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二章
27話 最初の一歩
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「魔族は魔界に帰ったようですし、僕はそろそろ帰ります。貴方も家で同居人が待っているんでしょう?それなら心配させないように早めに帰宅するように」
「あ、はい。あの……改めて、助けてくれてありがとうございました」
「……いえ。それと、その魔導書はただの魔術本ではないことは貴方も十分に理解したはずです。今後は手放さないように気をつけてください。先程、貴方は強くなりたいと言った。それなら魔導書の全ページを読めるくらいの気持ちで頑張ってください。僕は貴方の師匠になる気は更々ありませんので。元々、僕よりも貴方のほうが強かったんです、以前は。もし、最速で強さを手に入れたいのであれば記憶を思い出すほうを最優先にするべきかと思います」
「アドバイスありがとうございます。如月先輩のを参考になんとか頑張っていきたいと思います」
さっきは下の名前で呼んでくれてわりとフレンドリーな感じがあったのに、今は大学で出会ったばかりの時のようにクールで淡々としている。その上、スパルタ指導だ。
師弟関係を結ぶつもりはなかったが、魔法の使い方を教えてもらおうと少しは考えていた。だが、こっちが言う前にあっさり断られてしまった。
「あ、俺からも一ついいですか?」
「なんですか?」
「如月先輩って、もしかして神崎紅先生だったりします?俺の友人が貴方のファンで……まぁ、俺もアニメになってる俺セカとか他作品の小説を読んでたりするんですけど」
「……自分には叶えたい夢があります。それを達成するために神崎紅として活動していたら、まわりが僕の作品を認めてくれて……。貴方の予想は当たっています。ただ、ファンだからといって僕に魔法関連のことについて質問するのは駄目ですよ」
「……わ、わかってますって」
如月先輩にも叶えたい夢があるのか。それを聞こうと思ったけど、機嫌が悪くなった如月先輩には言いづらい。
夢の話をしている如月先輩は少しだけ悲しそうな表情をしていた。作家としてはかなり有名で、しかもアニメ化されていたら嬉しいはずなのに。
「それでは僕はこれで。……助けてほしい時はここに連絡してください。今回のような死にそうな場合のみではありますが」
「ありがとうございます。もし、なにかあれば助けを呼びます」
如月先輩から連絡先の書いた紙を手渡され、それを受け取った。
「どうか体調には気をつけて」
「如月先輩も気をつけてください。それと小説楽しみにしてます」
「……そう言ってくれるとモチベーションが上がります。こちらこそ、ありがとうございます。次は冬休み明けに大学で」
「はい。大学で会う機会があったら、またその時に」
俺たちは互いに別れの挨拶を交わし、その場を後にした。
「ただいま。ルリエ、遅くなって本当に悪かった」
「龍幻、おかえりなさい」
「ただいま。ところで腹減ってないか?導の手料理を貰ってきたんだが、良かったら食べないか?」
「いいの?ありがとう。それじゃあ、お言葉に甘えて貰うね」
「あぁ」
これだけ遅くなったのにルリエは顔色一つ変えずに笑顔で俺を出迎えてくれた。
「大学で導さん?と会ったのかな?」
「あぁ、そうだ。話し込んでたら、いつの間にかこんな時間になってな……」
導と話が盛り上がっていたのは事実だ。実際にかなり家にいたし。まぁ、そのあとは色々あったがルリエに心配をかけたくない俺は話すことが出来ずにいた。
「あれ?魔術本を返しに行ったんじゃなかったの?」
「最初はそのつもりで行ったんだけどな……返却することが出来なかったんだ。実は俺の物だったみたいでな。少し重いけど興味あることも書いてあるから今度からは大切に持ってようと思ったんだ」
「そうなんだ。龍幻、もしかしてオカルトに興味出てきたとか?」
「まぁ……そんなところだな。あ、そのチャーハン美味いか?」
「ん?美味しいよ、ありがとう。導さんに今度会ったらお礼言っておいてくれる?」
満足そうに食べるルリエ。頬がパンパンになるほど一度に頬張るところを見ると、相当気に入ったようだな。
「あぁ、今日メールでもして伝えておく」
「龍幻、あのね……」
「ん?どうしたんだ?」
「帰って来て早々に悪いんだけど、サキュバスの試練として……やってもいい?」
「なっ……」
モジモジと恥ずかしそうに俺の顔を見つめるルリエ。唐突に言われたせいで心の準備が全く出来ていない俺は口を開けっぱなしにすることしか出来なかった。
「昼間からこんなことするのもダメだってわかってるつもりなんだけど……私、龍幻に触れたいの」
「まっ……!マジで言ってるのか」
「うん、本気。それとも今からじゃ、迷惑?」
「迷惑ではないが……」
「良かった。それならベッド、いこ?」
「っ……」
今の発言はヤバすぎる。俺の理性が飛びかけた。大切だと言ったあの日からルリエを見る目が少しだけ変化したのはどうやら気のせいではなかったようだ。
「恥ずかしさのほうが勝ってて正直満足させるまで龍幻の相手をするのは難しいと思うの。だから今日はスキンシップをしてもいい?」
「別に構わないが。ただ、俺とお前は付き合ってないんだぞ。それでもいいのか?」
「……うん、平気。私、龍幻に大切だって言われて凄く嬉しかった。だから、きっと大丈夫。私は龍幻に触れたい。龍幻は私からスキンシップされるのはイヤ?」
「嫌じゃない。ただ、いざやるってなると恥ずかしいだけだ。この年までまともに異性と触れたことがなかったから正直、どうするのが正解なのかわからない。本当は俺が年上だからリードしてやるべきなんだろうけど」
「年齢なんて関係ない。私だって初めてだもん。それに、龍幻の初めてを貰えるって思うとなんだか嬉しい。キス、してもいい?」
初めて。その単語を聞くだけでもドキマギしてる俺はチキンなのだろうか。ルリエが俺に近付きベッドが軋む。
「あ、あぁ」
ルリエとのキスは初めてじゃない。だけど、こうやって互いの同意を得てするのはこれが初めてだ。
どうしてこうもドキドキしてしまうのだろう。それはルリエを女として意識しているせいか?それとも、ルリエの鼓動が普段よりも早いのがこっちにまで伝わってくるせいか。
どっちにしろ、平常心を保つのは無理なようだ。
「んー……んっ」
「ん。ルリ、エ……」
優しいリップ音が部屋に響く。たった一秒という短いキス。だけど、俺には時が止まったような感覚がした。
「やっぱり……この先は恥ずかしくて無理っ!!!!」
「っ!?」
ドンッ!と突き飛ばされた。突然のことでバランスを崩しそうになったが、ギリギリのところで留まることができた。
「龍幻、ごめんなさい。私、口調は普段通りで高校生らしいのに行動は子供ぽっいよね。こんなことで見習いを卒業できるのかな……」
「ルリエ、今ので一歩は前進した。それだけでも十分偉いぞ。まだ時間は沢山あるから、そう焦る必要はない。だから顔を上げろ、なっ?」
「うん、ありがとう。龍幻!!」
「わっ!?」
捨てられた子犬のような目をしながら俯いていたルリエは俺の言葉で元気になったのか、いきなり飛びついてきた。
「私、もっと頑張る。龍幻を心の底から気持ち良く出来るように。だから、隣で見守ってくれる?」
「……あぁ、もちろんだ」
キスで恥ずかしがるルリエも素直に俺は可愛いと思った。本当は少し期待をしていたが、急にサキュバスらしくなられても反応に困るし。なにより俺の心臓にも悪い。
アレンとの戦いで体力を消耗した俺。だけど、ルリエに癒しを貰えたことで明日からも頑張ろうという気持ちになった。
俺もいつかルリエを守れるような強い男になれたらいいな……そんなことを思っていると、意識は遠のき、俺は夢の中へ落ちていった。
「あ、はい。あの……改めて、助けてくれてありがとうございました」
「……いえ。それと、その魔導書はただの魔術本ではないことは貴方も十分に理解したはずです。今後は手放さないように気をつけてください。先程、貴方は強くなりたいと言った。それなら魔導書の全ページを読めるくらいの気持ちで頑張ってください。僕は貴方の師匠になる気は更々ありませんので。元々、僕よりも貴方のほうが強かったんです、以前は。もし、最速で強さを手に入れたいのであれば記憶を思い出すほうを最優先にするべきかと思います」
「アドバイスありがとうございます。如月先輩のを参考になんとか頑張っていきたいと思います」
さっきは下の名前で呼んでくれてわりとフレンドリーな感じがあったのに、今は大学で出会ったばかりの時のようにクールで淡々としている。その上、スパルタ指導だ。
師弟関係を結ぶつもりはなかったが、魔法の使い方を教えてもらおうと少しは考えていた。だが、こっちが言う前にあっさり断られてしまった。
「あ、俺からも一ついいですか?」
「なんですか?」
「如月先輩って、もしかして神崎紅先生だったりします?俺の友人が貴方のファンで……まぁ、俺もアニメになってる俺セカとか他作品の小説を読んでたりするんですけど」
「……自分には叶えたい夢があります。それを達成するために神崎紅として活動していたら、まわりが僕の作品を認めてくれて……。貴方の予想は当たっています。ただ、ファンだからといって僕に魔法関連のことについて質問するのは駄目ですよ」
「……わ、わかってますって」
如月先輩にも叶えたい夢があるのか。それを聞こうと思ったけど、機嫌が悪くなった如月先輩には言いづらい。
夢の話をしている如月先輩は少しだけ悲しそうな表情をしていた。作家としてはかなり有名で、しかもアニメ化されていたら嬉しいはずなのに。
「それでは僕はこれで。……助けてほしい時はここに連絡してください。今回のような死にそうな場合のみではありますが」
「ありがとうございます。もし、なにかあれば助けを呼びます」
如月先輩から連絡先の書いた紙を手渡され、それを受け取った。
「どうか体調には気をつけて」
「如月先輩も気をつけてください。それと小説楽しみにしてます」
「……そう言ってくれるとモチベーションが上がります。こちらこそ、ありがとうございます。次は冬休み明けに大学で」
「はい。大学で会う機会があったら、またその時に」
俺たちは互いに別れの挨拶を交わし、その場を後にした。
「ただいま。ルリエ、遅くなって本当に悪かった」
「龍幻、おかえりなさい」
「ただいま。ところで腹減ってないか?導の手料理を貰ってきたんだが、良かったら食べないか?」
「いいの?ありがとう。それじゃあ、お言葉に甘えて貰うね」
「あぁ」
これだけ遅くなったのにルリエは顔色一つ変えずに笑顔で俺を出迎えてくれた。
「大学で導さん?と会ったのかな?」
「あぁ、そうだ。話し込んでたら、いつの間にかこんな時間になってな……」
導と話が盛り上がっていたのは事実だ。実際にかなり家にいたし。まぁ、そのあとは色々あったがルリエに心配をかけたくない俺は話すことが出来ずにいた。
「あれ?魔術本を返しに行ったんじゃなかったの?」
「最初はそのつもりで行ったんだけどな……返却することが出来なかったんだ。実は俺の物だったみたいでな。少し重いけど興味あることも書いてあるから今度からは大切に持ってようと思ったんだ」
「そうなんだ。龍幻、もしかしてオカルトに興味出てきたとか?」
「まぁ……そんなところだな。あ、そのチャーハン美味いか?」
「ん?美味しいよ、ありがとう。導さんに今度会ったらお礼言っておいてくれる?」
満足そうに食べるルリエ。頬がパンパンになるほど一度に頬張るところを見ると、相当気に入ったようだな。
「あぁ、今日メールでもして伝えておく」
「龍幻、あのね……」
「ん?どうしたんだ?」
「帰って来て早々に悪いんだけど、サキュバスの試練として……やってもいい?」
「なっ……」
モジモジと恥ずかしそうに俺の顔を見つめるルリエ。唐突に言われたせいで心の準備が全く出来ていない俺は口を開けっぱなしにすることしか出来なかった。
「昼間からこんなことするのもダメだってわかってるつもりなんだけど……私、龍幻に触れたいの」
「まっ……!マジで言ってるのか」
「うん、本気。それとも今からじゃ、迷惑?」
「迷惑ではないが……」
「良かった。それならベッド、いこ?」
「っ……」
今の発言はヤバすぎる。俺の理性が飛びかけた。大切だと言ったあの日からルリエを見る目が少しだけ変化したのはどうやら気のせいではなかったようだ。
「恥ずかしさのほうが勝ってて正直満足させるまで龍幻の相手をするのは難しいと思うの。だから今日はスキンシップをしてもいい?」
「別に構わないが。ただ、俺とお前は付き合ってないんだぞ。それでもいいのか?」
「……うん、平気。私、龍幻に大切だって言われて凄く嬉しかった。だから、きっと大丈夫。私は龍幻に触れたい。龍幻は私からスキンシップされるのはイヤ?」
「嫌じゃない。ただ、いざやるってなると恥ずかしいだけだ。この年までまともに異性と触れたことがなかったから正直、どうするのが正解なのかわからない。本当は俺が年上だからリードしてやるべきなんだろうけど」
「年齢なんて関係ない。私だって初めてだもん。それに、龍幻の初めてを貰えるって思うとなんだか嬉しい。キス、してもいい?」
初めて。その単語を聞くだけでもドキマギしてる俺はチキンなのだろうか。ルリエが俺に近付きベッドが軋む。
「あ、あぁ」
ルリエとのキスは初めてじゃない。だけど、こうやって互いの同意を得てするのはこれが初めてだ。
どうしてこうもドキドキしてしまうのだろう。それはルリエを女として意識しているせいか?それとも、ルリエの鼓動が普段よりも早いのがこっちにまで伝わってくるせいか。
どっちにしろ、平常心を保つのは無理なようだ。
「んー……んっ」
「ん。ルリ、エ……」
優しいリップ音が部屋に響く。たった一秒という短いキス。だけど、俺には時が止まったような感覚がした。
「やっぱり……この先は恥ずかしくて無理っ!!!!」
「っ!?」
ドンッ!と突き飛ばされた。突然のことでバランスを崩しそうになったが、ギリギリのところで留まることができた。
「龍幻、ごめんなさい。私、口調は普段通りで高校生らしいのに行動は子供ぽっいよね。こんなことで見習いを卒業できるのかな……」
「ルリエ、今ので一歩は前進した。それだけでも十分偉いぞ。まだ時間は沢山あるから、そう焦る必要はない。だから顔を上げろ、なっ?」
「うん、ありがとう。龍幻!!」
「わっ!?」
捨てられた子犬のような目をしながら俯いていたルリエは俺の言葉で元気になったのか、いきなり飛びついてきた。
「私、もっと頑張る。龍幻を心の底から気持ち良く出来るように。だから、隣で見守ってくれる?」
「……あぁ、もちろんだ」
キスで恥ずかしがるルリエも素直に俺は可愛いと思った。本当は少し期待をしていたが、急にサキュバスらしくなられても反応に困るし。なにより俺の心臓にも悪い。
アレンとの戦いで体力を消耗した俺。だけど、ルリエに癒しを貰えたことで明日からも頑張ろうという気持ちになった。
俺もいつかルリエを守れるような強い男になれたらいいな……そんなことを思っていると、意識は遠のき、俺は夢の中へ落ちていった。
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