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三章 幼馴染からのスタート
13話
しおりを挟む「高校入って、初めての連休なのに酷くね!?」
「だよねー、私もそう思う!」
放課後。クラスはGW明けにあるテストのことでもちきり。私はクラスの輪には入っていかず、図書室に向かうことにした。
とりあえず静かに勉強出来る場所に行きたい。
「はぁー‥‥赤点取ったらどうしよう」
大量の教科書を持ってブツブツと独り言を言いながら歩いていたその時、ドンッ! と誰かとぶつかった。
「きゃ!?」
思ったよりも可愛い声が出てしまっていた。というより、声が裏返ってた気がする。
あたりには教科書が散らばり、よく見ると難しい文章が書かれた書類? のような物があった。
「貴方は一年の霧姫朱里ですね。怪我はありませんでしたか?」その場で尻もちをついてしまっていた私に差し出された手。上を見上げると、そこには見たことある人物がいた。
「堅物会長さん!?」
「霧姫朱里。‥‥貴方もそのあだ名で呼ぶんですか」
表情には出てないものの、心なしか声が怖い。どうやら怒らせてしまったみたい。集会で男子が言っていた言葉がインプットされていたらしい。
如月紅蓮、生徒会長さんだ。まさか、こんなところで会うなんて。
「す、すみません! 今すぐ拾います!!」
私は慌てて、会長さんの書類をかき集めた。これ、生徒会の仕事だよね、多分。色々難しいことが書いてあって、私にはよくわからない。
「いえ、自分の不注意でした。霧姫朱里、もう一度聞きます。怪我はありませんか」
「え? は、はい!」
意外と紳士的な人だな。でも、さっきからフルネームで呼ばれてることが気になった私は「まさか全校生徒のフルネームと顔が一致してたりしないですよね~」と言いながら軽く笑った。
「‥‥‥‥テスト頑張ってください。それとあまり遅くまで学校に残らないように。貴方に怪我がなくて安心しました。‥‥さようなら」
長い無言のあとに会長さんが発したのは私の怪我の心配だった。やばい、もしかして図星だったの? 軽い冗談で言ったつもりだったんだけど。
この学校はめちゃくちゃ生徒数が多い。そんな中で全校生徒の名前と顔が一致してるとか、会長さんって一体何者‥‥。
「さ、さようなら」
堅物会長なんてあだ名で呼ばれてるから、冷酷なイメージがあったけど、普通に優しい人だった。
でも、会長から頑張れなんて応援されると逆にプレッシャーが‥‥。
ますます勉強を頑張ろうと思った私は図書室に足を進めた。
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