1 / 16
第一章
1話
しおりを挟む
「神崎紅(かんざき くれない)先生の新作読んだ?」
「読んだ読んだ! 今回は初のファンタジー小説で、すっごくドキドキしちゃった!」
朝の教室、クラスは神崎紅先生の話題で持ちきりだった。
「ねぇ、神崎君と神崎紅先生って名字が一緒だけど、もしかして同一人物だったりする?」
「……そんなわけねぇだろ」
「だ、だよね」
「ごめんね、変なこと聞いちゃって」
俺が教室に入り、鞄を置くと同時にクラスメイトの女子が話しかけてきた。
俺は所謂、ギャル系女子があまり好きじゃない。
だからこそ、冷たい一言と話しかけるなオーラを一気に放つ。
俺の名前は 神崎冬夜 (かんざき とうや) 、星ヶ丘高校に通う高校三年生 。
中学三年から高校二年までは、親父の仕事関係でフランス留学をしていた。
黒髪で、身長は一般の高校生の平均より、かなり高く182センチ。
親父も身長が高いせいだろうか? 気がつくと、ここまで伸びていた。
さっきから、この教室の話題となっている神崎紅とは何の関係もない。
神崎紅は俺と同じ高校生でありながら、かなり有名なラノベ作家である。
高校生という以外の情報は謎とされているので、誰もが神崎紅の正体について知りたがっている。
なんで俺が神崎紅について、こんなに知っているかって?
それは、俺も神崎紅のファンだから。
神崎紅のデビュー作『桜と6つの謎』、あれは普段、読書をしない俺でも続きが気になるほどの作品だった。タイトル通り、ジャンルはミステリーだ。
他にも『眠るアンドロイド』『片翼の天使と優しき死神』など、数々の作品を書いている。
文章だけで性別を判断するのは困難だが、神崎紅の作品はいずれも知性に溢れていると思う。これは、本を読まない俺個人の意見だが。
「おはようございます」
「あ、会長! おはようございます!」
「冬夜、おはよう」
「ああ、紅蓮か。……おはよう」
一時間目開始ギリギリに教室に入ってきたコイツは如月紅蓮 (きさらぎ ぐれん ) 。
この高校の生徒会長で、俺の中学一年からの友人。 今では親友と呼べるほどの仲だ。
言い忘れていたが、俺も生徒会に所属している。
ちなみに同級生でさえ、紅蓮のことを「会長」と呼んでいる。
それもこれも、何事にも表情を変えない、仏頂面が原因だと俺は思う。
黒髪で、身長は174センチと俺よりも八センチほど低い。
紅蓮に身長のことを言うと、「身長の話はしないでほしい」と言われるので、本人も気にしているのだろう。
だが、男の俺からしても、紅蓮はかなりの美形だと思う。
実際、女子からの人気は高く、本人である紅蓮には声はかけられないけど、紅蓮のことを好きな奴は数多くいる。
星ヶ丘高校の生徒会は成績が上位の者から、生徒会に所属する権利を与えられるシステムがある。
故に生徒会なんて面倒だと考えている俺でも、中学の頃から学年二位という優秀な成績を修めれば、自然と生徒会役員に入れるわけで……。
本当は辞退したいほど嫌な生徒会だが、生徒会長直々に俺を副会長に推薦したので、親友である紅蓮に恥をかかせるわけにも、頼みを断るわけにもいかず、俺は今年の四月から生徒会副会長として、紅蓮のサポートをしている。
そして、金持ちばかりが集う学校で、社長令嬢や御曹司が数多くいる。
俺も自慢するわけではないが、それなりに裕福な家庭だ。
むしろ金銭的に困っていて、特待生の生徒は、この学校だとほとんど見かけない。
因みに、生徒手帳の一番最初には大きく「恋愛禁止」の文字がある。
とはいえ、恋愛をする者が全く居ないわけがない。
高校生という年齢を考えれば、恋愛をしたい時期だ。金持ちが集う故に、ほとんどの者は高校に上がると同時に、親同士が決めた婚約者がいて、同年代と付き合う人は数少ない。
星ヶ丘高校の生徒は、一般受験をする者は少なく、AO入試や所謂コネ入学など、後はその高校付属の大学にストレートに行く者が多い。
その中でも県外の大学に行くのはよっぽど勉強したい奴らだけ。
だから、高校三年の七月上旬でも、お受験モードというものは一切なく、高校最後の夏を楽しんでいた。
「読んだ読んだ! 今回は初のファンタジー小説で、すっごくドキドキしちゃった!」
朝の教室、クラスは神崎紅先生の話題で持ちきりだった。
「ねぇ、神崎君と神崎紅先生って名字が一緒だけど、もしかして同一人物だったりする?」
「……そんなわけねぇだろ」
「だ、だよね」
「ごめんね、変なこと聞いちゃって」
俺が教室に入り、鞄を置くと同時にクラスメイトの女子が話しかけてきた。
俺は所謂、ギャル系女子があまり好きじゃない。
だからこそ、冷たい一言と話しかけるなオーラを一気に放つ。
俺の名前は 神崎冬夜 (かんざき とうや) 、星ヶ丘高校に通う高校三年生 。
中学三年から高校二年までは、親父の仕事関係でフランス留学をしていた。
黒髪で、身長は一般の高校生の平均より、かなり高く182センチ。
親父も身長が高いせいだろうか? 気がつくと、ここまで伸びていた。
さっきから、この教室の話題となっている神崎紅とは何の関係もない。
神崎紅は俺と同じ高校生でありながら、かなり有名なラノベ作家である。
高校生という以外の情報は謎とされているので、誰もが神崎紅の正体について知りたがっている。
なんで俺が神崎紅について、こんなに知っているかって?
それは、俺も神崎紅のファンだから。
神崎紅のデビュー作『桜と6つの謎』、あれは普段、読書をしない俺でも続きが気になるほどの作品だった。タイトル通り、ジャンルはミステリーだ。
他にも『眠るアンドロイド』『片翼の天使と優しき死神』など、数々の作品を書いている。
文章だけで性別を判断するのは困難だが、神崎紅の作品はいずれも知性に溢れていると思う。これは、本を読まない俺個人の意見だが。
「おはようございます」
「あ、会長! おはようございます!」
「冬夜、おはよう」
「ああ、紅蓮か。……おはよう」
一時間目開始ギリギリに教室に入ってきたコイツは如月紅蓮 (きさらぎ ぐれん ) 。
この高校の生徒会長で、俺の中学一年からの友人。 今では親友と呼べるほどの仲だ。
言い忘れていたが、俺も生徒会に所属している。
ちなみに同級生でさえ、紅蓮のことを「会長」と呼んでいる。
それもこれも、何事にも表情を変えない、仏頂面が原因だと俺は思う。
黒髪で、身長は174センチと俺よりも八センチほど低い。
紅蓮に身長のことを言うと、「身長の話はしないでほしい」と言われるので、本人も気にしているのだろう。
だが、男の俺からしても、紅蓮はかなりの美形だと思う。
実際、女子からの人気は高く、本人である紅蓮には声はかけられないけど、紅蓮のことを好きな奴は数多くいる。
星ヶ丘高校の生徒会は成績が上位の者から、生徒会に所属する権利を与えられるシステムがある。
故に生徒会なんて面倒だと考えている俺でも、中学の頃から学年二位という優秀な成績を修めれば、自然と生徒会役員に入れるわけで……。
本当は辞退したいほど嫌な生徒会だが、生徒会長直々に俺を副会長に推薦したので、親友である紅蓮に恥をかかせるわけにも、頼みを断るわけにもいかず、俺は今年の四月から生徒会副会長として、紅蓮のサポートをしている。
そして、金持ちばかりが集う学校で、社長令嬢や御曹司が数多くいる。
俺も自慢するわけではないが、それなりに裕福な家庭だ。
むしろ金銭的に困っていて、特待生の生徒は、この学校だとほとんど見かけない。
因みに、生徒手帳の一番最初には大きく「恋愛禁止」の文字がある。
とはいえ、恋愛をする者が全く居ないわけがない。
高校生という年齢を考えれば、恋愛をしたい時期だ。金持ちが集う故に、ほとんどの者は高校に上がると同時に、親同士が決めた婚約者がいて、同年代と付き合う人は数少ない。
星ヶ丘高校の生徒は、一般受験をする者は少なく、AO入試や所謂コネ入学など、後はその高校付属の大学にストレートに行く者が多い。
その中でも県外の大学に行くのはよっぽど勉強したい奴らだけ。
だから、高校三年の七月上旬でも、お受験モードというものは一切なく、高校最後の夏を楽しんでいた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】恋した君は別の誰かが好きだから
海月 ぴけ
BL
本編は完結しました。後日、おまけ&アフターストーリー随筆予定。
青春BLカップ31位。
BETありがとうございました。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
俺が好きになった人は、別の誰かが好きだからーー。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
二つの視点から見た、片思い恋愛模様。
じれきゅん
ギャップ攻め
林檎を並べても、
ロウバイ
BL
―――彼は思い出さない。
二人で過ごした日々を忘れてしまった攻めと、そんな彼の行く先を見守る受けです。
ソウが目を覚ますと、そこは消毒の香りが充満した病室だった。自分の記憶を辿ろうとして、はたり。その手がかりとなる記憶がまったくないことに気付く。そんな時、林檎を片手にカーテンを引いてとある人物が入ってきた。
彼―――トキと名乗るその黒髪の男は、ソウが事故で記憶喪失になったことと、自身がソウの親友であると告げるが…。
【完】君に届かない声
未希かずは(Miki)
BL
内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。
ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。
すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。
執着囲い込み☓健気。ハピエンです。
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~
青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」
その言葉を言われたのが社会人2年目の春。
あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。
だが、今はー
「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」
「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」
冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。
貴方の視界に、俺は映らないー。
2人の記念日もずっと1人で祝っている。
あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。
そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。
あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー
※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。
双葉の恋 -crossroads of fate-
真田晃
BL
バイト先である、小さな喫茶店。
いつもの席でいつもの珈琲を注文する営業マンの彼に、僕は淡い想いを寄せていた。
しかし、恋人に酷い捨てられ方をされた過去があり、その傷が未だ癒えずにいる。
営業マンの彼、誠のと距離が縮まる中、僕を捨てた元彼、悠と突然の再会。
僕を捨てた筈なのに。変わらぬ態度と初めて見る殆さに、無下に突き放す事が出来ずにいた。
誠との関係が進展していく中、悠と過ごす内に次第に明らかになっていくあの日の『真実』。
それは余りに残酷な運命で、僕の想像を遥かに越えるものだった──
※これは、フィクションです。
想像で描かれたものであり、現実とは異なります。
**
旧概要
バイト先の喫茶店にいつも来る
スーツ姿の気になる彼。
僕をこの道に引き込んでおきながら
結婚してしまった元彼。
その間で悪戯に揺れ動く、僕の運命のお話。
僕たちの行く末は、なんと、お題次第!?
(お題次第で話が進みますので、詳細に書けなかったり、飛んだり、やきもきする所があるかと思います…ご了承を)
*ブログにて、キャライメージ画を載せております。(メーカーで作成)
もしご興味がありましたら、見てやって下さい。
あるアプリでお題小説チャレンジをしています
毎日チームリーダーが3つのお題を出し、それを全て使ってSSを作ります
その中で生まれたお話
何だか勿体ないので上げる事にしました
見切り発車で始まった為、どうなるか作者もわかりません…
毎日更新出来るように頑張ります!
注:タイトルにあるのがお題です
雪色のラブレター
hamapito
BL
俺が遠くに行っても、圭は圭のまま、何も変わらないから。――それでよかった、のに。
そばにいられればいい。
想いは口にすることなく消えるはずだった。
高校卒業まであと三か月。
幼馴染である圭への気持ちを隠したまま、今日も変わらず隣を歩く翔。
そばにいられればいい。幼馴染のままでいい。
そう思っていたはずなのに、圭のひとことに抑えていた気持ちがこぼれてしまう。
翔は、圭の戸惑う声に、「忘れて」と逃げてしまい……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる