもいい」

「わかった。じゃあ、学校が終わったら、一緒に本屋だな」

その作戦とは、紅蓮と一緒に本屋に行き、さりげなく神崎紅について聞くためだ。

とはいっても、あからさまな態度を見ているため、初めから、わかるとは思っていない。
今回は本音を言わない紅蓮から、ただ、さりげなく聞くだけ。
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